



「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス
11/21(木) 18:51配信
読売新聞(ヨミドクター)
リングドクター・富家孝の「死を想え」
11月19日、京都大学医学部付属病院が発表し、メディアで大きく報道された多重ミスによる患者死亡が大きな波紋を呼んでいます。外部委員も入れて調査した結果、これは発表せざるをえないとなって発表されたものと思いますが、あまりの杜撰(ずさん)さに開いた口が塞がりません。
私は、京大病院が発表した書面を何度も読み返しましたが、これでは、亡くなった患者さんは本当に浮かばれません。
「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス
記者会見で頭を下げる宮本享病院長(中央)ら(19日、京都市左京区の京都大病院で)
「医師を呼んで」の声むなしく、放置
医療は人間が行うので、医療現場にミスはつきものです。ミスはあってはいけませんが、問題はミスをしたら、それにいち早く気づき、適正な措置が取れるかどうかです。こちらも重大なのですが、今回は全くそれが見られませんでした。しかも、患者さんは「医師を呼んでほしい」と何度も訴えたというのに放っておかれたのです。
誤った点滴が第1のミス
亡くなられた患者さんは、心不全と腎臓機能の低下で入院中の男性です。造影剤を使ったCT(コンピューター断層撮影)検査の際の点滴で、本来使うべき炭酸水素ナトリウムの6.7倍の濃度の薬剤を投与されたのです。この患者さんは、直後から痛みやしびれなどを訴えたのに、投与はそのまま続けられました。
これが最初のミスです。このような医療過誤は何度も起きています。ですので、ここで検査医と看護師は気づくべきでした。しかし、チェックはされず、検査後は造影剤によるアレルギーと考えて、投与が続けられたのです。
異常があったのに投与を継続
しかも投与は3時間も続きました。本来なら1時間で終えるべきところなのに、担当医師は全量投与を指示しています。これが、第2のミスです。驚くべきことに、この病棟では炭酸水素ナトリウムを使用した経験がなかったというのです。
こうして、患者さんは病棟のトイレで倒れ、心停止となりました。そのため、慌てて駆けつけた医師らによって心臓マッサージが行われましたが、このとき、口から大量出血しました。これは、患者さんが、血液が固まるのを抑える抗凝固薬を服用していたからです。このことを医師たちは知らず、集中治療室に移し、開胸手術まで行っています。 これが、第3の致命的ミスです。
私の息子は造影検査で右半身まひ
私はこれまで、医療過誤を告発する本を何冊か書いてきています。また、自分の息子も、大学生のときに医療過誤にあい、障害を持つ身となったので、医療ミスに関しては、一家言があります。息子の場合も、造影検査がアダになりました。
手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。
医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意です。しかし患者側が、そうした医師や看護師を見分けることは困難です。
医療過誤の報道は減ったけれど……
最近、医療過誤の報道がめっきり減っています。しかし、医療過誤そのものが減ったわけではありません。医療過誤は、毎日、全国どこかの病院で間違いなく起きています。その死亡者数は、交通事故の死亡者数をはるかに上回るはずです。「はずです」と書かざるを得ないのは、驚くべきことに、日本には医療過誤の正確な統計がないからです。
昨年の交通事故死者数は3532人で、毎日平均10人ほどの方が亡くなられています。これに対し、医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。
というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです。2016年、アメリカで最も権威ある医学部を持つジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが発表しています。
日本の医療過誤の把握は不十分
日本では、01年度から厚生労働省が全国の病院から医療事故の情報を収集するようになりました。現在、日本で医療過誤の統計を公表しているのは、日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。
しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。
ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は4~500件となっています。この数字をそのまま受け取る、医療関係者はいません。
京大のように自ら発表する例は珍しい
このような点を考えると、今回の京大病院のように、医療機関が自ら発表する例は稀(まれ)です。たいていの場合、医療過誤は隠蔽(いんぺい) されるので、院長自らが「患者さんご本人、そしてご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果となったことは誠に申し訳なく、心よりお詫(わ)び申し上げる」とコメントするのも異例です。
ミスを犯しても、ほとんどの場合、医者は認めません。患者側から民事訴訟を起こされても、ほぼ勝訴するからです。通常の民事裁判では、訴えた側が8割方勝訴するのに、医療過誤裁判では8割方訴えられた医者側が勝訴します。
医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません。ただし、最近は、よほどのことでないと警察は介入せず、刑事告訴しても受理されません。
遺族の方の悲しみは察するに余りありますが、今後、どのように対応されるのでしょうか?
