漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

影響受けるも、ほどほどに…

2010年06月19日 23時10分41秒 | 第16話/天才少年と手紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 モーツァルトさん、渡英時に、
当時英国で、公開演奏会などを開いて活躍していた、
クリスティアン・バークさん ( 1735-82 ) に可愛がられ、
大きな影響を受け、終生尊敬していました。

 クリスティアン・バークさんも、
ハンデルさんのように、
ドイツ語圏からイタリアへと向かって武者修行した後、
英国へとやって来て、
シャーロット・ソファイア妃の音楽教師として、
王室にも仕えていました。

 クリスティアン・バークさん、
現代では大バッハと呼ばれている、
ヨハン・セバスティアンさん ( 1685-1750 ) が、
再婚した相手との間にもうけた末っ子なのでした。

 大人になったモーツァルトさんは、
後援者、ヴァン・スヴィーテン男爵から、
大バッハさんの楽譜を見せてもらいました。
そして、バッハ家親子二代から影響を受ける事となります。

 モーツァルトさん、
他にも当時の大勢の作曲家さん達から影響を受けているので、
前古典派&古典派の作曲家さん達のCDを聴いていると、
特に、カール・シュターミッツさん ( 1745-1801 ) の
「 クラリネット協奏曲集 」 とか、
本当は影響を与えた方なんだろうに、
なぜか、

「 モーツァルトに似ている。 」

― と、逆方向に思ってしまうのでした。

「 モーツァルトが似ている。 」

― ってのが正しいのですが。

 …現代では、当時とは知名度や評価が、
大逆転しているからなんでしょうけどね。


 ところで、実は作者、
この話を描いて行く上で当然有り得る事で、
覚悟もしていましたけど、
それでもやっぱり、
トリストラム・シャンディさんの性格の影響を受けてしまって、
日常生活に支障をきたすくらいの事が何度かありましたね。

 でも、それらは、ハリソンさんの今後の運命や、
心の動きにも反映されて行くんでしょうから、
この物語の完成度を上げるとか、
説得力やリアル感を出すためには、
決して無駄な事ではないんでしょうけどね。

 しかしながら、スターン聖下崇拝者の方々が、
彼を大好きで、似ていたらいーなーなんて願ったあまりに、
世間から迫害を受けるような言動を、
ほとんどオートマチックにしてしまったり、
ボーっとして、トンデモない大失敗を、
やらかした事はないんだろうかと― 。

 それほどでは無い作者ですらこうなんですから、
崇拝者の方々には…大きなお世話ながらも、
心配になる事があるんですけどね。
どぅおーですか!?

 …第15話に出て来た、フレディ君の将来も心配だな~。


 今日の続きは明日。






 


意味が分かって作曲してるのだろうか?

2010年06月16日 21時51分45秒 | 第16話/天才少年と手紙
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 ハンデルさんは、第4話でも書きましたが、
元はドイツのハレ出身である、
ヘンデルさんの英国での帰化名です。
「 エアと変奏 」 は、現在では 「 調子の良い鍛冶屋 」
と呼ばれています。

 トーマス・オ―ガスティン・アーンさん ( 1710-78 ) の
「 ブリタニアよ統治せよ 」 は、
現代でも英国で愛唱されているらしいのですが、
歌詞がとってもとっても勇まし過ぎて、
もし、日本人が同じ趣向の曲を、
公の場でみんなで歌ったのなら、
近隣諸国からブッ飛ばされそう
です。

 この漫画では、譜面台で隠れていますが、
大人になったモーツァルト姉弟が、
内側の手を交差させて、
ピアノの連弾をしている絵が実在していますので、
もしよろしかったら、
そちらを参考にして下さい。

 現代では、 「 ピアノソナタハ長調 K19d 」
のタイトルで呼ばれていて、
楽譜と収録CDもありました。
ハリソンさんの言っている個所は、
第3楽章ロンドーの中間部のようです。

 「 さあ怒りにまかせて 」 は、
訳詞から想像するに、
娘がこれからしようとしている事を、
父親が咎める歌らしいのです。

 当時のロンドンの法律学者ディンズ・バリトンさんという人は、
モーたん作品の感情表現が素晴らしいと言っていたそうですが
…よく現代の評価家さん達から言われる褒め言葉、
「 純化された感情表現が巧みだ。 」
― と同じ意味なんでしょうか?

 当時、音楽では多感様式とか、
また、文学と両方でシュトゥルム・ウント・ドラング運動とか、
絵画では新古典主義とかいう
新しい表現方法が現れていたようですが、
まだあまり複雑な感情が、
連続表現できる段階では無かったようです。

 そんな時代の中で、
「 トリストラム・シャンディ 」 の感情表現方法は、
時代の先を行き過ぎてて、
異様だったんでしょうな。

 つーか、読む人の性格によっては、
21世紀現在でさえも、
時代の先を行き過ぎているって感じの異様さで、
付いて行きたくないと思うんじゃない?


