杉田水脈に「正論ですよ」 ドラクエ作曲家「愛国発言」を振り返る
8/5(日) 7:00配信 文春オンライン
杉田水脈に「正論ですよ」 ドラクエ作曲家「愛国発言」を振り返る
すぎやまこういち ©時事通信社
「今の日本は、日本軍と反日軍の内戦状態にある」
ドラゴンクエストの作曲家・すぎやまこういちは、2011年5月、靖国神社崇敬奉賛会の講演会で「非常に漫画チックな言い方」と断ったうえでこのような見解を披露し、さらに発言を続けた。
【記事】すぎやまこういちは「稲田朋美の歌」を作っている
「なんと、政府、内閣を反日軍が占めているのです。聞くところによりますと、今の内閣総理大臣を始め、かなりの主要な人達が、日本国家解体を学生時代に夢見て学生運動を行っていたと言われています。(中略)
この反日軍の人達が大震災を足掛かりにして、どさくさに紛れて日本国家を解体しようという動きをしているように見えます。そのことに大変な危機感を持っていまして、何とかこれを防がなければいけないと思っています」(『平成二十三年度 講演記録集』、靖国神社崇敬奉賛会)
安倍晋三、西田昌司、稲田朋美らは「日本軍」
当時は東日本大震災の直後で、民主党政権の時代だった。つまり、すぎやまは、菅直人元首相らが「反日軍」として国家解体を目論んでいる(ように見える)、といっているのだ。
ちなみに、すぎやまが「日本軍」「反日軍」の比喩を使ったのは、これがはじめてではない。震災前に刊行された『正論』2011年1月号の寄稿では、「日本軍」のメンバーとして、安倍晋三、西田昌司、稲田朋美、高市早苗、衛藤晟一、山谷えり子の名前があげられている。
これにたいし、当時の総裁・谷垣禎一は失格らしく、「ため息が出てしまう」とされている(「谷垣禎一総裁へ捧げる退場勧告」)。
「生産性」発言の杉田水脈に「正論ですよ」
今回このような発言を取り上げたのは、ほかでもない。自民党の杉田水脈衆院議員の「生産性」発言(『新潮45』2018年8月号)に関連して、保守論客としてのすぎやまの存在にあらためて注目が集まっているからだ。
2015年6月に公開された「チャンネル桜」の番組で、当時落選中だった杉田は、「生産性がない同性愛の人達に皆さんの税金を使って支援をする。どこにそういう大義名分があるんですか」などの発言を行った。現在この番組にも焦点があたっているが、このときのホスト役が中山恭子と、ほかならぬすぎやまだったのである。
すぎやまは「男性からは言いにくいことをガンガン言っていただくのはありがたいですね」「正論ですよ」などと、番組内で杉田に好意的だった。もしかすると彼女も「日本軍」のメンバーなのかもしれない。
それはともかく、すぎやまはもともと「愛国者」であると公言していて、「(大東亜戦争は)決して間違っていなかった」「あの大東亜戦争がなかったら、これほど次々とアジアの人々が独立を果たせなかったかもしれない」「東京裁判なんていうものは、裁判でなく殆どリンチ」(前掲講演録)、「『従軍慰安婦』についてはまったく納得できません。当時の政府と軍部は、慰安婦になることを強制してはならないという姿勢でした」(『日本文明の肖像1』、展転社)などの発言を積極的に行ってきた。
それなのに、いまだに「ドラクエの作曲者がなんでこんなことを」などと反応するのはいささか認識不足だし、なにより本人に失礼だろう。戦争や歴史が話題になりやすい8月でもある。ここでその「愛国」発言の数々を明らかにしておきたい。
「朝日新聞の購読者を一人でも減らす」
「日本には所謂、反日軍御用達みたいな新聞があったりします。その本社の中に、人民日報日本支社などが入っている。そういう新聞社があると言っただけでここにいらっしゃる皆さんは『ああ、あの新聞だな』とお分かりでしょうが」(前掲講演録)
「あの新聞」は名指しされていないが、続く箇所を読むと、どうやら朝日新聞のことらしい(築地に「人民日報日本支社」なるものはないはずだが)。
歴史認識で相容れないメディアへの批判は激しい。とくに朝日に対するそれは苛烈だ。同じ講演で、すぎやまはこんなこともいっている。
「我々に出来る事は、やはり朝日新聞の購読者を一人でも減らす、少しでも他の新聞に変えて貰うという事です」
そしてすぎやまは、「知り合いの有名なフランス料理のシェフ」にたいし、
「一カ月だけでも朝日新聞を止めて他の新聞、取り敢えず産経新聞に変えてみてよ」
と持ちかけ、じっさいに産経新聞の購読者とすることに成功したという。なんという愛読者の鑑。フジサンケイグループは、彼にこそ正論大賞をあげたほうがいいかもしれない。
NHKは「中国人民解放軍の出先機関かも」
すぎやまは、NHKについても強い不満をもっている。やはり同じ講演では、こんな真偽不明の話もしている。
「NHKのスタッフには、私が聞いた所によりますと朝日新聞からの天下りの方がかなりいらっしゃるそうです。またNHKの社屋の中に中国の放送局の支社があるという話を聞いたことがあります。ですから極端に言えば、NHKというのは中国人民解放軍の出先機関かもしれません」
いくら「極端に言えば」といっても「中国人民解放軍の出先機関」は論理の飛躍ではないかとも思うが、先を急ぐ。
