少数派シリーズ/東アジア・海外の知識
Part5 ヨーロッパ・中東・その他海外(ウクライナ侵攻9)
「征露丸」が元々の名だった・日露戦争前にロシアを征伐する気運で名付けられたのか
■日露戦争勃発の2年前「忠勇征露丸」として発売、戦後「正露丸」に変更された
ロシアのウクライナ侵攻を憎むが、申し訳ないが今回は肩の力を抜いて“用語”についての話をします。お腹を壊した際に、ラッパのマークの「正露丸」が役立ったことを皆さんは経験しているのでは?錠剤タイプも販売されているが、あの独特なきつい臭いが効きそうだと昔のタイプを愛用される方も多い。さて正露丸の元々の名は、「征露丸」だったのです。日露戦争は1904(M37)~1905年に起きた戦いで、その直前の1902年に、大阪の中島佐一薬房が「忠勇征露丸」として発売しました。日露戦争勃発の2年前ですので、ロシアを征伐・征服・征討する機運は高まっていたと思えます。日露戦争では、旧陸軍が兵隊に征露丸を毎日3回、服用させました。下痢や歯痛の他「行軍での脱落者が少ない」とも言われ、征露丸は万能薬とされたのです。その後時代が下り、大幸薬品の創業者が製造販売権を継承しました。しかし1949(S24)年、国際関係を考慮して、征露丸の字を「正」に改めました。ところが時が移り2022年、ロシアのウクライナ侵攻・ロシアのあまりの非道ぶりに、冗談ですが「征露丸」が復活しそうな勢いです。
「ロシア」とは、過去、ウクライナのキーフ(キエフ)地方に存在したルーシ族に由来します(他説あり)。その土地を、今でも“ルーシの地”と呼んでいます。隣国ベラルーシの国名は昔の表記では白(はく)ロシアと言い、ご年配の方は思い出したのでは。ルーシのギリシャ語訳が、「ロシア」「ローシア」。ウクライナ・ロシア・ベラルーシは同じ民族で、ロシアの原点はウクライナにあります。それだけに、同じ民族への殺戮(さつりく)は悲しみに余りあるものです。ロシアの前、1922~1991年までは「ソ連」と呼んでいました。略語はソ連・ソビエト連邦、正式名はソビエト社会主義共和国連邦。「ソビエト」とは、ロシア語で「評議会」を意味します。ベルリンの壁崩壊後の1991年・ソビエトが消滅し現時点では連邦国はだいぶ減り、周辺国との12か国で成り立っています(ロシア自体は83に及ぶ自治共和国・自治州編成)。周辺国との連邦とはいえ、実質、ソビエトが支配していたことには違いありません。なお1922年以前は、現在のようにロシアと呼んでいました。投稿者としてはロシア国名より、戦前の冷酷・残虐なスターリン、東西冷戦の陰湿・暗い印象がある「ソ連」の言い方ほうが違和感がありません。なおソ連名時代にも関わらず、007シリーズの「ロシアより愛をこめて」(旧題:危機一発・1964年)は、良いタイトルだと思いました。
■日本で使う国名・地名は相手国の意向を組んで外務省が提案する(法律を定める)
ロシアを漢字で書くと「露西亜」、新聞や書籍の略号では『露』を使います。昔は、『魯』と書きました。ご年配で魚好きな方なら、現マルハニチロの前身、日魯漁業(株)をご存じだと思います。1935年当時、ソ連からこの字には“愚か者”の意味があると強い抗議を受け、現在の「露」に変更されました。念のため自宅にある「学研漢和大字典」を開くと、<①おろか ②大ざっぱで間が抜けている>、解説欄には、<魯は魚と日に分かれ、「魚」は鈍い動物の代表ととらえ、「日」(ものいう)の会意文字(複数漢字の組み合わせ)で、言行が魚のように大まかで間抜けであること>と書かれていました。「魯」は日露戦争以来、ソ連とは敵対した年月が長いことから、蔑視する意味で付けたかもしれません(邪推?)。「露」の字には、気象・さらす・あらわす意味があります。悪意から生活用語まで並べると、暴露・露出・露呈・露見・吐露・発露(ほつろ)・露骨・結露/披露・露店・甘露・玉露・(幸田)露伴など。辞書にはありませんでしたが、既号の通り終戦直前にソ連が参戦、8/15を過ぎてもソ連兵が南樺太・千島列島に攻め入り、次々と女性を強姦したことから「露助」(ロシアのスケベ)と呼び、当然、反露(反ソ連)感情があったのだろうと推察します。
