今号は、汎マイム工房に長年在籍し、現在フリーとなり、舞台や大道芸で活躍中のパントマイミスト、たかくわみえさんの日記をお届けします。2度目の日記ご登場です。
こんにちは。たかくわみえと申します。
劇団汎マイム工房にどハマりする、パントマイム習い始めの頃のことを書いてみます。
私は大学時代は演劇サークル、卒業してからは養成所で演劇にはまる日々を過ごしました。
そんな中「大道芸ワールドカップin静岡」で「マルコカロレイ」さんを観て感動し、パントマイムを習いたいと思うようになりました。
当時の養成所ガイドにはマイムを習えるところは3つしか載っておらず、「まー、どこでも一緒だろ」という適当な気持ちで汎マイム工房の入所試験を受けました。
「2年くらいやって、壁マイムくらいできるようになったらやめよう」と思っていました。それが演劇をやっていく上で武器になればいいなと思っていたのです。
いわゆるパントマイムのテクニックだけしか学べないだろうと、というかテクニック以外のものなんてあるとも思わずにいました。
しかし、入所試験でのあらいさんの話に、私はボロボロ泣くことになりました。感動して。
当時行っていた演劇の養成所では、セリフの言い方ではなく「気持ちがセリフを言わせる」「気持ちが動きをうみだす」というようなことを教わっていました。
あらいさんの話では、もちろんそれもありつつ、逆に「動きや形が気持ちを作る」こともありなのだと。目から鱗、世界がぱあっと広がりました。
肩がついついあがってしまうクセのある子がいましたが、あらいさんはそのクセを真似してみるのだと言っていました。その動き、その体をやってみて感じてみる。「これは何かから自分を守ろうとしてるのか?」とか。
物になるのも同じでした。
風船のマイムをやる時には、まず風船になってみる。持ち上げられた時、体が膨らんでいく時、浮かんだ時、どんなことを感じるのか。
体に染み込んでいる教えは他にもたくさんあります。
その作品は、映画や小説や何か他のもので表現した方がいいのでは? マイムでやる意味はあるのか?
しゃべった方がいいならしゃべる。物を使った方がいいなら使う。あらゆる可能性の中から選ぶのだ。
普通ってなんだ?普通なんてない。
体にあらいさんの教えが染み付いた頃、とある公演の稽古が転機になりました。
公演のタイトルは「私の日記帳」。
一つ一つの作品が、日記の1ページのようにしたかった。
日記帳をめくり、その中に入っていくマイム。
あらいさん「何やってんだ、それ」。
その後いろんなやり方をしてみるも全部ダメ。
「あのオヤジ、何すればいいって言うんだ、こんにゃろー!」と1週間くらい攻防は続くもダメ。ついに私は
「もーいーや、ワケわからん。この公演が終わったら辞めてやるー!」とヤケクソになり、どーせ辞めるなら、自分らしく分かりやすくしようと無対象ではなく実際の日記帳を使って、「7月20日、晴れ。今日は~」と喋り出しました。
そしたら、あらいさん、「それでいいよ」と!
なにー!?こんなんでいいのかいっ!!
今思えばそれまでは「あらいさんが納得するように」「あらいさんにとっての正解」をやろうとしていたのです。そうか!自分の思ったようにやっていいのか!自分のやりたいことをやろう!
自分中心になれた瞬間でした。
そこから作品作りが楽しくてたまらなくなりました。
なんだか、あらいさんへの弔辞のようになってしまいましたが(笑)おかげさまで独り立ちして、好き勝手に楽しくやっています。パントマイムにこだわらず、銅像になってみたり、人形を遣ってみたり、しゃべりまくったり、バレエにのめり込んだり。
そんな私、8月末にソロ公演やります。亀田製菓のサラダせんべいが好きすぎて作品がいくつかできました。せんべいだけだとしょっぱいので、過去作品のいくつかもブレンドしてお届けします。たかくわみえ渾身のソロ公演です。ぜひともよろしくお願いします!
