関東暮らし

関西人から見た関東暮らしの出来事を記す

2011年6月のコラム

2011年07月22日 | コラム
#49=2980
2011年6月27日付
《税と社会保障の一体改革のまやかし》
 税と社会保障の一体改革と称する消費税増税と社会保障切捨て計画が、民主党政権の下で進行し、その最終案が17日公表されました▼「経済状況の好転が前提」とか「地方への配分」を厚くするかのような文言も盛り込まれたようです。10日の政府税調では「増税に慎重論」、13日の地方団体との協議では「配分で対立」、16日の国会議員有志の「復興財源の増税は言語道断」声明といった各方面の反発に押されたかのような形をとっています▼しかし、最終案には「2015年度までに段階的に消費税率を10%までに引き上げる」との方針が堅持されています。マスコミで報じられる反発は、税率アップそのものへの反対ではないことに注意が必要です。しかも16日にはIMF(国際通貨基金)が「17年までに15%に」と日本に提言したと報道されています。IMFには日本から財務官僚が多く出向しているそうです▼菅直人氏が、「消費税率は6月には結論を得る」と言い、その実現のために財務省あたりが打った手立てが見えました。「反発」も含め『意見は聞いた』という形をつくったつもりなのでしょう▼こんな策謀に騙されるわけにはいきません。肝心の国民の声が何ら反映されていないのですから。菅氏の奸策はもう通用しません。

#48=2979
2011年6月20日付
《梅雨とセツデン》
 梅雨です。じっとりとした暑さが増してきました。クーラーが欲しいと思いますが、今年は「節電」のプレッシャーでリモコンへの手も止まります。かといってエアコン前提で手にした住環境ですから、困惑します。「セツデンするか、原発に頼るか」の天秤にかけるかのような迫り方があるのも気になります▼東京電力だけでなく関西電力も「すべての顧客に15%の節電を要請」したそうですから、全国的な課題です。関東では、経済産業省が乗り出して、大口契約の事業所などに罰則付きの「節電通知」を行っています。わが商工新聞を印刷している㈱きかんしも操業調整でてんやわんや。編集局の仕事にも影響が出ます▼大企業製造業などは規制がない土日操業といわれていますが、下請け事業所や商店街などにその影響が出てくるに違いありません。ただでさえ大震災の影響で、資金繰りが心配されている時に、セツデンが追い討ちをかけることのないように対策を考えましょう。また、この夏場の営業環境が変化するのが分かっているだけに、省エネなどで経営戦略を練ってみるのも妙案かもしれません▼ところで、わがアパートはエアコンとレンジが同時に働くと、瞬時にブレイカーが落ちます。これ以上どう節電したらいいでしょうか?

#47=2978
2011年6月13日付
《最初からダマすつもり》
 茶番ではすまされない。菅内閣への不信任決議案をめぐる駆け引きのさまは、日本の政治が堕落の極みにあることを、国民の前に露呈しました▼菅首相が「最初から騙すつもり」だったのは明らかです。2日の民主党代議士会はTV中継されており、テロップで「菅首相辞任を表明」と流され、鳩山前首相が、2次補正予算のめどをつけたら菅首相は辞めると約束したと発言。これが公然と流され、「解散・総選挙が回避できる」との一種の安堵感から、不信任案は否決されたのです。ところが菅氏は、事が済んでから「約束は一切ない」と言い放ちました。「語るに落ちる」―▼その後「早期辞任」を口にしましたが、もう首相とか総理とかと肩書きを付ける必要はないでしょう。政局を仕掛けた小沢氏と追随代議士、それに踊らされ、被災地と国民そっちのけで決議案をもてあそんだ自民・公明両党、詰めの甘い前首相、菅の奸策を擁護した民主党幹事長と官房長官、誰もが国民をないがしろにしています。有権者を気にする余裕もなくしています▼この常軌を逸した事態の背景には何があるのか。大震災と原発事故は、この国の深部の腐敗をあぶり出すほどの、矛盾の扉のカギを壊したのかもしれません。大連立キャンペーンもきな臭い。

#46=2977
2011年6月6日付
《原発推進は理性の喪失》
 先月フランス・ドービルで行われたG8サミットで菅首相は「原発の安全性を高める」と発言しました。実質的な「原発推進宣言」です。これを受ける形で「サミットは、原発安全強化で一致」したと報じられました▼3点の懸念がわきました。「原発・放射能制御の技術そのものもが不完全であり、その飛散への対応が現実に出来ていないという教訓が反映されていないこと」「広島・長崎・ビキニという原水爆被爆体験のある日本の首相が、原発事故の放射線の実害に苦しみ、その拡散におびえる国民の不安を考慮せず、『安全性を高めればよい』と問題をはぐらかしたこと」「地球を汚し、人類の生存にも関わる問題を、中国やアフリカ、中東、南半球の多くの国々が参加しない、8カ国が集まって結論づけようとすること」▼なぜ急いで一致するのか。世界の原発メーカーはひと安心したに違いありません。米・仏・日の首脳の足並みがそろったのはそのためでしょう▼しかし、そこで大事なものが捨てられるのです。全商連の全国会長会議で講演した品川正治さんは戦前と最近の10年間を「国家が理性を失った状況」と語りました。今回のサミットでは自称・主要国の首脳が理性喪失」となったのかも知れません。