映画「理想郷」
2022年・第37回ゴヤ賞で主要9部門を受賞するなど、世界各国で数々の映画賞を受賞。
第35回東京国際映画祭では「ザ・ビースト」のタイトルで上映され、東京グランプリ(最優秀作品賞)、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を受賞。
監督:ロドリゴ・ソロゴイェン
「理想郷」は、1997年に終の棲家を求めてスペインの小村に移住したオランダ人夫婦を襲った悪夢のような事件を基にしたフィクション。原題の「As bestas」は「獣たち」の意。
スペインのガリシア州には野生の馬に刻印を施す慣わしがある。屈強な男たちが荒馬を力で捻じ伏せる。その行為は何を意味するのか。
知性と野性、教養と無学、よそ者と地元民、寛容と不寛容、理想と現実、豊かさに対する認識の差違。6年を費やした脚本と光と影を対比させる撮影で世に蔓延る醜行を焙り出す。
日本でも全国の僻地(?)に原発や風力発電が作られてきたり、小さな町に再開発の名の下に立派な道路や商業施設が出来てきた。映画の中のスペインの田舎の話がこれらの出来事の理由を明かしてくれている様に感じた。