「遺体ホテル」に「マンション坊主」 2040年の多死社会は、葬儀ビジネスをどう変える?
1/12(水) 8:35配信
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ITmedia ビジネスオンライン
日本は2040年に多死社会を迎える
「日本は2040年に多死社会を迎える」――。厚生労働省が発表した2020年版の「厚生労働白書」がそんな可能性が示唆している。40年の年間死者数は約168万人、つまり1日で約4600人が亡くなる計算となる。これは平成元年にあたる1989年(約79万人)の2倍以上だ。
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その兆候はすでに数字にも現れている。05年に年間死亡者数が出生者数を初めて上回った。そして07年以降、死者数が出生数を上回り続けている。16年には出生者数が100万人を切ったことが大きなニュースとなった。18年後に到来する多死社会に向けて、その周辺のビジネスはどう変わっているのだろうか?
「遺体ホテル」が繁盛する未来
死者数が増える中で注目を集めているビジネスの1つが「遺体ホテル」だ。火葬日まで遺体を安置させておく場所のことを指す。
かつて、火葬前の遺体は自宅安置が一般的だった。しかし、マンション暮らしが増えたことなどが理由で、自宅での一時安置が難しくなってしまった。また、葬式をせずに火葬する「直葬」を選んだとしても、墓地埋葬法によって死後24時間以内は火葬が禁止されているため、その間はどこかに安置しておく必要がある。しかし、首都圏は特に火葬場が少なく、火葬能力が死者数に追いついていないのが現状だ。
横浜市で2棟の遺体ホテルを運営するニチリョク(東京都中央区)の葬祭事業部、横田直彦課長は「遺体ホテルの需要は高い」と話す。
「横浜市には公共の火葬場が4カ所、民間事業者が運営する火葬場が1カ所あります。横浜市で最も新しい火葬場は30年以上前に建設されたもので、そこから増えていません。一方、亡くなる方の数は右肩上がりです。現在は、火葬まで4~5日間待たなければいけない状況です」(横田氏)
同社が新横浜で運営する遺体ホテル「ラステル新横浜」は、全20体の遺体を安置できる霊安室と面会室を備えている。遺族がホテルのロビーに設置されているタッチパネルから面会したい故人を選択すると、霊安室の機械が自動で故人が入ったひつぎを面会室に運び入れる。遺族は面会室に入室し、故人と対面できるという仕組みだ。
稼働率は「常に10体前後」(横田氏)だという。複数のひつぎを収容できる霊安室以外にも、親族が一堂に会せるように個室も7部屋用意している。24時間対応で、価格は霊安室が1日1万円、個室は2万円だ。
遺体ホテルが盛況なのであれば、多死社会に向けて火葬場の新設が進んでもいいような気もする。なぜそういった動きが起こらないのか? 来る多死社会との深い関係が見えてくる。
【注釈:遺体安置に関して厚生労働省に確認したところ、死後24時間以内の火葬は禁止されているが、それ以外に法律で明確に定められていることはないとの回答でした。また、横浜市にも同様に確認しましたが、遺体安置に関して条例で定めていることはなく、遺体ホテルも問題ないとの回答が得られました】
なぜ火葬場は増やせないのか?
火葬場が少ない地域だと火葬に10日ほど待つこともあるという。「火葬場の新設」は多死社会の到来に向けた1つの解決策になり得そうだ。しかし、横田氏は難色を示す。特に民間事業者の参入は難しいという。
「理由は大きく2つあります。1つ目は火葬費用です。横浜市の公共の火葬場を利用する場合、料金は1万2000円ですが、民間は5万円前後かかります。市の財政でまかなっているため価格が抑えられているのです。これから参入するとしたら、火葬費用を10万円ほどに設定しないとコストが回収できないと思います。民間が公共と張り合っても勝てないのです。
もう一つは、2040年で稼働がピークを迎えるということです。火葬場の建設には7~8年ほどかかります。また、団塊世代、団塊ジュニア世代の方々が亡くなると、逆に火葬場が余ってしまいます。コスト回収のリスクを考えると10年の需要は短いと思われます」(横田氏)
40年に死者数がピークを迎えるということは、それ以降死者数が減っていくことを意味する。現在は右肩上がりだが、15年後に確実に縮小する市場なのだ。長年、葬儀ビジネスに携わってきたニチリョクはこの状況をどう考えているのだろうか?
頭打ちになる「葬儀ビジネス」 未来予想図は?
