夏に急増!ロンドンで毎日狙われる日本人 「演劇型」ニセ警官詐欺の手口がこれだ
8/4(土) 11:34配信 FNN PRIME
夏に急増!ロンドンで毎日狙われる日本人 「演劇型」ニセ警官詐欺の手口がこれだ
キングスクロス・セント・パンクラス駅付近で多発するニセ警官詐欺
犯行現場はキングスクロス駅周辺
「毎日のように日本人の被害者が出ているんです。この夏、急に増えた印象です」在英日本大使館スタッフは困惑気味にこう話した。特に、観光客をターゲットにした悪質な盗みが頻発しているという。
夏休みシーズン、イギリスに海外旅行や短期留学など計画している方もいらっしゃると思う。その他にも欧州に出かける予定のある人は、是非気を付けていただきたい話だ。
犯行場所は、キングスクロス・セント・パンクラス駅周辺が多いとのこと。この駅はフランスに向かう電車「ユーロスター」の起点で、多くの人が利用する。大英博物館や、多くの店が並ぶカムデン・マーケットも近く、日本人観光客もよく訪れる場所だ。
ニセ警官詐欺の手口
手口はこうだ。
1: 観光客を装った外国人が日本人に近づく。「大英博物館に行きたいんだけど、どうすればいいかな」と声をかける。
2:日本人観光者は、親切心から自分のスマホで場所を調べてあげる。その間少し、外国人とも会話を楽しむ。
3:そこにニセ警官が登場。2人にむかって「私服姿だが警察だ。麻薬密輸関連の捜査中です。捜査に協力いただきたい。」それらしい質問をしながら、まず外国人に、身分証明書とクレジットカードを見せるように言う。
4:すると外国人は「喜んで協力します」と言って、身分証とクレジットカードをニセ警官に渡す。
5:これを見た日本人は、「英国ではこれが当たり前の捜査なのか」と思ってしまう。ここでニセ警官は日本人に対し、「あたなも身分証をみせなさい」と声掛け。さらに「これだけでは確認ができない。クレジットカードの暗証番号は?」などと畳み掛ける。
すっかり本当の警察官と信じ切ってしまい、すべて正直に話してしまうというのだ。
6:ニセ警官は、その情報でクレジットカードを不正利用。またニセ「捜査」の際に、財布を調べるフリをしながらクレジットカードや現金を盗むこともあるという。
夏に急増!ロンドンで毎日狙われる日本人 「演劇型」ニセ警官詐欺の手口がこれだ
駅周辺にはセキュリティースタッフがいるので、非常時には彼らに助けてを求めて!
日本人の素直と従順さを“狙う”
どうしてこんな手にひっかかる?と思う人もいるかもしれないが、旅行中は時差などもあり、自分の想像以上に集中力や体力が無くなる。その結果、いつも通りの判断ができなくなる。また「警察だ」と言われれば私たちはやはり臆してしまう。私たち日本人の素直で従順なところを、この連中は狙ってくるのだ。
大使館関係者によると、連日2~3件の被害報告が入ってくるという。一見、数字は少なく感じるかもしれないが、日本人を狙った犯行が日常的に起きているわけだ。大使館スタッフは「多くの人たちは被害にあっても旅行中は時間がなく連絡してこない。これは氷山の一角だ」と指摘する。
この犯行は古典的な手口だが、この夏、急激に増えている印象を受けるという。イギリスは今年、歴史的な熱波が襲来し、ロンドンらしくない晴天の日が続く。陽気につられて、悪いヤツらもロンドンに繰り出しているようだ。
日本大使館では、このような場合は、警察官のID番号を提示するよう尋ねることに加え「警察官がクレジットカードの提示を求めたり、暗証番号を聞くことはない」として、万一、この手の連中に遭遇したら周囲の人に助けを求めるよう呼びかけている。
二人乗りの小型バイク「モペッド強盗団」にも注意
このほかにもリージェンツパーク近くの日本人駐在員とその家族が住むような閑静な街でもスマホのひったくりが多発。
また多くのブランドショップが並ぶオックスフォードサーカス駅周辺でも二人乗りの小型バイクが歩道にまで乗り上げ、後部座席にいる人間が、スマホやバッグをひったくり逃走するという「モペッド強盗団」による事件が多発している。
旅の前に情報確認を
このような悪質な盗みには十分気を付けてほしい。イギリスのみならず旅行の前に、訪問する国の日本大使館の「安全マニュアル」などを確認し、どういう事に気を付ければよいか是非確認いただきたい。
そして最も大切なのは命の安全。たとえば上に書いた小型バイクのひったくり犯は往々にしてナイフなどで武装している。追い掛けるなどしたら返り討ちに会う恐れもある。まずは身の安全を確保することが第一だ。命だけは取り戻すことができない。
と、ここまで色々書きましたが、一年近く私はロンドンに暮らしているものの、いまだに不慣れでヒヤッとすることがよくあります。しかし、事前に少しでも街の情報を仕入れておくだけで、身の安全は大きく変わってきます。
旅行に出かける方は気を付けながらも、必要以上に恐れることなく是非楽しんでください。
皆様の夏の旅が素晴らしい思い出になることを心からお祈りしながら、この記事を書きました。
(執筆:FNN ロンドン支局 支局長 立石修)