えん罪・布川事件 国賠を求めてたたかう夫の傍で

えん罪を晴らし、普通の一市民に戻った夫。二度と冤罪が繰り返されないようにと、新たな闘いに挑む夫との日々を綴ります・・・。

拷問禁止委員会の傍聴に・・・

2013-06-02 | 日記
 国連(ジュネーブ)で行われた、拷問等禁止条約第2回日本政府報告審査(拷問禁止委員会)を、国際人権活動日本委員会の皆さんと一緒に傍聴して来ました。
2007年に、夫の代理で私が(一緒に杉山卓男さんが行きました)参加し、40年近くえん罪で苦しみ、裁判のやり直しを求め続けている布川事件について訴えてきました。
2008年には、今度は、夫が自由権規約委員会に。
(もちろん、たくさんの方々からご援助を頂いての参加でした)

 そして、今回は夫と一緒に「2011年に布川事件が解決したこと」を報告出来る喜びを持って参加して来ました。
同時に、裁判上の解決は見たものの、実際には「誤判の原因は解明されない」「誰も責任を取らない」「謝罪もない」「えん罪を繰り返さないための改善策も一つも明言されない」。
この日本の現状を訴えて来ました。

 審査委員とのミーティングでは、夫が英語でのスピーチに初挑戦。
出国前から、いろいろ準備面で間に合わない状況があり、現地に行ってからも直前まで夫は電子辞書が離せず、初めてというだけでもかなりのハードルだったのに、直前に原稿を3分で準備したものを2分で納めるように言われ、もう必死で迎えた本番でした。
でも、本当に本番に強い夫で、「堂々と」やってのけちゃいました。
すっごいひとだな・・・、と妻の私が改めて思うような・・・。

 でも、でも、でも・・・
出発前から、「体調がいまいち」と言っていた夫は、とうとう38度の熱を出してダウン!
翌日は「ホテル」に籠りきり。
観光どころではありませんでした。
同行者の皆さんには、たくさんお気遣いいただき、私は、夫の風邪が皆さんにうつらないかと気が気ではなかったのですが、その分、しっかり私が貰ってしまい、このツアーの後半は私が体調を崩す羽目に。(実際は帰国後に私も38度の熱を出し、寝てしまいました)

 現地(グリンデルワルト)でのホテルで、体温計を借りた時の話。
貸してはいただけたのですが、保証金として20スイスフランを出すように言われました。
返却時に返してくれるのですが、「あ~、日本と違うなァ~」と実感。
次回、海外に行く時は、体温計も必須かな、と思いました。

 審査委員と日本政府代表のやり取りは、しっかり傍聴させていただきました。
正直、日本政府の回答は、2007年時と変わり映えのないものに思えました。相変わらず、「憲法第○○条に・・・・と定めてあります」「刑法第○○条に・・・と定めてあり、問題なく実行されています」とか、「200○年に○○委員会を立ち上げ検討中です」「あり得ません」「そのような事実はございません」などなどなど。
反対に、各審査委員の質問は、前回よりも踏み込んだ内容だったように思います。
私たちNGOが提出したレポートは、十分読まれていること、日本国内の問題をかなり具体例を持って理解されていることを感じました。
たとえば、委員からの政府代表者への質問の中には、「足利事件や布川事件の例にもあるように・・・」とか、「不十分な調査のまま死刑が執行された例も聞いている」など、私たちの知りえている内容で語られた時には、本当に嬉しく思いました。

 今回、1人の委員が「被疑者取り調べの時に弁護人が立ち会うことを認めない。その理由に『干渉されるから』とあげているが、その場は公正、透明性が求められ、公式な記録も残されなければならない。弁護人立ち会いを認めないというのは、長時間、長期間、自白を求めること鑿を目的とするようなまるで『中世のやり方』だ」と発言しました。
会場から、笑いが起こり、その後最後のあいさつに立った上田国連大使が突然声を荒げ、
「日本は中世の国ではない。近代国家の進んだ国である」と返し、会場の笑いを「シャラップ!」と二度も大きな声で制するという場面がありました。
一瞬会場に何とも言えない空気が流れました。
それはあまりにも公式な会議での発言としては受け入れがたい態度と言葉でした。

 私は、各国から選出されている審査委員に対しても、大変失礼な態度でななかったかと、今回も2007年の時と同様にまた、同じ場にいる私たちでさえ、日本人として恥ずかしいという感情を持ってしまいました。
日本政府は、この委員会そのものをどう考え、どういう姿勢で臨もうとしているのか・・・。
「日本には、国内法規があります。日本は、日本のやり方でやります」という姿勢が明らかで、委員会の勧告に従い、少しでも国際水準に近づけて行こう、という姿勢が見えないのがとても残念です。

 「日本には、『拷問』に関する定義が明文化されていない。まずは、そこを明らかにするように。それによって、違反した者には責任と謝罪、罰則を・・・」

と、指摘を受けた。
これに政府側は、「憲法、刑法、その他それぞれの法律で、拷問を禁じる条文があり、改めての明文化は考えていない」と答えましたが、本当にそれで通るのか・・・。

 これから出されてくる委員会から日本政府への「勧告」の内容が待たれます。

帰国後から体調を崩し、写真の整理も、傍聴の記録も全く手付かず状態ですが、これからぼちぼち勧めていきたいと思います。

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