10周年特別企画として、観客の心に残った印象的なパントマイムの舞台についてファンの視点で熱く語るコーナーが誕生!今回は、パントマイムの熱心なファンである渡辺こーじさんからのお便りをお届けします。
月刊パントマイムファン 創刊10周年おめでとうございます。
毎回拝読していますが、パフォーマーとファンの皆さんのパントマイムに対する熱い思いが良くわかります。
さて、私が忘れることのできない舞台があります。が~まるちょば『BOXER』。
2004年春、横浜市内で家族と一緒に初めて見たパントマイムの劇場公演です。
終盤、HIRO-PON演じるボクサーが連打される、ケッチ!演じるセコンドが檄を飛ばす。
時間が一瞬止まり、そして時にはゆっくりと流れ、また動く。また、その空間からはボクシング会場の熱気や歓声が見ている者の体全体に伝わってくる。
しかし、舞台にはふたりだけ、そう気が付いたのはカーテンコールの時でした。
不思議な感覚ですが、泣きながら笑っている自分がいました。胸の底から熱いものが湧き出る、それが波のように押しては引き、引いては押してくる反復の連続。
その後も『BOXER』を見ましたが、毎回異なる感覚を受けました。2度、3度と見る度に泣くと笑う比率が変わってくるのも不思議です。
パントマイムとの出会いは、末娘(当時小学校3年)と横浜・野毛大道芸で偶々見たふたりのパフォーマンス。「面白いね、明日はママと一緒に来ようよ」
翌日のパフォーマンス後に貰ったチラシが『BOXER』公演で、その公演パンフレット内に折り込まれていたのが、日立大道芸のチラシでした。
日立で初めてふたりと話す機会がありました。
「大道芸と劇場、両方ともパントマイムなんですか? 教えてくれますか?」
「そうですよ。僕たちは演じるだけですが、教えてくださる方がいますよ」
そして、時を空けず細川紘未先生のワークショップへ末娘と参加。そのままTMC(TOKYOマイムカレッジ、代表細川先生)生徒に。入所後半年で試演会参加へ。このように、色々な機会が次々に繋がりました。
2019年春、ケッチ!の脱退により、が~まるちょばはHIRO-PONひとりとなりました。
しかし、舞台上に無対象のケッチが登場してくるような気がしてなりません。
人との出会いは面白いですね。これからも大好きなパントマイムを応援します。
2020年11月吉日 渡辺こ~じ