房総閑話

廉価版コンデジでどれだけ撮れる?

アメリカフウロ(亜米利加風露)

2019-05-12 10:50:29 | 写真


あの「ワルナスビ」の名付け親の牧野富太郎先生が、昭和初期に京都で発見したフウロソウです。

アメリカフウロ。漢字で、亜米利加風露。北米カロライナ産のフウロソウ属の種です。学名の種小名が北米カロライナ産です。日本固有のフウロソウは地域による変種が多くエゾフウロを基本種(母種)として、ハクサンフウロ(伊吹山から東北にかけての高地)、イブキフウロ(滋賀県伊吹山)、ハマフウロ(本州北部から北海道にかけての海岸)、オガフウロ(秋田県男鹿半島)などがあるようです。特異な地域に行かなければ見ることが出来ないフウロソウですが、アメリカフウロは日本各地どこでも繁殖しているので見ようと思えば見られます。

フウロソウの謂われ、和名の風露はなぞです。草地を風露と呼んだということも書かれていましたが、一般に浸透していません。

ゲンノショウコと同じ科属なので花は似ています。
深く切れ込んだ大きい葉が特徴的です。

花径は5mmほどで小さいですが、葉は2~7cmと大きいです。



よく見るとガクの先が尖っていますね。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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ハナイカダ(花筏)の雄花と雌花 ~ 葉から花

2019-05-10 10:17:35 | 写真
2018年の7月。ハナイカダの実を見て、春に花を見ることが出来なったことを悔しく思い、来年(2019年)の春には絶対に見る!と決意して、見ることができました。
4月の中旬から新芽が出ると共に雄株の葉に雄花のつぼみがついているのが見られました。雄花から1週間くらい遅れて雌株の葉に雌花のつぼみが見られました。

雄花はひとつの葉にたくさん咲きます。
雌花はひとつの葉に1個か2個しか咲きません。

つぼみの付いた雄株の葉



つぼみの付いた雌株の葉



雄花のつぼみ



雄花のつぼみ



雌花のつぼみ



雌花のつぼみ



つぼみの期間は雄花、雌花とも10日くらいありました。

雄花は花びらが3~4枚で、雄しべは3~4本です。

雄花



雄花



雌花は花びらが4枚で、中央に雌しべがあって柱頭は4裂しています。

雌花



雌花


蜜が豊富なのか甘いのかアリが花に顔を入れていました。でも、雄株と雌株がすぐ隣にあるわけではないので、アリは蜜泥棒ですね。

横から見た雄花



横から見た雌花

(Canon IXY DIGITAL 510IS)

7月になると葉から実がなっているのが見かけらるようになります。

2018年のハナイカダの実の記事で葉から実がなっているところが見られますので、よかったら見てください。


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セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)

2019-05-08 11:02:01 | 写真


田んぼと雑木林に挟まれた農道に変わった形の花がさていました。

セリバヒエンソウ。漢字で、芹葉飛燕草。明治時代に渡来した中国原産で、キンポウゲ科ヒエンソウ属のセリ科のシャク属の葉に似た種です。和名通りツバメが飛んでいるような形の花ですね。
学名に付いているシャク属とは世界に20種、日本ではヤマニンジンの1種しかない属です。単純明快に「セリの葉に似た」ではだめだったんでしょかね。

ヤマニンジンは見たことがないけど、セリバ(芹葉)という名前通りセリの葉に似ています。


学名の属名 Delphinium はイルカのことで、つぼみがイルカに似ているから付いたそうです。

つぼみはイルカのよう。


それにしても見れば見るほど変わった形の花びらです。
調べてみると、花びらに見えている外側の5枚はガクで、外側の上の1枚から筒状の距(きょ)が飛び出しています。内側には角のような花びら2枚と雄しべや雌しべを守るような2枚の花びらが見えます。そのうち本当の花びらは角ような2枚で、雄しべや雌しべを守っている本当の花びらのように見えているのは雄しべが変化したものです。

いっぱい花びらがあるのに本当の花びらは内側の上の2枚だけです。








セリバヒエンソウの群生に沿ってが10mほど行くと、なんとセリバヒエンソウの隣はムラサキケマンです。これまた、葉はセリに似ています。
両方とも毒草です。花が咲いていない時期ならヤマニンジンやセリと間違えるかもしれませんね。

左側がセリバヒエンソウ、右側がムラサキケマンです。



両方ともセリの葉に似ています。



ムラサキケマンの花です。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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ツルカノコソウ(蔓鹿の子草)=千葉市要保護生物指定種 ~ 千葉市緑区

2019-05-06 10:56:22 | 千葉市レッドリスト掲載生物
どこにでもあるけど自分はまだ名前を知らない。そういう植物の名前は調べるとわりと早くわかります。そのような植物の写真を撮っているつもりなんだけど、中には何度も図書館やネットの図鑑を調べてみるけど、なかなかわかりません。わかったときはすごくうれしいです。
この植物は名前がわかるまでに10日もかかってしまいました。

ツルカノコソウ。漢字で、蔓鹿の子草。別名、ヤマオミナエシ(山女郎花)。オミナエシ科カノコソウ属のはなはだ軟弱な種。ロシアの植物学者カール・ヨハン・マキシモヴィッチさんが命名しました。学名の最後に、「Maxim.」と表記されていればこの先生が名付け親です。

