今号は、テレビの「笑点」でもお馴染み、舞台や大道芸で活躍のベテランのパントマイミスト、山本光洋さんの日記をお届けします。
2015年8月、35年ぶりにアメリカのグランドキャニオンを訪ねた。ラスベガス往復の航空券とアメリカに着いた夜と帰る前の夜のホテルを予約した以外は全部行きあたりばったりの旅。けど、思った通り何とかなった。
さて、グランドキャニオン。1,300mの高低差を行き(下り)は4時間、帰り(上り)は実に9時間かかって往復する。
谷底のコロラド川沿いのキャンプ場で、テントで1泊。
暑い。近くの小川で水浴び、夜も暑いのでテントの外で横になる。満天の星をながめる。10個くらい流れ星を数えたあたりで眠ってしまう。物音で目を覚まし上体を起こすと、周りにいた何匹かの動物がいっせいに走り去る音が聞こえたが、真っ暗なので何も見えない。
思わず「おおっ」と声を上げ、びびる私。怖くなってテントの中で寝ていると、テントの周りを動物がかぎ回っている足音、鼻息。暗闇の中ビクビクしているうちに眠りに落ちる。翌日は暑くなる前、早朝に出発した。
下りの時は景色をながめ、前に見た景色と比べる余裕があったのに、登りはただただ地面を見ながら歩く。時々振り返って、登ってきた道を見る。
さっきまで私がいた風景を見る。
35年ぶりだもんなー。もう来ることはないかなー。
いや、もう1回くらいは…。
今回は初め息子を誘ったが断られ、結局妻との2人旅。そうか、私は昔自分が感動した景色を誰かに見せたかったんだ。
マイムの公演絡みじゃなく、海外に来るのなんて初めてだなあ。これもいいなあ。時間と金さえあればグランドキャニオンはどうですか?いいですよ。
テントとかマットとか寝袋とか現地で借りて一泊20ドルちょっと。誰かいっしょにどうですか。
8月28~29日、どん亀座の亀田さんの仕事で福井県の敦賀に行く。行き帰り、本多愛也君と2人旅。行きはずっとしゃべってた。グランドキャニオンの話とか、愛也君もゴールデンウィークに海外に行った話とか、私の大道芸のネタを相談したり、あんなに長く2人で話したのは10年以上ぶりだったと思う。帰りは、疲れて、2人ともあまりしゃべらなかったなあ。
9月、小島屋さん、愛也君の「カニカマ」公演。久しぶりに観る。良かった。2人のいい歳したおじさん達、結構いけるじゃないか。2/16には小島屋さんも60歳になるから、また期間限定で“TORIO”をやろうかってそれがまた何かのきっかけになればと思ってたのに…。
10月28日、本多愛也亡くなる。
いつ舞台観ても「本当にバカだねー。しょうがねーなー」なんて感心させてくれるパントマイマーなんて、いないですよ本当に!
たまにしか会わなくてもなんか安心させてくれる人でした。いっしょに格好悪くなって、笑い合えると思ってた数少ない1人だったのに…。
残念で、悲しくて、悲しくて。
けどこれから先も、色々な場面で力を貸してくれると思ってます。また、きっと、いつか。
12月、愛也君と去年までの6年間、いつも11月、12月の2ヵ月間いっしょだった舞台「ア・ラ・カルト」の季節。この時期だけの役者です。やはり今年もいっぱいいっぱいでやり切りました。けど、今回は高泉淳子さんといっしょに芝居しながら「あ、楽しい」と思える時間がほんの少し持てました。セリフのことを気にせずに舞台にいるなんて、おいおい少しは進歩しているのかい?ま、時間かかるんです、私は…。
2015~16の大晦日から元旦にかけて西伊豆の土肥温泉に泊まる。元旦に加山雄三ミュージアムに行く。船長の帽子をかぶってポーズを決めたら、横山やすしになってしまった。トホホ。
というわけで2016年。
私の運勢は「季節に例えると、冬12月に相当し、冬枯れを意味し、春が来るのを待つ状態。悩み、困難、苦労が多い年」だそうです。なんだい今年もかい!
