映画『六月燈の三姉妹』を観た。良作である。企画し父親役で出演もした西田聖志郎氏の雰囲気も好き。
俳優でテレビ・映画での鹿児島弁指導監修もされる西田聖志郎氏が企画した、鹿児島市を舞台とする映画である。
六月燈(ろくがつどう。鹿児島弁では「ろっがっどう」と発音される)とは簡単に言うと鹿児島県内と宮崎県都城市の一部で行われる夏祭りだ。神社仏閣の境内に主に子供達が描いた絵で華やかに飾られた献灯が多数掲げられ露店が立ち並び沢山の人々で賑わう鹿児島の夏の風物詩である。
この六月燈の一晩とその前後に、鹿児島市の或る和菓子店の三姉妹と家族の結構深刻な問題に関して生じた幾つかの出来事と、その先に見出された六月燈の献灯の暖かい光に仄かに照らし出されたかのような希望が、軽妙なタッチで描かれる。
”人間真面目に真っ直ぐに生きていけば色々あっても何とかなる。まだまだ先のことはわからないが、みんな頑張って幸せを掴んで欲しい”と願う気持ちが、観終わった後に湧いてくる。良作と思った。
監督は映画『陽はまた昇る』『半落ち』『ツレがうつになりまして。』などで知られる佐々部清氏。実力の有る良い監督を掴まえることが出来たのが成功の最大の理由だろう。
企画をし父親役を演じた西田聖志郎氏の雰囲気がとても気に入った。厳しく優しい鹿児島のお父さんである。
ついつい噴出しそうになる西田氏の鹿児島愛は適度に抑制されていて、こういう映画にありがちなご当地名物オンパレードまでには至っていないのだが、普通の 鹿児島県民は唐突に『茶碗蒸しの唄』を歌い出したりはしないし、「敬天愛人」の額が飾ってある家庭はそんなに多くはない。
美人なのに、次女役で主演の吹石一恵さんや長女役の吉田羊さんと比べると「落ちる」ということにされてしまった三女役の徳永えりちゃん(映画『フラガール』で、父親に殴られて、引っ越して行ったコ)が可哀想だった。
徳永えりちゃんは間違いなく美人です。
町内会長役の井上順氏には、生まれてからずっと60年以上鹿児島で生活してきた(と想像される)小父さん役はやはり少し荷が重かったかもしれない。いかにも”頑張って鹿児島弁を話しています”という感じなのだ。だが、かなり高いレベルには達していて相当練習を積まれたのは間違いない。
吹石一恵さんはやはり綺麗で魅力的。大輪の薔薇、というより、夏の季節の物語なので真赤な巨大輪の朝顔といったところか。旦那(津田寛治氏)も「俺はお前が良いんだ」って言うよ。
吉田羊さんも綺麗だが、どうしても福岡のローカルタレントの山本華世さんを思い出してしまう。そのうち何かの作品で母と娘という役柄で出てくるのではないかと思う。