サイコロジスト101

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健康心理学、生理心理学、ストマネを学びましょう!

PGS110:芹沢隆子先生講演「ダイバージナルセラピー」

2010-10-16 10:30:21 | Weblog
PGS-110は先週土曜日、2010年10月10日1時から開催しました。

ダイバージョナルセラピーというケアの考え方があります。

オーストラリアやニュージーランドではごく当たり前だという、ヒューマンケアの考え方。

10年ほど前に、日本でも協会を設立し、普及活動をされてきたのが芹澤隆子先生。

ぜひ、というので今回のPGSにお招きし、講演をお願いしました。

いつものように、研究会最初は自己紹介。

今回はゼミ生院生も参加し、オーストラリアのヒューマンケア学を学ぼうと熱心そのもの。

1時からなんと5時まで楽しく講演、そして実習もしていただきました。

来年7月に開催される日本ヒューマンケア心理学会(会長:大阪市立大学医学部看護学科石井京子先生)でも教育講演をしていただくことになっています。

本学大学院は人間科学研究科。ヒューマンサービスを専門とする人々が、健康心理学、精神保健学、社会福祉学、居住環境学という4つの視点を学び、現場でのヒューマンサービスをよりよいものにしようというのがポリシー。

まさに、このダイバージナルセラピーの考え方は親和性高いとおもいました。

マズローの動機づけ階層モデルにしたがって、ケアを考えたとき、最後・最高・頂上の動機づけは何かと尋ねられました。なんだとおもいますか?

なんと、I am Me の心境だというのです。

自分にとって一番自分らしいことこそ、ヒューマンケアの目標だというわけ。

写真は音楽を使ったワークを学生の奏でるギターと手拍子で楽しんでいるとことです。

2010/10/16・記


生理心理学4:脳波の話をしました

2010-10-16 10:07:21 | Weblog
2010年10月15日開講の生理心理学で使った資料です。

アップロードが一日遅れたことをお詫びします。

脳波は生理心理学の研究者にとっては思い入れの強い生体反応。

単に生体反応といっても、脳=中枢神経から出てくる電気現象ですから、やっぱり脳の活動を表しているとおもいやすいですよね。

ハンス・ベルガーが脳波を発見した話をしました。

電気工作の好きなお医者様で、自分でラジオにつかう真空管やトランス、コンデンサーなどを半田付けして脳波計を作ってしまったわけです。

現物がどのようなものであったかはわかりませんが、おそらく、ネジ式のドラムの表面にすすをつけたものを、電磁稼働針で擦って記録したのでしょう。

真空管いくつ使ったかわかりませんが、脳波は数μV(マイクロボルト)のものですから、100万倍に増幅する技術が必要だったわけで、すばらしい才能の人だったのでしょう。

脳波のうち平常時によく出現するα(アルファー)波は周波数8-13Hz、振幅20-50μVでリズミックに継続するのが特徴。

目を閉じてさえいれば、後頭部からの脳波記録には、100人中99人で必ず確認できる正常脳波です。

目を開けるとα波が消失ないし振幅が減少するので、αブロッキングと呼ばれています。

今回の授業ではこのαブロッキングを大切な脳波現象として覚えておいてください。

覚醒時のαが、うとうとするとθとなり、眠りが深くなるとδへと変化します。逆に覚醒度が増すとβになります。

こうした周波数による脳波の名称の違いと心的状態とをまとめて覚えておくといいですよ。

さらに、単純な計算作業のような精神作業に集中していると前頭正中線上から6-7Hzのθ波が出現することがあります。これを、Fmθ(エフエムシータ)と呼びます。

日本人が発見したこの脳波については、別の機会にお話できればとおもいます。

今回は、小学校一年生の男児のテレビゲームに熱中している最中の脳波記録から、大量のFmθが出現した例を示しました。

また、大学オーケストラ部の学生に楽譜をわたして練習してもらい、実験室内でバイオリン演奏している最中の脳波記録からもFmθが出現した例を示しています。

どのパートで出現しやすいかなどを分析したのですが、少し難し技術がいるところとか、ここちよい音色のパートで出現しやすいようでした。

Fmθを発見した石原務先生はまだご健在です。可能なら、授業にお招きして、Fmθ発見の経緯などをお話いただきましょうか。

賛成のかたが多ければ、そうしたいとおもいます。

来週からは、睡眠ー覚醒リズムの話です。


2010/10/16・記