冬来りなば春遠からじ──がんばって地道にいきますよ、今年も。
カホンという楽器、近頃練習してます。
箱の形をした打楽器です。時間ある時にはやるようにしてるんですが、なかなか思うようには…。
理想としては“音楽に合わせてさりげなく格好良く机をたたく俺”とか“とても複雑なリズムをさりげなく正確にたたく俺”とか“飲んでいるビールのカンをリズムに合わせ指ではじく俺”なんですが…。
やっぱり時間かかるんですよ、私は!
今は毎日スタジオに通って公演のリハーサルです。
1月22~23日の「かかしになるために総集編」のです。
10年間続けた公演の作品の中から公演時間90分めざしてプログラムを決めてます。あれもこれもやりたい。ああ…長くなる…。
そして今回は「チャーリー山本」のもとになった、あやつり人形の作品を加納真実さんと実に14年ぶりにやる予定です。
当時のビデオ観てもなかなか面白く、今やっても行けると思うのですが…。
今後の公演、かなりいけそうな気がします。
是非是非観に来て下さい。
(1月と4月は別プログラムです)
○開演 1月22日(金)19:30、23日(土)14:00/18:00
4月8日(金)19:30、9日14:00/18:00
○会場 東京ノーヴィ・レパートリーシアター(下北沢南口より80歩)
○料金 予約\2,500 当日\3,000
○チケットご予約・お問い合わせ 山本光洋オフィス TEL:03-3951-1999(平日10~17時)
FAX:03-3951-1999(24時間受付)
メールinfo@koyoworld.com
○ホームページ:http://koyoworld.com/
そしてもう一つ、2/24(水)19:30開演、会場アワデライト(蕨駅前)で、こちらも上記2公演と違うプログラムでやる予定です(詳細:www.facebook.com/p.ourdelight(予))
山本光洋
2015年8月、35年ぶりにアメリカのグランドキャニオンを訪ねた。ラスベガス往復の航空券とアメリカに着いた夜と帰る前の夜のホテルを予約した以外は全部行きあたりばったりの旅。けど、思った通り何とかなった。
さて、グランドキャニオン。1,300mの高低差を行き(下り)は4時間、帰り(上り)は実に9時間かかって往復する。
谷底のコロラド川沿いのキャンプ場で、テントで1泊。
暑い。近くの小川で水浴び、夜も暑いのでテントの外で横になる。満天の星をながめる。10個くらい流れ星を数えたあたりで眠ってしまう。物音で目を覚まし上体を起こすと、周りにいた何匹かの動物がいっせいに走り去る音が聞こえたが、真っ暗なので何も見えない。
思わず「おおっ」と声を上げ、びびる私。怖くなってテントの中で寝ていると、テントの周りを動物がかぎ回っている足音、鼻息。暗闇の中ビクビクしているうちに眠りに落ちる。翌日は暑くなる前、早朝に出発した。
下りの時は景色をながめ、前に見た景色と比べる余裕があったのに、登りはただただ地面を見ながら歩く。時々振り返って、登ってきた道を見る。
さっきまで私がいた風景を見る。
35年ぶりだもんなー。もう来ることはないかなー。
いや、もう1回くらいは…。
今回は初め息子を誘ったが断られ、結局妻との2人旅。そうか、私は昔自分が感動した景色を誰かに見せたかったんだ。
マイムの公演絡みじゃなく、海外に来るのなんて初めてだなあ。これもいいなあ。時間と金さえあればグランドキャニオンはどうですか?いいですよ。
テントとかマットとか寝袋とか現地で借りて一泊20ドルちょっと。誰かいっしょにどうですか。
8月28~29日、どん亀座の亀田さんの仕事で福井県の敦賀に行く。行き帰り、本多愛也君と2人旅。行きはずっとしゃべってた。グランドキャニオンの話とか、愛也君もゴールデンウィークに海外に行った話とか、私の大道芸のネタを相談したり、あんなに長く2人で話したのは10年以上ぶりだったと思う。帰りは、疲れて、2人ともあまりしゃべらなかったなあ。
9月、小島屋さん、愛也君の「カニカマ」公演。久しぶりに観る。良かった。2人のいい歳したおじさん達、結構いけるじゃないか。2/16には小島屋さんも60歳になるから、また期間限定で“TORIO”をやろうかってそれがまた何かのきっかけになればと思ってたのに…。
10月28日、本多愛也亡くなる。
いつ舞台観ても「本当にバカだねー。しょうがねーなー」なんて感心させてくれるパントマイマーなんて、いないですよ本当に!
