映画「ホテル ムンバイ」
2008年のインド・ムンバイ同時多発テロでテロリストに占拠されたタージマハル・パレス・ホテルでの人質脱出劇を、のデブ・パテル主演で映画化。
2008年11月、インドを代表する五つ星ホテルが500人以上の宿泊客と従業員を人質にテロリストによって占拠された。宿泊客を逃がすために、プロとしての誇りをかけてホテルに残ったホテルマンたち。部屋に取り残された赤ちゃんを救出するため、決死の覚悟で銃弾の中へと向かう父と母。テロリストたちに支配される極限の状況下で、特殊部隊の到着まで数日という過酷な現実を前に、人々の誇りと愛に満ちあふれた脱出劇が描かれる。
「ホテル・ムンバイ」は、インドで起きた“ムンバイ同時多発テロ”が題材だ。テロによって罪なき市民が犠牲になる。これは決して、「海を隔てた遠い国」に限った出来事ではない。ラグビーW杯や2020年の東京五輪など、国際的なイベントを次々にホストする日本が、いつ標的となってもおかしくないのだ。
本作は、占拠された五ツ星ホテルからの“奇跡の脱出劇”を描く。ホテルマンたちの歓待の心が、多くの命を救った知られざる逸話。この映画は、あなたにも起こり得る“真実の物語”だ――。
もうひとつ特徴的なのは、描写の迫真性だ。乾いた発砲音が何十と重なり、人は倒れ、床は鮮血に染まる。テロリストによる殺りくは、意外とも思えるほど無慈悲に描かれ、観客は一気に絶望のどん底に叩き落とされていく。
アカデミー賞3部門ノミネート「ボーダーライン(2015)」の製作陣が創出した、迫真の映像。スクリーンを見つめる観客は、いつの間にか占拠されたホテルに身を置き、息を殺して物陰に隠れているような錯覚を覚えるだろう。
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