「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス
富家 孝
富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。
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Faust | 3時間前
医者に苦痛や不調を訴えても、聞き流されて全く対応されないような経験は、相当多くの患者が経験していると思う。
医者は「患者は大げさに訴えるもので、いちいち取り合っていても仕方がない。」という意識があるのだろう。
この事件は死にまで至ってしまった重大事件だが、ここまで行かないものは殆んど大抵の人が経験していると思う。
もちろん私も酷い目に遭っている。
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kam***** |14分前
医者も人間、優秀なのから、やっと医者になれたような未熟な者もいる。
頭のいい大学だから医者として優秀とは限らないし。
駆け出しの癖に威張ることが威厳だと思うのか、
まだまだ若い上司にペコペコしてるくせに患者を向くと威張ってる。
そんな奴に限って見立ては間違うし、経食道カメラは下手糞だし、
慌ててマウスピース忘れるし、カテーテルは下手だし、麻酔効く前にメス入れるし。
ちなみに私は心臓が悪かったのですが、ある東大出身の医者には風邪だと言われました。
某大学病院では救急で行った担当外の医者は全員同じ見立てなのに、
昼間外来で担当になった医者が上記の未熟な医者です。
私は病院を変えました。名医に出会い根治しました。
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lns***** |1時間前
大げさに訴えないと取り合って貰えなかったりする。医者看護師からの「大丈夫?」には絶対ハイと言っちゃいけないとまで思う。
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ham***** |50分前
でもそれで大したことなかったら、狼少年とか言われんじゃない?
それが嫌でさ、少々のことなら我慢しちゃうんだ。患者が萎縮しながら診察受けるのも変だけど、商店街の八百屋みたいな人のいい医者なんてなかなかいないだろ。あんま不用意に騒いだら、ホントに大変な病気した時、まともに見てくれるか心配なんだけど。
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kotokoto |22分前
あなたは運悪く不快な思いをしたのでしょうが、ろくに自分の食事時間も取れないような激務にも関わらず、真摯に患者の訴えをきいてくれる医師のほうがずっと多いですよ。
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doc***** |1時間前
↑結局何か診断がついたんですか?
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りりママ |1時間前
すごいわかります。
以前も「盲腸を見逃された記事」のヤフコメで医師を名乗る人が「ほとんどの患者は整腸剤飲んどきゃ治る腹痛だから」と言っていた。
ああ、最初からそう思ってりゃ盲腸も見逃しますわなって思った。
見逃していいから苦しい時は安楽死早く導入してほしい。痛い苦しい訴えてるのに「大したことない」とそそくさ返されたら病院なんて行きたくなくなるよ
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doc***** |2分前
〉麻酔聞く前にメス入れるし
いや、それはねーわ。麻酔科医の許可ないと、オペ始まんねーから。
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f1w***** | 4時間前
医者は尊い職業だと思うし、尊敬もしている。
だけど、こういうミスからの事故も裏では多いのだろうと思うと、医者の言うことを鵜呑みにしてもいけないのだと思う。
医者も看護師も友人はいるが、看護婦さんたちの実情を聞いたら、そりゃミスも起きるよって思うハードワーク。また、小さなミスが命取りだから困る。
結局、自衛のつもりで独学の勉強をしたりすると、今度は訳わからん民間療法を信じ切ってしまって頼ったり…。
病気をしてからの負の連鎖をどう止めるか、これは重いし、難しいテーマだ。
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vbb***** | 2時間前
子どもの病気で長年通院していますが、子どもの場合親がしっかり病状やお薬を把握しているので、医師や看護師に説明が出来ます。患者の代弁をしないといけないと感じているからこそ。
何軒か入院を経験しましたが、高度医療の急性期の病棟はチーム医療が出来ていて、最初こそ疑問すらこちらから質問してはいけないという空気でしたが、病気を理解して欲しいという説明を受ける度に患者も親も理解が進みました。でも慢性期の一般病棟では、ゆるいと感じる対応で、血中濃度の為に時間を守って服薬をするから時間でしっかり薬を持ってきて欲しいと言っても、わかりました!って言ってからかなりの時間待たされる事もしばしばでした。
病気は医者だけでは治せません。患者さん自身がきちんと申告してお互いに納得した形で治療や検査を受けることが大切だと感じています。
が、ここの対応はないなぁと感じます。命を救うチャンスが沢山あったのにね…
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sf0***** | 1時間前
例えば米国の航空事故ではパイロットの個人責任は問われない(故意や重過失(例えば飲酒運転)でない限り)
また、独立性の高い専門機関が深く厳しい調査を行い事故原因を究明する。
その際の証言や調査結果は民事訴訟には採用されず、これは企業らが協力しやすくするためと、機関が裁判に巻き込まれないためだ。
また、リストマネジメントでもヒヤリハットやインシデントリポート等、過誤やその恐れのあった行為を積極的に集めて、その事例と状況、理由や過程、そして対策を共有したり、それぞれの現場で自発的に考える試みが一般的になってきた。