たまにしか会わなくてもなんか安心させてくれる人でした。いっしょに格好悪くなって、笑い合えると思ってた数少ない1人だったのに…。
残念で、悲しくて、悲しくて。
けどこれから先も、色々な場面で力を貸してくれると思ってます。また、きっと、いつか。
12月、愛也君と去年までの6年間、いつも11月、12月の2ヵ月間いっしょだった舞台「ア・ラ・カルト」の季節。この時期だけの役者です。やはり今年もいっぱいいっぱいでやり切りました。けど、今回は高泉淳子さんといっしょに芝居しながら「あ、楽しい」と思える時間がほんの少し持てました。セリフのことを気にせずに舞台にいるなんて、おいおい少しは進歩しているのかい?ま、時間かかるんです、私は…。
2015~16の大晦日から元旦にかけて西伊豆の土肥温泉に泊まる。元旦に加山雄三ミュージアムに行く。船長の帽子をかぶってポーズを決めたら、横山やすしになってしまった。トホホ。
というわけで2016年。
私の運勢は「季節に例えると、冬12月に相当し、冬枯れを意味し、春が来るのを待つ状態。悩み、困難、苦労が多い年」だそうです。なんだい今年もかい!
冬来りなば春遠からじ──がんばって地道にいきますよ、今年も。
カホンという楽器、近頃練習してます。
箱の形をした打楽器です。時間ある時にはやるようにしてるんですが、なかなか思うようには…。
理想としては“音楽に合わせてさりげなく格好良く机をたたく俺”とか“とても複雑なリズムをさりげなく正確にたたく俺”とか“飲んでいるビールのカンをリズムに合わせ指ではじく俺”なんですが…。
やっぱり時間かかるんですよ、私は!
今は毎日スタジオに通って公演のリハーサルです。
1月22~23日の「かかしになるために総集編」のです。
10年間続けた公演の作品の中から公演時間90分めざしてプログラムを決めてます。あれもこれもやりたい。ああ…長くなる…。
そして今回は「チャーリー山本」のもとになった、あやつり人形の作品を加納真実さんと実に14年ぶりにやる予定です。
当時のビデオ観てもなかなか面白く、今やっても行けると思うのですが…。
今後の公演、かなりいけそうな気がします。
是非是非観に来て下さい。
(1月と4月は別プログラムです)
○開演 1月22日(金)19:30、23日(土)14:00/18:00
4月8日(金)19:30、9日14:00/18:00
○会場 東京ノーヴィ・レパートリーシアター(下北沢南口より80歩)
○料金 予約\2,500 当日\3,000
○チケットご予約・お問い合わせ 山本光洋オフィス TEL:03-3951-1999(平日10~17時)
FAX:03-3951-1999(24時間受付)
メールinfo@koyoworld.com
○ホームページ:http://koyoworld.com/
そしてもう一つ、2/24(水)19:30開演、会場アワデライト(蕨駅前)で、こちらも上記2公演と違うプログラムでやる予定です(詳細:www.facebook.com/p.ourdelight(予))
山本光洋