福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

虫食い発生 後編

2009-06-19 08:29:38 | 日記
しかし、実際に返品されてきた現物で、虫が這い出たと思われる穴を

まじまじと見て、これは酷く、いけないと実感しました。


↓ 虫穴





これは当然クレームになるし、お客様も大変なショックを受けられました。


納品当時、このテーブルセットが無事届きましたとメールを頂きました。

そのメールには凄く感激した様子が綴られており、これからの生活が楽しみであり、

私の宝物になりましたとまで書いて頂きました。

作り手としてはこの上ないお言葉です。

それがこのようなことが起こり、まだ虫が中にいる可能性があることから、

やむなく手放さなければならないことになったことを今改めてお客様の立場に

なって考えてみると涙が出そうになります。

こころを深く傷つけてしまいました。

本当に申し訳ないことをしてしまいました。



そもそもこの山桜には加工する前から虫穴があるのは知っていました。

私の認識の中では、木に虫がつくのは弱っている木や切り倒されて間もない

まだ生材の状態の時に入り込むと思い込んでおり、乾燥された材に新たに虫が

つくとは考えも及びませんでした。

しかし色々と調べるうちに、この認識は間違いで乾燥された材にも虫がつくことが

あると判りました。

ですので今回のケースは、板材の状態で保管している時に虫が入ったと思われます。

浅はかでした。作り手失格です。


更に問題なのは、屋久島に生息する虫が関東へ持ち込まれたことです。

最悪の場合は生態系を狂わすことにもなりかねます。

こうなると個人の問題だけではありません。

ただ悪影響が無いことを祈るばかりです。

大いに反省です。

勉強不足です。認識不足です。無知は罪とはこういうことです。

落ち込みました。


唯一の励みは、お客様よりこの問題が解決されたら、また購入したい、

その日を心から楽しみしていますと仰ってくれたことです。

大変有難く思い遣りのあるお言葉です。




地元材の活用を基本としていることから、安易に外材に頼るのではなく、

かと言って、工場で防虫薬剤を加圧注入された木材を購入するのも

なんだか違うような気がします。


まずはできる範囲から問題解決に向けて進んで行くしかありません。

当分の間、広葉樹材でつくられた家具の島外販売は厳禁とします。


今回、新たな課題が出来ました。

これも必要な過程と受け止めます。

お客様のためにも、この経験を生かして実りあるものにしていきたいです。


コメント
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