ハリウッド版『ゴジラ』(2014)は平成『ガメラ』シリーズのリメイクと言って良いような映画だった。
ハリウッド版『ゴジラ』(2014年製作)を観てきた。以下は所謂「ネタバレ」である。未見の方はご注意を。
「ネタバレ」注意しましたよ。良いね?(笑)。
平成7年(1995年)の『ガメラ 大怪獣空中決戦』(監督:金子修介)に始まる所謂“平成『ガメラ』シリーズ”では、怪獣ギャオスは人類文明の負の側面による地球環境のバランスの乱れにより登場(復活)したものとされている。米版『ゴジラ』に登場する怪獣ムートーの意義付けは全くそれと同じ。造形的にもムートーの三角形で頭頂が平たく目の上に庇状の出っ張りの有る頭や空を飛ぶ姿はギャオスにそっくりである。(鋭くとがった手足はレギオン・イリスに似てる。)怪獣ムートーは平成ギャオスそのものだ。
米版ゴジラはムートーと戦う為に何処からともなく現れそれらを倒すが、彼は“人類の味方”でも“正義の味方”でも“救世主”でもなく、地球自然環境の復元力の権化なのだ。米版ゴジラは平成ガメラそのものだ。
平成ガメラによく似た、明らかにオマージュと思われる場面も複数確認できる。
サンフランシスコ金門橋にゴジラが登場する場面は、『ガメラ 大怪獣空中決戦』における木曽山中の吊り橋の場面を焼き直したものだ。米版ゴジラは海中から立ち上がろうとした時にたまたまその背びれがミサイルを防ぎ(意図せず)スクールバスの子供たちを助けるが、平成ガメラは手を差し出してギャオスの超音波線を遮り(意図的に)子供らを助ける。
最後の場面で米版ゴジラが背びれで波を切りながら泳いで海中に消える様子は『ガメラ 大怪獣空中決戦』と全く同じ。過去のゴジラ映画では、映画の最後にゴジラが海に姿を消す場合は“立って歩きながら”というのが普通であることを考えると、意図的な真似であるのは明らか。
題名と主要なキャラクターは『ゴジラ』だが、映画の内容は平成『ガメラ』のリメイクと言っても良いものだった。かなり驚いた。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』からほぼ二十年経って、ハリウッドもやっと日本の特撮・怪獣映画に追い付いてきたということだ。金子修介監督は偉大だ。