すぎやまによれば、共同通信も「やや反日軍に近い」。沖縄の「二紙」(沖縄タイムスと琉球新報と思われる)について、「二つともとても駄目みたいです」「直接沖縄に行って新聞を買って見た訳ではないのではっきり言えませんが、人づての話とか色々な雑誌の記事などを見た範囲で感じる部分ではとても危ないと思います」。
まさに撫で斬り状態だが、反対に高く評価されるのは、先にも名前があがった産経新聞、月刊誌の『WiLL』、そして――、
「『日本文化チャンネル桜』は、日本軍の一員として凄く頑張っています」。
すぎやまの「日本軍」「反日軍」の色分けは、現在の保守界隈の考えを反映しており、じつに典型的でわかりやすい。
「ドラクエV」で憲法9条を批判
そんなすぎやまにかかればドラクエも「愛国」的に解釈されてしまう。
『WiLL』の2011年12月増刊号『すぎやまこういちワンダーランド』をみてみよう。ここで、すぎやまは淡路恵子と対談し、つぎのように述べている。
「僕がドラクエのストーリーで印象に残っているのは、『ドラクエV』に登場する『光の教団』。怪しい宗教団体が出てきて、司祭が『世の中に武器などというものがあるから戦争が起こるのです。皆さん、武器を捨てましょう』と布教するんです。
村人たちがその言葉を信じて武器を捨てると、途端に魔物の群れが村を襲って占領されてしまう。現状の日本を思ってしまうシーンですよ。『憲法九条を信じて武器を捨てても、相手が武器を持っていたら乗っ取られるぞ』と。
(中略)ドラクエをやっていれば分かるように、平和は戦って勝ち取るものであり、戦う姿勢によって守られるものなんですよ」
すぎやまの「愛国」発言は、歴史認識にせよ、慰安婦問題にせよ、現在の保守論壇的にオーソドックスなものが多い。それにくらべ、この「ドラクエV」を使った憲法9条批判はオリジナリティに溢れ、深く印象に残る。
さらにすぎやまは、2010年に青山繁晴(現・自民党参院議員)と対談し、こんな発言もしている。
「堀井雄二さんも、基本的に愛国者ですから、そういった部分がにじみ出てくるでしょうね」(「日本復活の呪文」)
「そういった部分」とは「愛国的な部分」ということだ。つまり、さきのような「愛国」的解釈はけっして牽強付会ではない、なぜならゲームデザイナーの堀井も「愛国者」だから……ということだろう。
いずれにせよ、すぎやまこういちの政治性はいまや明らかである。彼は今日的な「愛国者」以外の何物でもない。その口から「大東亜戦争肯定論」がでてきても、まったくふしぎではない。
肯定するにせよ、否定するにせよ、今後はこれが議論の前提だ。保守論客や保守政治家との対談や鼎談ならほかにも無数に存在する。もはや「意外な一面」などと驚いてはならないのである。
辻田 真佐憲
bre***** | 11時間前
LGBTの人達を差別するのはいけないと思うのですが、要するに特別扱いはしないということでいいんじゃないですか。
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mas***** | 10時間前
十人十色、色々な意見が、あって当然。
マスコミ等が、騒いで反対意見を封殺する方が、問題かと思う。
その意見が、違うと思えば、賛同しなければ良いだけ。
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tay***** | 10時間前
同性愛を否定はしませんが税金を使って支援をする???
なんで?
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返信114
teck10 | 9時間前
過度なLGBT政治利用の風潮が怖い。
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返信33
rdn***** | 10時間前
別に同性愛は構わない
ただ税金を使うのはどうなのか?
…って事でしょ
生産性って言葉だけマスコミは強調し過ぎ
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返信20
sir***** | 10時間前
そりゃま同性愛者に税金投入するなら
同じお金を使って普通の夫婦が子供を持ちやすいように
社会福祉を充実させたり少子化対策に税金使うほうが
はるかに生産的ではあるよな
普段、野党なんかでもあれだけ少子化対策とか口すっぱく言ってる割に
この問題ではその意見がほとんど出てこないのが
不思議だなと思ってたんだよな
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返信33
mar***** | 10時間前
過度にマイノリティを擁護する必要があるかと問えば正論だと思う。
差別が嫌と主張しているのなら、他と一緒平等に扱うべき。
特別扱いは認められない。
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tom***** | 10時間前
同性愛者に税金を使うべきか否か世論調査でもしてみればよい。