〈 次回の更新は、6月19 ( 土 ) ・ 20 ( 日 ) 日の予定 〉

ハリソンさんの不幸な運命を変える、少女との再会が ――。


 



 

何ゆえ、この曲を選んだ?!

2010年06月13日 12時53分18秒 | 第16話/天才少年と手紙

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 少年モーツァルトさんのコンサート演奏曲目が変更になり、
3コマ目4コマ目の描き変えが必要になったため、
土曜日更新が予定通りにはできませんでした。

 最初、演奏する第1曲目は、
現在、 「 ピアノ協奏曲第3番ニ長調 」 と呼ばれている曲になっていて、
3コマ目がその曲の構成についての説明に当てられていました。

 ところが、その曲は、モーたんが1767年の11歳の時に書いたのだという事が、
分かりました。
1765年までに楽譜出版されていた、
ドイツ語圏の作曲家の作品を編曲した曲だったのを、
モーたんの作曲年と勘違いしていました。


 それで、3コマ目をこのように修正しようとしましたが ―― 。

              ▼




 …何か、凄くぎうぎう感がするし、
4コマ目もそのまま使用しようとしたけど、
モーたんが何の楽器を弾いているのかが分かりにくいので、
上の2コマ目までを切り取って、新しい原稿用紙に貼り付け、
3・4コマ目を全く新たに描き直ししました。

 当時、ピアノはすでに発明されていて、
家庭用楽器として富裕層で普及していたようで、
英国は製造の先進国だったとの事だそうです。

 …ただ、モーツァルト家のメンバーが、
渡英中にピアノを弾いたという記録がないのだそうです。
そして、ピアノが公開コンサートに登場するのも、
クリスティアン・バーク ( 1735-1782 ) さんが、
1768年に使用したのが最初だったとの事でした。

 という訳で、モーたんは、ヴァージナル型スピネットという、
鍵盤楽器を弾いているらしいのですが、
ハリソンさんが着席している側からの見え方に
近い姿で描き直しました。

 「 リラブレロ 」 は、 「 トリストラム・シャンディ 」 の
トゥビー叔父さんが、何か釈然としない事があった時に、
よく口笛で吹いている曲なんですが、
世間の流行り物を気にする、モーパパのレオポルドさんが、
ロンドンの聴衆に対して、
ヘンに気を使って選んだんでしょうかね?

 …まぁ、この曲に関しては、また今話の終了後、
「 トリシャン・カノ紳Version.3 」 で特集しようと企画していますが ― 。


 続きは、明日か明後日か明々後日までにはできたら…いいなぁ…。



紳士淑女の皆様どうかご着席を!

2010年06月06日 17時12分22秒 | 第16話/天才少年と手紙
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 え~、ハリソンさん、髪型がしょっ中変わっていて、
かつタイミングが不自然だとお思いの方は、理由をこちらでお調べ下さい。
何か今話では、前髪の長いポール・ベタニーさん系から福山雅治さん系の
髪型に突然変わっているような印象を与えそうなので ― 。

 べックフォード家は、砂糖で巨万の富を得ていて、
まいけるっちの奥さんであるべリンダさんの実家は、
お茶っ葉の販売&喫茶店経営をしているので、
その繋がりでの知り合い同士なのかもしれません。

 ガキンチョ・モーツァルトさん、
ロンドンでは前市長さんの跡取り息子で、
後にBL事件を起こして社交界から追放されたり、
ウォルポールさんの苺ヶ丘城を、
「 あんなのゴス城じゃないね! 」
と嘲笑して、フォントヒル・アベイの城を建てたり、
「 ヴァセック 」 というゴシック小説を書いたりした、
ウィリアム・べックフォード ( 1760-1844 ) さんに、
クラヴィア ( 鍵盤楽器 ) を教えていたのだそうです。

 立派なオジさんの書いた修養の書を読んでいて、
( たいてい歴史上の偉人さん達のエピが満載だったりする。 )
時々ガッカリする事があるのですが、
そんな時、書いてあるのは大抵ハイドンさんにまつわる誤解なのでした。

 交響曲はハイドンの発明である。

― って、書いてあったりするんです。
「 交響曲の父 」 と呼ばれているせいなのでしょうか?

 実際は、17世紀にオペラが成立し、
冒頭に演奏される序曲 ( シンフォニア ) が段々に進化して来て、
そのうちオペラやお芝居だけでなく、
演奏会の始まりにも使用されるようになり、
最後には独立して鑑賞される1ジャンル ( シンフォニー ) になったらしいのでした。

 で、本ページでは、 「 交響曲第4番ニ長調、ケッヘル19 」
と現在呼ばれている曲が、
演奏会のオープニングに流れて、
聴衆に着席を促すというようになっています。

 ついでながら、現在では、
モーツァルトさんのパパりんであるレオポルドさんの作曲という事になっている、
「 おもちゃの交響曲 」 は、
作者の子供の頃、学校の音楽室にあった年表では、
ハイドンさんの作曲と書かれていました。


次回の更新は、6月12 ( 土 ) ・ 13 ( 日 ) 日の予定。

    ハリソンさん、モーたんが初っ端に弾くクラヴィア曲に困惑。


 

 


天才モーツァルト少年を見に行こう!

