9時1分、終点の千頭駅に着きました。駅構内には、前回の7月下旬の巡礼時にも見かけた「きかんしゃトーマス」仕様の展示車輌が並んでいました。
後で知ったのですが、赤色の機関車は「ジェームズ」、緑色のは「パーシー」でテレビ版のトーマスファミリーに属します。黒色のは「ヒロ」といい、2010年に公開された劇場版「きかんしゃトーマス 伝説の英雄」に登場する日本製の機関車という設定の登場キャラクターです。
そのストーリーによれば、「ヒロ」はソドー島に鉄道が建設されたときから働いていたが故障して、長い間放置されていました。トーマスと仲間たちは「ヒロ」を修理し、再び走らせました。最後に「ヒロ」は日本に帰るのですが、その際にトーマス達に「いつか日本へ遊びに来てくれ」と言い、トーマス達も「必ず行くよ」と約束しました。
その劇場版での設定を大井川鉄道はそのまま生かして、まず「ヒロ」をトーマス機関車運行開始の約4ヵ月前に9600形機関車からの再現で登場させ、その後にトーマス機関車をC11形からの再現で導入して2014年夏より運行を開始し、「ヒロ」とも並ぶシーンを実現させて、トーマスが約束通りヒロに会いに来たという粋な場面を演出したのでした。
これはなかなかうまいやり方で、たちまちにトーマスファンのみならず、大勢の子供たちの人気を集めることに成功しました。現在も大井川鉄道には子連れの若いファミリー層が大勢遊びに来ていて、きかんしゃトーマスの運行が無くても千頭駅の「ヒロ」に会いに行って遊ぶ、というスタイルが定着しています。
なので、この日の列車にも何組かの若い子連れの夫婦が乗っていて、トーマスの絵本を持っている子も見かけました。千頭駅に着くや、「ヒロ」や「ジェームズ」を見て子供も親たちもテンションが上がっているのでした。見ていて、大井川鉄道はトーマスとのコラボが無かったらどうなっていたんだろうな、と思いました。
さて、千頭駅に降りました。初めて乗った旧東急電鉄の車輌を撮影し、既に改札口へ行ってしまった他の乗客たちの後を追いかけてホームを小走りに移動しました。
千頭駅においても空には雲一つありませんでした。やったぞ、この上天気のタイミングを長いこと待っていたんだ、と改めて感動しました。
千頭駅の改札口は、上図のように右側が外へ出るゲート、左側がアプト式列車りホームへのゲートになっています。今回はアプト式列車に乗って終点の井川まで行くので、左側のゲートを通りました。
千頭駅のホームにて待機していたアプト式列車です。5月上旬の一回目の巡礼でアプトいちしろ駅まで乗り、それから長島ダム駅から奥大井湖上駅まで乗っています。今回は、まだ乗っていなかった奥大井湖上駅から終点井川駅までの区間をも乗って、初めての井川線全線乗車を果たすわけでした。
今回は前から2輌目の一番前列の席に座りました。普通の電車と違って四方がすべて窓になっているアプト式列車ですので、上図のように1輌目の様子もよく見通せました。
千頭駅を9時13分に発車しました。上図は、次の停車駅の川根両国駅を出た後にすぐ右手に見える両国吊橋です。前回の7月下旬の巡礼時に千頭駅前のカーケア中原にて志摩リンビーノをレンタルし、この吊橋へも行って渡りました。
大井川に沿って幾つもの橋梁を渡りました。橋を渡るたびに蛇行する川が左右に移動して景色が変化してゆくのでした。ほとんどは川上の高い崖面の縁のような地形を走るので、戦前の昭和10年にダム建設のための専用鉄道として敷設された当時は相当の難工事であっただろうな、と感じました。
車内に貼ってあったプレートです。乗っている車輌が昭和37年製造、メーカーは日本車輌会社、現在の日本車輌製造株式会社です。今は亡き父が鉄道工学の技術者として勤めていたので、ひょっとしたらこの車輌の製造にも関わっていたのかもしれないな、と感慨深くプレートを眺めました。
泉大橋の赤い鉄橋を眺め、やがてその下をくぐりました。
9時52分、アプトいちしろ駅に着きました。上図は駅の手前の待機線に居たアプト式ED90形電気機関車です。アプトいちしろ駅でこの機関車を、列車の後尾に連結しました。ゆるキャン原作コミック第11巻14ページにも描かれる「合体」こと「ブッピガン」の場面を、今回も大勢の乗客がスマホ片手に見物していました。 (続く)