「長期的な話のため個人的な意見となりますが、まず40年には病院が足りなくなり、新しい葬儀のかたちが広がると思います。亡くなる前には入院しますが、病院数を急激に増やすことは難しいため、入院できずに自宅で亡くなる方が増えます。現在は、亡くなる方のほとんどが病院ですが、将来的に自宅が2~3割ほど増えると思います。
自宅で看取られた場合、そのまま火葬日まで安置すればいいのでわざわざ遺体ホテルを利用する必要がありません。現在はインターネットでひつぎや骨壺なども購入できます。火葬場の予約と霊柩車の手配のみを葬儀屋に依頼する”セルフ葬儀”が広がっていくのではないかと思います」(横田氏)
「マンション坊主」と呼ばれるお寺を持たずに活動するフリーランスの僧侶も存在するという。僧侶派遣サービス「お坊さん便」としてアマゾンに出品されていたこともあったようだ(現在は出品を停止)。
多死社会の後、葬儀ビジネスは縮小するのか?
では、多死社会を超えると葬儀ビジネスは縮小していってしまうのだろうか? 横田氏は「葬儀だけに特化している業態は危うい」と話す。
「自宅からの出棺が増えれば、葬儀屋の仕事は霊柩車の手配などに限定されます。そうなると、かなり仕事が減ってしまいます。1つに依存するのではなく、葬儀に関連するさまざまな事業に手を広げておく必要があります。
そうは言っても、例えばその時にお墓の形態がどうなっているかも分かりません。樹木葬や遺骨を海にまくなどのやり方は少しずつ増えてはいるものの、遺族が手を合わせる場所がなくなってしまうという意味で浸透しないような気もします。
葬儀を中心に据えたとき、どういったビジネスの広がりが期待できるかは今後考えていかなくてはいけないポイントです」(横田氏)
20年4月に鎌倉新書が発表した「お葬式に関する全国調査」から、一般葬の費用は約239万円、家族葬(家族や親せきなどだけで執り行う葬儀)は約137万円、一日葬(お通夜を行わずに告別式と火葬を一日で行う葬儀)は約135万円、直葬・火葬式は約80万円と葬儀規模の縮小に伴い費用も下がることが分かった。
多死社会を迎えるといいつつ、1回当たりの葬儀費用は少なくなっていることから、結果としてすでに業界規模はゆるやかに縮小している可能性も考えられる。
多死社会に向けて受け入れ体制を整えるだけでなく、ピークが去ったのちにどう市場を作っていくべきか、長期的な戦略が求められる。
dr_***** | 38分前
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人の死をビジネス、というのはどうにも違和感が、、
そもそもがこのご時世に(人の縁、家族の縁が途切れてしまった時代)孤独死も増えている状態で、亡くなった後に100万円以上の負担を遺族にかけることの是非という話にもなりますよね。
私などはもう将来的には、海に散骨でいいやと思っています。
誰も来ない荒れた墓に入れられるよりも、ふとした時に誰かの心の中で少しでも思い出していただいた方がなんぼか幸せです。
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a******* | 36分前
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今までは派手なお通夜~告別式等が主流であったが、ここ最近は「セルフ」と呼ばれる葬儀を耳にする機会が増えた。
時代と共に変わっていくのは全然有りだと思うけど、昔ながらの葬儀を望む家族を持つと(特に高齢者)やりきれない気持ちになる家族も実際いると思う。
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rlx***** | 22分前
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マンション坊主の存在も 有り、で
良いのではないか。 昔、 聖 という
寺も持たない僧侶の 存在も あったハズ。
また 寺の存在関係無く、供養する場面が
登場する古典芸能に、僧侶の存在が
出現してますね。
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roc***** | 43分前
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マンション坊主、大いに結構。
故人と同じ宗派の資格持ちの人なら何の問題もない。
寺の檀家になると、寄付とかで何かと物入りだし
墓じまいや墓の移動も大変。
いつまでも江戸時代の檀家制度を
引きずる理由も必要もないでしょう。
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pek***** | 17分前
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2040年だと、ほぼ間違いなく首都直下型地震から南海トラフ地震、富士山火山噴火まで発生しているだろうから、日本という国家自体存在しているか?疑問だ!おそらくどこかの国に吸収されていると思われる!
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mu***** | 37分前
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自宅で1週間程度安置できる設備(冷蔵棺桶)を開発しレンタルすればよいのでは?
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