最近、ウクライナの地名(都市名)をロシア語からウクライナ語読みに変わったのはご承知の通りです。外国の国名・都市名などの日本語読みは、「在外公館の名称・位置・給与に関する法律」があって、正式な名称表記が決められているのです。相手国の了解の下に、日本の外務省が決めます(最終的に法律化する)。キエフ→キーフ、ハリコフ→ハリキウ、チェルノブイリ→チョルノービリなど。なお激戦地のマリウポリやクリミア半島は元々ウクライナ語のため、今まで通りです。国名のウクライナもそのままです。キーフの現地読みはクィイブ(kyiv)ですが、日本人が発音しやすいようにキーウとされました。この他にもグルジア国が、2015年にロシア語から英語読みの「ジョージア」に変更されました。さてウクライナ国旗の青と黄色は、既号の通り澄み渡る青空とどこまでも続く小麦畑を表します。毎日、ニュースでウクライナの地図を見ますが、想像以上に大きく東西1200km(直線距離・仙台―鹿児島)、南北700km(同:東京―函館、東京―広島)、面積60万k㎡(日本の1.6倍)、約4500万人。クリミア半島だけでも26844k㎡あり、関東から千葉県を除いた面積に匹敵します。気のせいか、形も関東に似ています。このように広大な地なので、ロシア軍が攻めあぐねているのも当然です。終わりに冗談ですが、プーチンに戦争をやめさせる効き目のある薬はないものか。毒掃丸かも・・・(プーチンには頭の便秘解消の効能がありそうだ:個人の感想)
次号/ウクライナ侵攻10|プーチンを全否定して当然だがロシアには文学・クラシックなど素晴らしい芸術がある
前号/ウクライナ侵攻8|ロシア兵に数千人規模で性的暴行を受けた情報・戦争には常に女性が強姦される屈辱
Part5 ヨーロッパ・中東・その他海外(ウクライナ侵攻9)
「征露丸」が元々の名だった・日露戦争前にロシアを征伐する気運で名付けられたのか
■日露戦争勃発の2年前「忠勇征露丸」として発売、戦後「正露丸」に変更された
ロシアのウクライナ侵攻を憎むが、申し訳ないが今回は肩の力を抜いて“用語”についての話をします。お腹を壊した際に、ラッパのマークの「正露丸」が役立ったことを皆さんは経験しているのでは?錠剤タイプも販売されているが、あの独特なきつい臭いが効きそうだと昔のタイプを愛用される方も多い。さて正露丸の元々の名は、「征露丸」だったのです。日露戦争は1904(M37)~1905年に起きた戦いで、その直前の1902年に、大阪の中島佐一薬房が「忠勇征露丸」として発売しました。日露戦争勃発の2年前ですので、ロシアを征伐・征服・征討する機運は高まっていたと思えます。日露戦争では、旧陸軍が兵隊に征露丸を毎日3回、服用させました。下痢や歯痛の他「行軍での脱落者が少ない」とも言われ、征露丸は万能薬とされたのです。その後時代が下り、大幸薬品の創業者が製造販売権を継承しました。しかし1949(S24)年、国際関係を考慮して、征露丸の字を「正」に改めました。ところが時が移り2022年、ロシアのウクライナ侵攻・ロシアのあまりの非道ぶりに、冗談ですが「征露丸」が復活しそうな勢いです。
