ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

等持院

2021年02月09日 | Weblog
等持院は足利義満が夢窓疎石を開山に迎え創建された古刹。
夢窓疎石、京都では西芳寺(苔寺)や天龍寺の作庭に携わった名僧です。
鎌倉では瑞泉寺が有名ですね。

にもかかわらず、何故かちょっと知名度が低い=ゆったり過ごすことが出来る素晴らしい寺院です。
(お抹茶もいただけます)

書院からの眺めは格別です。


前半訪れた龍安寺とは打って変わって、情報量の密度がとても高いです。
間が抜ける余地が、ない!
夥しい数の石を埋めるように刈り込みが配され、有機物と無機物が庭を埋め尽くしています。
真冬にもかかわらず赤く染まったサツキに彩られた庭は一見賑やかです。


しかし、じっくり対峙していると・・・

まず、見事な石組みに目が覚める思いです。
大小様々な表情の石がきっちり収まり、見事な景を成しています。
枯滝石組のセンターには菱形に欠け落ちた不思議な石が据えられ、芙蓉池に浮かぶ島にも面白い模様の石が中央に鎮座しています。

苑路に従って方丈の北庭へ。

おっと!これは西芳寺のコンパクトバージョン!!
心字池には島が浮かび、配される石はミニマムで、芙蓉池とは対照的な静けさです。

芙蓉池と心字池で彼岸と此岸を現しているかのようです。
西芳寺も上下二段構えの構造ですが、等持院も構造的には同じなのかな?

方丈正面、小高いところに茶室清漣亭が建っています。

義政好み、村田珠光や相阿弥らと茶を興じたと伝えられています。

私にとってはうつせみの無常を突きつけられる庭なのですが、季節の花が咲き誇る華やぎの庭としても知られています。
特に初夏のサツキの頃は見事。
龍安寺から南下すること10分弱なので、是非合わせてお立ち寄りください。

あんまりじ〜っと庭を眺めているので、人の存在として認められないのか野鳥が飛来します。
今日は目にも鮮やかなコバルトブルーのラインが目を引くカワセミが2羽!
ジョウビタキのオス・メスもウロウロしていました。
大満足











いざ、龍安寺

2021年02月09日 | Weblog
先月、あまりに無人で驚愕した銀閣寺に倣い、普段は人だかりで落ち着かない龍安寺へ久しぶりに出かけました。
もう・・・、10年ぶりぐらいでしょうか。
10時前、ご覧の通りの状況です。


こちらは鏡容池沿いの「龍安寺垣」。


今日は最低気温0度の厳しい冷え込み。雪がちらついています。
空には雲があったりなかったり、急に日差しが強くなったかと思うと翳ったり・・・。
激しい光の変化と裏腹に、庭は静寂そのものです。


奥から。


15の石が据えられているはずなのですが、何度数えても14しかない!
それもそのはず、見えないように据えられているのです。
「なんかいじわる〜」って思いますよね。
それにはちゃんと理由があって・・・、
15は十五夜=満月=完全を意味します。
しかし、完全なものは満月と同じく欠ける=崩れゆくので、ひとつ足りないことで不完全なものにするのです。
七五三の庭、と呼ばれる所以です。
(「虎の児渡し」など、諸説あるうちのひとつ)

白砂はとても繊細に砂紋が描かれていて、穏やかで端正な印象です。
雲母の輝きはまさしく波に戯れる光の乱反射
これだけ間があって間抜けにならない石の選び方、配置、超絶技巧です。
白砂の穏やかな印象を裏切るように、石は結構鋭い形のものが選ばれています。
特に前方の石ほど厳しい表情。
最奥の石は少しなだらかな稜線で、お供の石はまるで磨かれたかのようにツルんとしています。
やはり遠近法が意識された上での石の選別でしょうか。

築地塀は50cmほど手前から奥に向かって低くなります。分かるかな?

この高低差(遠近法)が狭隘な庭を広く見せる視覚効果を生み出している、と言われています。

作庭時期も作者も庭の意味も謎だらけの龍安寺。
自分だけのストーリーを見つける自由が許されている、ということですね


ただ、ひとつびっくりしたのがこちら。

江戸の京都旅行ガイド、都林泉名勝図会に描かれた龍安寺石庭。
築地塀の向こうは、松!
今は枝垂れ桜が有名ですが、その優しい風情とは全く異なる格調高い雰囲気。
応仁の乱や江戸期の火災で方丈が消失しているので、少しずつ変化してきたのでしょうか。
ロマンあふれる庭ですね。



ここから等持院へ向かいます。
モーニングを食いっぱぐれてしまったので、途中のCafe山猫軒で早めのランチ。
温まりますよ〜とオススメしていただいたシチュー仕立てのココットハンバーグ。

寒い日は煮込み料理が恋しくなります。