2010年06月05日 19時23分08秒 | 第16話/天才少年と手紙
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 ハリソンさん、アラベラさんにハート・ブレイクしちゃた後でもあって、
第14話のお終いの方で本屋さんにも言ってあったように、
フランスで ♪ センチメンタル・ジャーニー ♪
しちまいましたとさ ―― 。

それで、

 1763年4月から7月の間各地を放浪。
プロヴァンス地方の、ある村に11月初旬まで滞在。

 11月末にパリに戻る。

 12月から64年の5月まで、
カフェ・ブルトンに下宿しながら、
家賃代わりに店の跡取り娘マリアンヌさん&
店の客相手に英語を教える。

 その後、ロンドンへと戻って来て、
一旦ヨーク州にある、クラングベルフィールド村の自宅にも帰る。

 12月にまいけるっち一家と一緒にまたロンドンへと来て、
トリストラム・シャンディ氏がらみの用事を済ませた後も、
7月末まで滞在していた。

―― という所から、
第16話が始まります。

 ハリソンさん、 「 いっそ死んでしまいたい。 」
― とまで思い詰めながら、
〈 ふらんすひとり旅 〉 していたのに、
ジェヴォーダンの獣さん出没とは、ちょっと時期がずれて、
遭って食われずに済んでしまいましたね!


 一方、ヨアネス・クリュソストムス・ウォルフガング・テオフィール・モーツァルト ( 長っ! ) さんは、

 1763年1月18日にパリ着。

 64年4月23日にロンドン着。

 65年7月24日、
フランスのカレーへと向かうためにロンドンを立つ。

 8月1日、カレーで英国館泊。

―― らしいですな。

 …ちなみに、英国館というのは、当時のカレー市にあった、
有名ホテルで、本物語の第1~3話でハリソンさんが泊っていた、
英国ホテルのモデルになった場所です。

 その時にも書きましたが、ここの主人のデサン氏は、
ヨアネス・クリュソストムス・ウォルフガング・テオフィール・モーツァルトさんが、
未来には、ローレンス・スターン聖下をはるかに凌ぐつーか、
比べようもないくらいの18世紀の超有名人、
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトさんになるというのには、
気付けなかったようです…。

 
 * * * ついでに本ページのネーム * * *




 ハリソンさん、自分で 「 天才少年だった。 」 ― なんて言ってますが…。


 今日の続きは明日。


第16話 登場人物紹介

2010年05月23日 15時45分12秒 | 第16話/天才少年と手紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 え~、ちなみに、カンディ君、
実は作者の同名の飼い猫がモデルなのでした。
白くて、大きくて、モフモフで、性格は陽気で、大食らいで、お喋りな猫さんです。

 …つーか、この物語、全ての登場人物に対してモデルが実在するんですがね。
ちなみに、作者は第4話に出て来た 「 小賢し男 」 のモデルだと、
どこかに書いた記憶があるんですが ― 。

 他の人物のモデルについても、
どこかで明かす事があるかもしれません。

予告編 おまけ

2010年05月23日 15時43分48秒 | 第16話/天才少年と手紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 え~、今話では、
現代だと18世紀きっての大有名人と思われている、
モーたん人気便乗一色の話かと思いきや ― 。

 ハリソンさんが、 「 トリストラム・シャンディ 」 愛読者からの、

LOVE LOVE アッツ~イ  お手紙ッ!!

― を読んで、感想に対しての感想を述べるつー、
カゲキな場面もアリなのでした。


 第16話の開始は、6月4日 ( 土 )からの予定。

第16話/天才少年と手紙 予告編

2010年05月23日 15時42分59秒 | 第16話/天才少年と手紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 ヨアネス・クリュソストムス・ウォルフガング・テオフィール・モーツァルトさんは、
少年時代に家族と共に、欧州をめぐる演奏旅行に出かけていて、
1763年から66年にかけて行われた旅行では、
英国にも滞在していました。

 ハリソンさんは、友人のまいけるっちと奥さんのべリンダさんの誘いで、
モーツァルト少年のサヨナラ演奏会に出かけます。
そこで、少年と友達同士らしい、
ある少女と運命の再会をするのでした。

 後日、ハリソンさんは、
本屋から 「 トリストラム・シャンディ 」 と自作へのファンレターを
受け取ります。

 その中に演奏会で見かけた少女からと思われる手紙があり、
ハリソンさんは書かれていた住所へと
出かけて行くのでしたが ― 。