「ロシア」とは、過去、ウクライナのキーフ(キエフ)地方に存在したルーシ族に由来します(他説あり)。その土地を、今でも“ルーシの地”と呼んでいます。隣国ベラルーシの国名は昔の表記では白(はく)ロシアと言い、ご年配の方は思い出したのでは。ルーシのギリシャ語訳が、「ロシア」「ローシア」。ウクライナ・ロシア・ベラルーシは同じ民族で、ロシアの原点はウクライナにあります。それだけに、同じ民族への殺戮(さつりく)は悲しみに余りあるものです。ロシアの前、1922~1991年までは「ソ連」と呼んでいました。略語はソ連・ソビエト連邦、正式名はソビエト社会主義共和国連邦。「ソビエト」とは、ロシア語で「評議会」を意味します。ベルリンの壁崩壊後の1991年・ソビエトが消滅し現時点では連邦国はだいぶ減り、周辺国との12か国で成り立っています(ロシア自体は83に及ぶ自治共和国・自治州編成)。周辺国との連邦とはいえ、実質、ソビエトが支配していたことには違いありません。なお1922年以前は、現在のようにロシアと呼んでいました。投稿者としてはロシア国名より、戦前の冷酷・残虐なスターリン、東西冷戦の陰湿・暗い印象がある「ソ連」の言い方ほうが違和感がありません。なおソ連名時代にも関わらず、007シリーズの「ロシアより愛をこめて」(旧題:危機一発・1964年)は、良いタイトルだと思いました。
■日本で使う国名・地名は相手国の意向を組んで外務省が提案する(法律を定める)
ロシアを漢字で書くと「露西亜」、新聞や書籍の略号では『露』を使います。昔は、『魯』と書きました。ご年配で魚好きな方なら、現マルハニチロの前身、日魯漁業(株)をご存じだと思います。1935年当時、ソ連からこの字には“愚か者”の意味があると強い抗議を受け、現在の「露」に変更されました。念のため自宅にある「学研漢和大字典」を開くと、<①おろか ②大ざっぱで間が抜けている>、解説欄には、<魯は魚と日に分かれ、「魚」は鈍い動物の代表ととらえ、「日」(ものいう)の会意文字(複数漢字の組み合わせ)で、言行が魚のように大まかで間抜けであること>と書かれていました。「魯」は日露戦争以来、ソ連とは敵対した年月が長いことから、蔑視する意味で付けたかもしれません(邪推?)。「露」の字には、気象・さらす・あらわす意味があります。悪意から生活用語まで並べると、暴露・露出・露呈・露見・吐露・発露(ほつろ)・露骨・結露/披露・露店・甘露・玉露・(幸田)露伴など。辞書にはありませんでしたが、既号の通り終戦直前にソ連が参戦、8/15を過ぎてもソ連兵が南樺太・千島列島に攻め入り、次々と女性を強姦したことから「露助」(ロシアのスケベ)と呼び、当然、反露(反ソ連)感情があったのだろうと推察します。
最近、ウクライナの地名(都市名)をロシア語からウクライナ語読みに変わったのはご承知の通りです。外国の国名・都市名などの日本語読みは、「在外公館の名称・位置・給与に関する法律」があって、正式な名称表記が決められているのです。相手国の了解の下に、日本の外務省が決めます(最終的に法律化する)。キエフ→キーフ、ハリコフ→ハリキウ、チェルノブイリ→チョルノービリなど。なお激戦地のマリウポリやクリミア半島は元々ウクライナ語のため、今まで通りです。国名のウクライナもそのままです。キーフの現地読みはクィイブ(kyiv)ですが、日本人が発音しやすいようにキーウとされました。この他にもグルジア国が、2015年にロシア語から英語読みの「ジョージア」に変更されました。さてウクライナ国旗の青と黄色は、既号の通り澄み渡る青空とどこまでも続く小麦畑を表します。毎日、ニュースでウクライナの地図を見ますが、想像以上に大きく東西1200km(直線距離・仙台―鹿児島)、南北700km(同:東京―函館、東京―広島)、面積60万k㎡(日本の1.6倍)、約4500万人。クリミア半島だけでも26844k㎡あり、関東から千葉県を除いた面積に匹敵します。気のせいか、形も関東に似ています。このように広大な地なので、ロシア軍が攻めあぐねているのも当然です。終わりに冗談ですが、プーチンに戦争をやめさせる効き目のある薬はないものか。毒掃丸かも・・・(プーチンには頭の便秘解消の効能がありそうだ:個人の感想)
次号/ウクライナ侵攻10|プーチンを全否定して当然だがロシアには文学・クラシックなど素晴らしい芸術がある
前号/ウクライナ侵攻8|ロシア兵に数千人規模で性的暴行を受けた情報・戦争には常に女性が強姦される屈辱