今回は、パントマイムを山本光洋氏に師事し、舞台や映像などジャンルを問わず幅広く活動中の伊藤洋一さんの日記をお届けします。
最近、はまっていること。それは落語です。
今年の春、たまたま図書館で借りた古今亭志ん朝のCDを聴いたのが、きっかけです。失礼ながら、それまでは錦松梅のCMに出ていた丸顔のおじさんくらいのイメージしか無かったのですが、CDを聴いて一気に惹き込まれました。口跡の良さは勿論ですが、何よりも登場人物の切り替えの鮮やかさに驚きました。
僕も役者の端くれとして、楽屋から舞台へ上がるまでの気持ちの切り替えに、いつも悩んでいます。馬鹿話をしていて、一瞬で役に入って舞台に上がる人や、楽屋の隅で外界を一切遮断して時間をかけて役に入る人、僕は確実に後者なのですが、それが上手くいくかというと、そうはいかない。大抵は気持ちが定まらないまま舞台に飛び出してしまい、ふわふわしたまま終わってしまう。
ところが、志ん朝を聴いて驚いた。地の文から与太郎へ、与太郎からおかみさん、それから武士へと、一人で演じているのを忘れるくらい、見事に人物を演じ分けていく。しかも、その切り替えの瞬間が、こちらには分からない。それでいて人物の思い、そしてその年齢や職業、身分差などが、しっかり伝わってくる。この秘密はなんだ、と知りたくなった。しかし、その方法が分からないので、取り敢えず志ん朝の落語一席を、そのまま真似してみようと、今は少しずつ覚えているところです。でも、最近は浮気して、柳家小三治、桂枝雀の落語にも惹かれています。いやぁ、落語は面白い。
さて、久しぶりに9月18日の「さくパン」に出演します。パントマイムをやるのか、一人芝居をやるのか、はたまた落語…それは流石に無いですが、いずれにせよ全身全霊で作品をお届けしますので、是非とも劇場まで足をお運びください。心よりお待ち申し上げております。
伊藤洋一
最近、はまっていること。それは落語です。
今年の春、たまたま図書館で借りた古今亭志ん朝のCDを聴いたのが、きっかけです。失礼ながら、それまでは錦松梅のCMに出ていた丸顔のおじさんくらいのイメージしか無かったのですが、CDを聴いて一気に惹き込まれました。口跡の良さは勿論ですが、何よりも登場人物の切り替えの鮮やかさに驚きました。
僕も役者の端くれとして、楽屋から舞台へ上がるまでの気持ちの切り替えに、いつも悩んでいます。馬鹿話をしていて、一瞬で役に入って舞台に上がる人や、楽屋の隅で外界を一切遮断して時間をかけて役に入る人、僕は確実に後者なのですが、それが上手くいくかというと、そうはいかない。大抵は気持ちが定まらないまま舞台に飛び出してしまい、ふわふわしたまま終わってしまう。
ところが、志ん朝を聴いて驚いた。地の文から与太郎へ、与太郎からおかみさん、それから武士へと、一人で演じているのを忘れるくらい、見事に人物を演じ分けていく。しかも、その切り替えの瞬間が、こちらには分からない。それでいて人物の思い、そしてその年齢や職業、身分差などが、しっかり伝わってくる。この秘密はなんだ、と知りたくなった。しかし、その方法が分からないので、取り敢えず志ん朝の落語一席を、そのまま真似してみようと、今は少しずつ覚えているところです。でも、最近は浮気して、柳家小三治、桂枝雀の落語にも惹かれています。いやぁ、落語は面白い。
さて、久しぶりに9月18日の「さくパン」に出演します。パントマイムをやるのか、一人芝居をやるのか、はたまた落語…それは流石に無いですが、いずれにせよ全身全霊で作品をお届けしますので、是非とも劇場まで足をお運びください。心よりお待ち申し上げております。
伊藤洋一