映画「パラレル・マザーズ」
監督:ペドロ・アルモドバル
ジャニス役を演じたペネロペ・クルスが、2021年・第78回ベネチア国際映画祭でボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。2022年・第94回アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされた。
同じ病院の同じ病室で、同じ日の同じ時刻に、共に望まない子供を産んだ写真家のジャニスと17歳のアナが、病院側の不手際によって運命を狂わせていく様子を描いている。
さらにジャニスはかつてスペイン内戦で惨殺され、故郷の村の集団墓地に埋葬された曽祖父と村の男たちの遺骨を掘り起こすというライフワークにも取り組んでいる。
一見、何の脈略もない2つの時代とストーリーが、失われた家族への想いというテーマで括られる。
深刻なテーマを扱うがゆえ、決して笑いやユーモアにあふれているわけではないのだが、どこかカラリと描かれており、ジャニスの決断、意外な結末を含め、決してただ暗い作品にはなっていない。むしろ軽やかでとても観やすい、とすら感じる瞬間もあった。
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