千葉市2004年版レッドリストにカテゴリーC・要保護生物の指定種として記載されています。

湿気の多そうな日陰の雑木林の林縁に白い小さな花をたくさんつけて咲いていました。


花は散房花序。
散房花序とは正確には散房状の集散花序で、花は皿状に並びます。植物学のわかりにくいたとえです。皿状とは同一平面状ということです。ひとつひとつは小さい花ですが、見た目大きな花に見えます。茎の下の方から咲いている花は同一平面で咲くので花柄は長くなります。茎の上の方の花は花柄は短いわけですね。







花びら(花冠)は漏斗形です。





カノコソウは薬草ですがツルカノコソウはそうではないようです。
ぱっと見るとなんでツルなの?と思います。ところがよく下を見ると、根っこのようなツルが四方に伸びています。


(2019年4月19日撮影)

冠毛は枝別けれして羽状になります。
冠毛とはタンポポの綿毛のことです。ガクが変化したものだそうです。
冠毛は初めはくるくるもとまっていて、時間と共に開いていきます。

冠毛を写真に納めたくて撮りに行きました。
どうでしょう?わかりますか。



冠毛の羽状の神秘さが伝わればいいのですが。




(2019年5月3日撮影)
(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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ヤエムグラ(八重葎)の疑問

2019-05-05 10:01:04 | 写真
ヤエムグラの花は花径2mmの小さい花です。



ヤエムグラ。漢字で、八重葎。アカネ科ヤエムグラ属の雑種の種で刺のあるもの。

ヤエムグラは道端や雑木林の林縁部に生い茂っている双子葉植物です。
片仮名で表記された「ヤエムグラ」は何か日本の植物ではなくて西洋ぽいですね。実際、自分は近年に渡来した帰化植物かと思いました。何を意味するかまったく想像できなかったからです。
今回は、勝手にヤエグラムの疑問と称して疑問を解いていって見ましょう。


疑問1.和名漢字の葎(むぐら)って何?
「葎」、初めてみた漢字で意味もわかりませんでした。
「葎」は生い茂って藪のようなつる草の総称です。




疑問2.八重ってどこを指すの?
葉っぱの数と考えられますが、「幾重にも重なって茂っている」の意味です。




疑問3.学名が Galium spurium var. echinospermon えっ var.?
「var.」は「変種」の意味です。と言うことは、基本種(母種)があると言うことですね。
基本種(母種)は Galium spurium です。では何か。トゲナシヤエムグラでした。刺の無い種が本流で刺のある種が本当は傍流なんですね。なら、『トゲアリヤエムグラ』と呼べばよかったのに。
ところでこの刺は茎だけでなく葉にもあり、葉の先の刺は鋭くなっています。これが「葎」を作り出しています。鋭い刺を引っかけて体を動かないようにしてそれを手がかりにしてさらに蔓をのばす、を繰り返し幾重にも重なるように生い茂っていきます。

茎は4稜(四角)で稜(角の部分)に下向きの刺があります。



疑問4.ヤエムグラの葉の数は本当は何枚?
ヤエムグラはアカネ科の種子植物です。「アカネの葉っぱはどれ」の記事 を見てください。
そうです。ヤエグラムも本当の葉は2枚です。残りは托葉が変化したものです。托葉とは葉柄の両側の脇から芽生えの時に葉を保護する器官です。成長と共に托葉を落としてしまうもの、毛や刺や蔓のようになるものとさまざまです。アカネ科は葉にようになったのですね。こういう器官を「偽葉」と呼びます。
そこで更なる疑問です。2枚の葉の両側の托葉が偽葉になったのなら葉に見えるのは6枚のはず。7枚?8枚?の残りの1枚、2枚はどこからきたのでしょう?

新しい茎が出ている部分の葉が本当の葉です。




(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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金平糖が咲いている、ケキツネノボタン(毛狐の牡丹)

2019-05-02 10:30:02 | 写真
金平糖が咲いているような花を農道の脇に見かけました。

ケキツネノボタン。漢字で、毛狐の牡丹。キンポウゲ科広東のキンポウゲ属。
和名はキツネノボタンとケキツネノボタンを毛があるかどうかで見分けていますが、学名は毛のあるヤマキツネノボタンを基本種(母種)と考えているので、毛があるかどうかでは同定を考えていません。




ケキツネノボタンは葉の裂片は重なりません。



金平糖がいっぱいです。金平糖にタンポポの綿毛がくっついています。







(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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クサノオウ(草の王)

2019-05-01 11:05:42 | 写真
ヤマブキが農道の脇に咲いている、と思ってよく見ると雌しべが異様に長い花です。

クサノオウ。漢字で、瘡(くさ)の王、草黄、草の王。ケシ科クサノオウ属の大きな種でアジアで生育する個体群です。基本種(母種)がクサノオウのアジアの変種です。

たくさん咲いています。



茎や葉やつぼみにちょっと長めの白い毛が目立ちます。


たくさんある雄しべの中に緑色の雌しべが飛び出しています。




かわいいのですが、ちょっと危険かな。



和名の草黄は草を切ったところから黄色い乳液を出すから付いた名前です。
瘡(くさ)の王は皮膚疾患に効能があるから付いた名前です。
草の王は薬草の王から付いた名前です。
麻酔、皮膚病などに効く薬草です。ということは、毒草でもあります。乳液が皮膚に付くとかぶれます。誤食すると酩酊状態、嘔吐、昏睡、呼吸麻痺を引き起こします。
薬用植物と有毒植物は本当に紙一重ですね。
クサノオウ属の学名にはツバメがついています。西洋ではツバメがこの植物の乳液で雛鳥の眼を洗い、視力を強める言われているそうです。

ナナホシテントウの幼虫です。ナナホシテントウに毒があるのは有毒植物を食草にしているから?

(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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