ロイヤルモータースとその仲間たち

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名来の籠六  西宮市山口町の伝説 その3

2008-02-07 23:47:12 | ぶらぶら お散歩
 昔、名来村に籠六という者がいた。 相場に負けて家財道具一切を売り払い、無一物になってやけ酒ばかり呑んでねていると、日頃信心している聖天様が枕辺に現れて、
 「籠六起きよ、そちにこのムカデつかわすによって、このムカデが頭を上げると相場は上がる。 頭を下げると相場は下がる。 一つ試してみよ。」
 と告げて姿が消えてしまった。 ハテ不思議やナ、と夢からさめて付近を見ると、一匹のムカデが這いながら盛んに頭を上げて鯱鉾立ち(しゃちほこたち)のようになっている。
 そこで籠六は、
 「やい かかあ何ぞ質草はないか。」
 というと、妻は、
 「何をいうぞいナ、この不運続きに何一つあろうぞいナ。」
 と相手にしないのを、
 「何でもよい、倉の中を探してこい。」
 というので、倉中を探したところが、ただ一つ、三つ重ねの重箱を探しだし、早速質入れして六文を持って大阪へ行き買いにかかると相場は上がる一方で、籠六の運は五日で馬一駄の千両箱を積んで名来へシャンシャンとして帰ってきたと言うことである。
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