医療は止めることが難しい仕事で、専門性等から受益者や外部が問題を見つけたり指摘することも困難。
無謬を求め厳しく罰することで更に隠蔽や嘘を誘発するよりも、医療関係者が自発的に自分たちのミスを証言出来る環境と制度が必要なんだろう。
ブラックな医療現場も一因だろうが、改善策は必ずある。
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brr***** | 1時間前
私の母は、傷も少なく回復が早い簡単な手術ですからと腹腔鏡手術を勧められ、大腸の手術をしたが、術後みるみる悪くなり、三週間後に死にました。
担当医師に何度も診て欲しいと訴えたのに、先生は忙しいと言われ、看護師にも様子がおかしいので診て欲しいと訴えたのに、ろくに診てもくれず死にました。
家族は今でも悲しくて、私は今でももっとどうにか出来たのではないかと苦しんでいます。
人間のすることなので間違いはあるでしょうが、誤りはきちんと認めて欲しいです。
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****** |1時間前
お母様、お気の毒で言葉になりません…
うちの義父が入院中、夕方に夫婦で見舞いに行った時
手を握ったら熱くて発熱しているのでは?と看護師に言うと
この時間帯はよくあることですと一蹴
深夜、病院から危険との電話
ナースセンターで嫁がふざけんな!と叫びながらカウンターを泣きながら叩きまくり、やっとのことで抑えたけれど
結局その看護師から謝罪はなかった
大勢の患者のひとりかもしれない
でも家族にとってはかけがえのない親、兄弟、子供
忙しい気持ちもわかるが、訴えてくる時は異常を疑っている時
不安を解消してくれたら文句なんてないのにね
ちなみに義父もひと月後に亡くなりました
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tor***** |1時間前
私の母は腰椎麻酔の失敗で左足が不自由になってしまいましたが泣き寝入りしました。弁護士が勝つ見込みがないため引き受けてくれないためです。
心中お察しします。
御冥福をお祈り致します。
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t****t |41分前
お悔やみ申し上げます。ほんと、ひどい。医者にとっては一瞬だけど、家族にとっては一生だよ。亡くなった人は帰ってこないんだよ。
本当に医療の質を上げるためには、司法の場で裁かなくてはいけないのか。救いの道はないのか。遺族としては、ほんと悔しい。
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nan***** | 3時間前
医療現場の勤務形態の悲惨さもよく問題になりますよね。
患者を軽く見ていなくても、自らが追い詰められた状態で、患者の事を心から思う余裕のない医者も多いと思います。
だから仕方ないとは言わないが、医者への厳罰化だけでは改善しない気がしてならないです。
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flo***** | 1時間前
医療事故ではないのですが、一昨年手術で入院した時に、できるだけ症状を伝えようとしても無視される、どうせ患者が言ってることなんて大したことない前提、というのは感じました。私は医者の親戚が何人かいますが、親戚でも何か質問をしたらすぐに医者を疑うのか?という反応をされます。
私が入院した時は手術後意識が朦朧としてる時に酸素マスクの管が壁から抜けていて、酸素が届かないマスクをずっとつけられてて苦しかったです。食べ物のアレルギーを書いてるのにそれが食事に出てきたり、点滴の針が入ってる腕に血圧計をつけられて空気を入れられたり。命に関わることではなかったけど、あまりにもマニュアル化されてて、逆にミスが多いように感じました。
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doc***** | 1時間前
こういう話が出るとよく出る話題が、医者の免許更新制、医療ミスの刑事罰化。前者は仮に試験のようなものをすると、受診や手術の数の制限がかかる可能性がある。試験前になると試験勉強が必要だが、そんな時間ない人が多いし、時間を作るために患者側にしわ寄せがくるだろう。まぁ医師会や教授連中が反対するから、試験による更新は絶対に起こりえない。後者はどの程度のミスかによるだろうけど、リスクのある患者には余計な検査や治療はしないようにする傾向が出てきうる。まぁこの病院の対応はいかがかと思うが、人間ミスはするものだし、あんまり締め付けすぎると現場が萎縮していいことはない。
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win***** | 1時間前
これから20年から30年、年寄りが増え、医師や看護師の不足はさらに悪化する中、患者一人一人に向き合うのはどんどん困難になっていくでしょう。そしてその忙しさから、医療ミスももっと増えるでしょう。業界でどうしたらミスが防げるのか、どんなミスがあったのか、しっかり検証して採用していく必要があると思う。あと少しでも医師や看護師の負担が減るように考えるべき。まずは増やせれば1番だと思うけど、画像の診断ミスとかはAI診断とかうまく利用出来るようにした方がいいと思うし、アメリカ?みたいに患者の診断履歴から、将来どんな病気になりそうか判断する仕組みとか、そういうシステム作りを国が取り組んでもいいんじゃないかと思う。
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mic***** | 1分前
現場で働く者ですが、間違いなく医師も看護師も質は落ちている様に感じます。
様々な事がマニュアル化され、自分で考える機会がなくなってきています。なぜそれをするのか?なぜそうした方がいいのか?など疑問も持たず淡々と業務をこなすスタッフが増えました。
行政の出す診療報酬が改正のたびに厳しくなっているので、マニュアル化しなきゃ時間が足りず追いつかないのが現状。結果、患者と向き合う時間よりもカルテと向き合う時間ばかり増え、それでも「時間内にあがりなさい」を言われる日々。
スタッフ慌てさせて患者の側にいる時間減らされたらミスも増えますよね。