皆さん、クリスマスは楽しまれましたでしょうか?
僕を含めた生き物屋には戦慄するような知らせがクリスマスプレゼント代わりに届いたのでは無いかと思います。
表題になっている国内希少野生動植物種ですが新たに種を追加するとのことです。
国内希少…ナニソレ?という人もいると思うのでざっくりと
淡水魚でいうとスイゲンゼニタナゴが国内希少野生動植物に指定されていて、無許可での採集・飼育及び、販売が全面的に禁止となっています。名前を変えただけで、ミヤコタナゴやイタセンパラという天然記念物に指定されている種類の生き物と全く同じ扱いなんです。
オカヤドカリは例外的にごく一部の業者による採集と販売及び飼育が認められていますが、国内希少野生動植物並びに国指定の天然記念物となっている生き物は原則、一般人の接触が許されないものになっています。
新たに指定される種類が何か気になりますよね?
淡水魚ではアリアケヒメシラウオとセボシタビラが指定を受ける可能性が高いとのことです。
生態がよくわかっていなかったり、養殖の見込みが立たなそうな生き物ならまだしも、ブリード個体が沢山出回っているセボシタビラをスイゲンゼニタナゴやミヤコタナゴと同じ扱いにしてしまうんですよ?
野生個体の採集禁止だけなら反対はしないですが、ブリードが盛んで人工授精も容易だと思われるセボシタビラを販売・飼育禁止にするのは考えものですよね?人工授精については次回の記事で掘り下げたいと思います。
保全の観点から見ても、愛好家の手によって養殖ものが維持されている生き物の飼育を禁止にするのはあまり良いは思えないです。
それに採集を制限したところで、生き物の種類が保たれるように河川環境を整えたり、タナゴ類の産卵母貝となるイシガイ類を守っていかなければ、セボシタビラを含む野生の在来タナゴ類の個体数が回復することは無いと思います。
当ブログを読まれているということは皆さんタナゴ好きでこんな事書かなくても肝に銘じられているかと思いますが…
飼育個体であったり、他所から持ってきたタナゴの安易な放流はダメですよ!
単純に数を殖やせばいいとかそんな問題ではない。同種であっても地域によって婚姻色に違いがあったりとか地域多様性がありますからね(^^)
今はまだ国内希少野生動植物に指定するかもしれない段階ですので、環境省に意見書(パブリックコメント)を提出すれば風向きを変えられる可能性はあります。提出期限は1月8日までとなっています
指定ランクを下げることが出来るかもしれませんから。
ワンランク下の特定第一種国内希少野生動植物の指定になれば、事前に届け出を行った事業者のみ販売が出来るそうなので、オカヤドカリのように少なくとも飼育は楽しめるかと思います。この更に下の特定第二種については後述します。
九州の魚だから対岸の火事とは限りません。開発が進み外来種が蔓延り更に環境が悪化すれば、マタナゴやアカヒレタビラやシマドジョウ類辺りのいくつかの種類が近いうちに天然記念物や国内希少野生動植物の指定を受けることになってもおかしくはないかもしれません。
ともかく、調査や累代飼育の可能性を踏まえて飼育・採集の禁止をして頂きたいです。
さて、特定第二種国内希少野生動植物についてですが、こちらの指定では販売及び、無料頒布(金魚すくい的な景品ですかね?)を禁止し、個人での採集・飼育は禁止されないようです。
カワバタモロコと水生動物繋がりでタガメとトウキョウサンショウウオがこの指定を受けることになっているようです。
この指定は悪くない…むしろ朗報といっても良いかと
タガメと止水性サンショウウオはヤフオクで叩き売りされたり、実店舗にもブリードでは無く採集個体と思われるものが陳列されていますからね、、、
希少になってしまった生き物をくだらない小遣い稼ぎに利用する位なら販売を取り締まるのが手っ取り早いと思いますから、、、
僕としてはカワシンジュガイも特定第二種に指定してしまっても良いと思います。
二枚貝を数百円で叩き売りしてますが、インスタを覗くと未だにイシガイ目の二枚貝をタナゴ繁殖の使い捨ての道具としか見ていない、前時代的な人達が散見されます。イシガイ類の生態や生息地の危機的状況を少しは勉強して欲しいところです。そんなにタナゴ殖やしたいならバカのひとつ覚えみたいに二枚貝に頼らず、人工授精にトライして頂きたいところです。
長文にお付き合い頂き、ありがとうございました!素人が書いた記事ですので、所々間違いがあるかもしれません。ご指摘頂けると幸いです。
他人に購入を勧めたり、棲息地(○○という生物は□□周辺では△△川、××湖にいるといった内容)を教えたりしていました。絶滅に加担する行為と知った現在では非常に後悔しています。
自分語り失礼しました。
仰せの通り、野生生物の保護は様々な分野や文化との折り合いが難しいですよね。例えば僕としては錦鯉の放流は法律で禁止して欲しいと思ってますが、養殖業者や観光文化との落とし所が難しいと思いますし、在来種の保護は難しいですね。
今回のタナゴ類に関しては養殖のノウハウが完全に確立されているはずですので、せめて特定第1種が妥当だろうと思ってます。セボシタビラは野生絶滅寸前でかつ、ブリード個体が沢山出回っていると思うので、アカヒレやウーパールーパーと同じ扱いになるのが妥当でしょうと…タナゴ類は放流問題もあるので、致し方ない部分はあるのかと思います。
野生個体が極めて危機的状態にあれば、
飼育・繁殖個体の販売や譲渡も、
止む無く禁止せざるを得ないのかも、
と私は思ってます。
ま、その指定種の選定がときおり「ん?」と思うこともありますが・・・
自然環境の悪化や人的要因は、また別の観点からの話になる気がします。