メガリス

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いまさら『龍馬伝』最終回第48回「龍の魂」

2016年04月26日 22時06分09秒 | NHK大河ドラマ『龍馬伝』

 史実無視で好きなように作っているはずなのに何故か物語のスジや登場人物の言動が支離滅裂な大河ドラマ『龍馬伝』

 放送時にはあまりの混乱ぶりに呆れて観るのをやめたが、思い直してDVDで視聴を再開。それでもまた挫折しそうだったが、遂に何とか最終回までたどり着いた。
 最終回第48回「龍の魂」。

 俗に言う「ツッコミどころ」があまりに多すぎて面倒くさいので番組内容について詳述することはせず、重点のみを書く。番組内容との関連に関心がある方はDVDとかで確認して頂きたい。

 史実では薩長などの関係者の間を奔走し大政奉還を実現したのは後藤象二郎である。龍馬ではない。大久保一翁や松平春嶽らからの受売りの大政奉還策を後藤に教えたらしいこと(この話も根拠が有るわけではない)以外は、龍馬は大政奉還実現に関して全く何もしていない。徳川慶喜が大政奉還を決意したことが周囲にも明らかになった“後”に、何を思ったか、後藤象二郎に“励ましのお便り”を書いただけである。

 大政奉還し徳川幕府が無くなっても、武士階級が日本を実質的に支配している事実に即座に変化が起き世の中が変わるわけではない。大政奉還イコール身分制度・封建体制の崩壊というNHK龍馬の認識は妄想と言うしかない。もともとNHK龍馬はイカれた二重人格だったからしょうがないが。

 『新政府綱領八策』というのは後世に生まれた呼び方で、龍馬が書いた文書の題名はただの『八義』である。この『八義』よりも前に書かれたとされる『船中八策』の方が内容が充実していることが、『船中八策』が明治に入ってからの捏造であることの根拠の一つである。

 ○○○は「みんな」なのだそうだ。アホくさ。徳川慶喜を指す「大樹公」と考えるのが一番自然。

 新政府の人事案である『新官制擬定書』は当時龍馬の近辺に居た戸田雅楽(とだ うた。後の尾崎三良)が作成したもので、龍馬が書いたものではない。戸田は三条実美の家臣であり朝廷の組織や官職についての知識があったから其れを作成することが出来た。『新官制擬定書』を西郷隆盛に見せたのも戸田である。戸田が作成した『新官制擬定書』には「参議 坂本」と書かれている。龍馬は新政府に参加するつもりでいたのだろう。
 ”龍馬が書いた『新官制擬定書』に龍馬自身の名が無いことを不思議に思った西郷隆盛がそのことを訊ねると、龍馬は「ワシは役人はイヤだ。世界の海援隊をやりたい」と答えた”という「世界の海援隊伝説」はただの作り話である。
 龍馬を自由民権運動の先駆けと無理やり位置付けた土陽新聞記者坂崎紫蘭(さかざき しらん)という人物(『龍馬伝』で、岩崎弥太郎のところに“坂本龍馬について教えてくれ”と押しかけてきていたアノ人)が「維新土佐勤王史」を執筆した際に、龍馬の名が後の政府高官らと一緒に出てくるのはマズイと判断し原資料を勝手に改竄したのが間違いの元だ。それに「世界の海援隊云々」という話が付加された。

 龍馬殺害に関して様々な伏線を張りまくっておきながら、結局は史実通りに、龍馬を殺したのは佐々木只三郎(ささき たださぶろう)や今井信郎(いまい のぶお)ら「京都見廻組(きょうとみまわりぐみ)」ということにしてしまった。支離滅裂・行き当たりばったりと言うしかないこの番組の姿勢は最後まで変わらなかった。

 やっと、遂に最終回まで辿りついた。正直、疲れた。本当に。
 さよなら、『龍馬伝』。たぶん二度と観ることはない。




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いまさら『龍馬伝』第47回「大政奉還」

2016年04月12日 00時06分34秒 | NHK大河ドラマ『龍馬伝』

 正直もう一々批判するのも面倒くさい、矛盾と混乱と史実無視の稀代のファンタジー大河ドラマ『龍馬伝』。
 放送時には途中で視聴を挫折したが“やっぱり最後まで”と思いなおしDVDで再開したものの再び挫折寸前だったが、なんとか最終回の一歩手前まで辿りついた。
 俗に言う「ツッコミどころ」があまりに多すぎ一々書くのが面倒臭いので、番組内容を詳述するのはヤメにした。重点だけを書く。もし、番組内容との関連を知りたければDVDなどで観て欲しい。


