朝起きるとリビングのカーテンに陽が当たっている様子がない。
予報どおり、全国的に広範囲での雨になるのだろうかとそっと
カーテンを開けてみる。
レースを通して見る外の様子はやはり明るくはなかった。
あまり期待していなかったが好転した昨日の天気のようになることは
ほとんど望めそうにもない。
それどころか午後から夜半にかけては雨脚が強く激しく降るという
予報である。
特に出かける予定などもないのだが一日中、しかも強く降るという
予報的中を思い、胸の中のもう一人の自分が少し項垂れているようだった。
九州をはじめ西日本では既に梅雨入りも報じられ、関東地方もまもなく
梅雨入りとなるようだが梅雨とは違う今回の雨には注意を要するという。
今朝、高知県では「線状降水帯」が発生し注意報が出されている。
今回の雨は災害級だとも発表されているのである。
既に沖縄地方で吹き荒れている台風2号の被害が最小限で済むことと
今後本州付近への接近による各地の災害がないようにと「雨過天晴」を
願いながらテレビの報道に目を凝らして見ることにする・・・
このような暴風雨は言うに及ばず、子供のころから雨が嫌いだった
私にはまだ少し先になると思われる「夏空」が待ち遠しい。
あの痛いほどの灼熱の太陽が容赦なく照りつける真夏の炎天下・・・
一年で一番好きな季節が今年もやってくると思うだけでも胸が高鳴る。
それまであともう少し・・今年はあっという間に5カ月が過ぎたという
感じがする中で・・・
桜の開花以後は特に春の花たちのリレーが新記録を生みだしたような
気さえするのだ。
ブログ友たちの記事にも夾竹桃、ノウゼンカズラ、立ち葵、夏椿、
泰山木やルリマツリ、ムラサキツユクサ、ホタルブクロなど以前は
もう少し先に開花を見たような気がする花の開花が紹介されている。
そして美味しそうなユスラウメや色づいた琵琶の実や黒くなった完熟の
桑の実なども・・・
関東の梅雨の入りまであと数日なのだろうか・・・
本来、雨が好きではない私でも雨に関する諸々の事象を目の当たりに
した時や雨に関する思いや実体験などの感情を謳った作品などには
心動かされ、感動することもある。
特に静かに降る雨、には多くの人たちが多種多様な魅力を感じているの
ではないだろうか・・・春に語られる「菜種梅雨」や「小糠雨」のように・・・
特に「緑雨」のようにその文字からも青葉若葉がしっとりと雨に濡れ
そぼっているようなイメージが湧く言葉も・・・
最近、ブログ友(二人)から「麦秋」というタイトルの記事が投稿
されていた。
梅雨が始まる前の麦の穂が実り、収穫期を迎えた初夏の頃の季節で、
熟した麦にとっては収穫の「秋」であることから名づけられたという
「麦秋」・・・
そしてこの季節に降る雨を表す言葉に「麦雨」がある。
「麦雨」は梅雨を指すことばでもあるようだが、「梅雨」と言うよりも
「麦雨」と言った方が情緒もあり、日本の原風景などもイメージできる
のではないだろうか。
そして「走り梅雨」や これからの梅雨の時季にも「五月雨」という
日本ならではの趣きのある言葉がある。
もう少し先の七夕の頃には「織姫と彦星が逢瀬の後に別れを惜しむ涙」
或いは「逢瀬が出来ずに悲しんで流す涙」と言われている「催涙雨」
「七夕雨」という言葉も・・・
織姫と彦星の話の内容とは全く違っても何らかの理由で「涙雨」を
こぼした人が数多くいることは十分予想できる。
夏が一番好きな私にとってはやはり明るい空から急に降った後で
すぐに止むような夏の雨を表したと言われる情緒豊かな「白雨」に
遇えればいいと思う。
雨脚があまりにも激しい時は雨が白みがかって見える・・という状況に
サッパリとした夕立のイメージが、真正直、潔さ、小ぎれい、身ぎれい、
清廉、往生際の良さなど私の理想とするものと結びつくような気がするから・・・
ショパン: 前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28-15 「雨だれ」
[ナクソス・クラシック・キュレーション #特別編:雨の日に...]