ご予約 https://www.quartet-online.net/ticket/senbei
お問い合わせ chiro.37.mie.g@gmail.com
読んでいただいてありがとうございました!
たかくわみえ
こんにちは。たかくわみえと申します。
劇団汎マイム工房にどハマりする、パントマイム習い始めの頃のことを書いてみます。
私は大学時代は演劇サークル、卒業してからは養成所で演劇にはまる日々を過ごしました。
そんな中「大道芸ワールドカップin静岡」で「マルコカロレイ」さんを観て感動し、パントマイムを習いたいと思うようになりました。
当時の養成所ガイドにはマイムを習えるところは3つしか載っておらず、「まー、どこでも一緒だろ」という適当な気持ちで汎マイム工房の入所試験を受けました。
「2年くらいやって、壁マイムくらいできるようになったらやめよう」と思っていました。それが演劇をやっていく上で武器になればいいなと思っていたのです。
いわゆるパントマイムのテクニックだけしか学べないだろうと、というかテクニック以外のものなんてあるとも思わずにいました。
しかし、入所試験でのあらいさんの話に、私はボロボロ泣くことになりました。感動して。
当時行っていた演劇の養成所では、セリフの言い方ではなく「気持ちがセリフを言わせる」「気持ちが動きをうみだす」というようなことを教わっていました。
あらいさんの話では、もちろんそれもありつつ、逆に「動きや形が気持ちを作る」こともありなのだと。目から鱗、世界がぱあっと広がりました。
肩がついついあがってしまうクセのある子がいましたが、あらいさんはそのクセを真似してみるのだと言っていました。その動き、その体をやってみて感じてみる。「これは何かから自分を守ろうとしてるのか?」とか。
物になるのも同じでした。
風船のマイムをやる時には、まず風船になってみる。持ち上げられた時、体が膨らんでいく時、浮かんだ時、どんなことを感じるのか。
体に染み込んでいる教えは他にもたくさんあります。
その作品は、映画や小説や何か他のもので表現した方がいいのでは? マイムでやる意味はあるのか?
しゃべった方がいいならしゃべる。物を使った方がいいなら使う。あらゆる可能性の中から選ぶのだ。
普通ってなんだ?普通なんてない。
体にあらいさんの教えが染み付いた頃、とある公演の稽古が転機になりました。
公演のタイトルは「私の日記帳」。
一つ一つの作品が、日記の1ページのようにしたかった。
日記帳をめくり、その中に入っていくマイム。
あらいさん「何やってんだ、それ」。
その後いろんなやり方をしてみるも全部ダメ。
「あのオヤジ、何すればいいって言うんだ、こんにゃろー!」と1週間くらい攻防は続くもダメ。ついに私は
「もーいーや、ワケわからん。この公演が終わったら辞めてやるー!」とヤケクソになり、どーせ辞めるなら、自分らしく分かりやすくしようと無対象ではなく実際の日記帳を使って、「7月20日、晴れ。今日は~」と喋り出しました。
そしたら、あらいさん、「それでいいよ」と!
なにー!?こんなんでいいのかいっ!!
今思えばそれまでは「あらいさんが納得するように」「あらいさんにとっての正解」をやろうとしていたのです。そうか!自分の思ったようにやっていいのか!自分のやりたいことをやろう!
自分中心になれた瞬間でした。
そこから作品作りが楽しくてたまらなくなりました。
なんだか、あらいさんへの弔辞のようになってしまいましたが(笑)おかげさまで独り立ちして、好き勝手に楽しくやっています。パントマイムにこだわらず、銅像になってみたり、人形を遣ってみたり、しゃべりまくったり、バレエにのめり込んだり。
そんな私、8月末にソロ公演やります。亀田製菓のサラダせんべいが好きすぎて作品がいくつかできました。せんべいだけだとしょっぱいので、過去作品のいくつかもブレンドしてお届けします。たかくわみえ渾身のソロ公演です。ぜひともよろしくお願いします!
ご予約 https://www.quartet-online.net/ticket/senbei
お問い合わせ chiro.37.mie.g@gmail.com
読んでいただいてありがとうございました!
たかくわみえ