 海援隊士 沢村惣之丞が岩崎弥太郎に大意次のように語る。“龍馬が大政奉還実現のため思う存分活動できるように、俺たちは働き稼いでいるのだ”。そうだったんだ。“大政奉還実現の為の海援隊”という命題が登場してから随分経過したが、やっと判ったよ。何故今まで黙っていた?最初からそう言えばいいのに。

 徳川慶喜は大政奉還策提唱者である幕臣大久保一翁(おおくぼ いちおう)や福井藩主松平春嶽(まつだいら しゅんがく)から大政奉還策をイヤになるほど聞かされているから、山内容堂の大政奉還建白を読んでも「帝に政権をお返しせよだと?!」などと驚いたりはしない。そもそも『龍馬伝』では大久保一翁は登場すらしないし松平春嶽(夏八木勲)も大政奉還の「た」の字も言わないから、しょうがないが。
 大政奉還建白を出すことを山内容堂に頼んだのは後藤象二郎であり、龍馬ではない。大久保一翁や松平春嶽らからの受売りの大政奉還策を後藤に教えたこと以外は龍馬は大政奉還に関して全く何もしていない。

 NHK龍馬は“ケンカや戦争で物事は変わらない”という思想の持ち主だったはず。そのNHK龍馬が“大政奉還を受け入れないなら、海援隊を上京させ慶喜を斬る”と言い出す。またもや二重人格NHK龍馬の人格転換発現である。口先だけではあるが間違いなく武闘派だった龍馬を無理矢理NHK好みのハンセンヘーワ主義者に仕立て上げたせいでこういう矛盾した言動が生まれる。状況次第ではNHK龍馬は薩長の武力倒幕路線に協力するということらしいが、そもそも“菜種油や軍鶏などを扱っているだけで武器には手を出さない”NHK海援隊にそんな軍事的実力があるのかね?

 龍馬と勝海舟は、海舟責任下にある海軍操練所関連の公金50両を龍馬や近藤長次郎らが横領した「龍馬公金横領事件」の発覚以降、一切の直接的交流がない。

 NHK龍馬が叫ぶ。「新しい日本の夜明けぜよぉおおおおお!!」もうウンザリ。“架空の幕末スーパーアイドル坂本龍馬”の使い古された決めセリフだ。

 NHK西郷が言う。「坂本を生かしておいたのは間違いだった」。大政奉還は後藤象二郎の手柄である。龍馬は何もしていない。後藤象二郎は大政奉還建白を提出する前に薩摩の西郷・小松帯刀らに相談している。最初は反対されたが後に「反対はしない」旨の同意を得た。慶喜が大政奉還策を受け入れたのは薩摩にとっては意外だったかもしれないが、慶喜が大政奉還しようがすまいが、来たるべき新体制の実をあげる為に徳川の政治的軍事的経済的実力を完全に削ぐ方針でいることに変わりはない。

 龍馬殺害の「黒幕」に関して新説登場のようである。「徳川慶喜黒幕説」。NHK龍馬の偉大さに苦笑するばかりだ。

 大政奉還させただけで何故「700年続いた侍の世の中を終わらせた」ことになるのか?徳川幕府が無くなっても、武士階級が日本を実質的に支配している事実に即座に変化が起きるわけではない。NHK海舟もNHK龍馬同様に異常なオツムの持ち主である。

 龍馬伝紀行「幕府から追われていた龍馬は都に留まり大政奉還成功の報せを聞きます。龍馬らは遂に歴史を動かしたのです」。ドラマ部分ではないのでこれは「ウソ」「虚偽」と言うしかない。何度も言うように、龍馬は大政奉還については、後藤に一翁・春嶽から受売りの大政奉還策を教えた(と言われているが実はコレも根拠は全くない)こと以外には、一切全くサッパリまるっと何もしていない。

 やっとここまで来た。次回は最終回。




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