トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

キャンプ

2007-07-09 | Weblog
トニーは今日から6泊7日の障害児キャンプに行きました。

祖父母の家にはよくひとりでお泊りしてきますが、知らない環境の中で団体生活をするのは初体験です。

事前にキャンプツアーがあり、一応どんなところに泊まって、どんなことをするのかは本人に説明済みでした。

昨夜は私に言われたように、持ち物全部に名前を書き、むこうで困らないように服などを曜日や用途ごとに分類し、更にそれをひとつずつ透明の袋に入れ、パックしていました。



キャンプツアーの時は、「6泊7日は長すぎる。1泊2日にしてください」といい続けていましたが、先週あたりから覚悟したようで、”6泊7日のキャンプに行くんだ!”とみんなに言いふらしていました。

それでも、昨夜は「キャンプの先生はやさしい?」「金曜日は誰が何の車で何時に迎えに来てくれる?」「DSとipod持っていっていい?」「僕のアレルギーは(昨日はアレルギーがひどくクシャミと鼻水でグショグショでした)明日までに治る?」、、、、などなど、、、質問攻めでした。

そして今朝、
「Mom, 僕もうベッドメーキングも朝ごはんも終わったよ。何時にキャンプ行くの?」と、いつになく早起きして私を起しに来ました。

いつもぎりぎりまで寝て、がみがみ言われてやっと着替え、朝食をモタモタ食べて、ベッドメーキングなどせずにボゥーとしたまま出かけるトニーがやけにはりきっていました。

その元気な声を聞いて、半分目が開いてなかった私もベッドから出てリビングルームへ行くと、、、



なんとお出かけ用のナイスパンツとシャツを着てすっかりおめかししたトニーが、、、

ちょっとアンタどこ行くの?(笑)

というわけで、出足好調、なんとかサバイブしてくれることを願っています。

ああPC- Political Correctness-

2007-07-08 | Weblog
トニーの通っているアフタースクールにサマータイム限定の学生ボランティアが今年も来てくれています。

障害児を相手に少しもかまえず、正直に、自然に、そして本気で遊んでくれる彼らのことがみんな大好きです。

私は今、今月末の障害児コンサートのお手伝いをしているのですが、先日、練習中に超多動のGN君が突然消えました。みんなで手分けして探していたら、ボランティアのひとりが「ブルース リーならトイレにいました!」と言ったのです。

ん?!ブルース リー?!
頭の中にブルース リーのあのポーズが浮かんで気づきました。
「あちょ~~!」という叫び声、そっくりです。 GN君に。
あまりにピッタリな呼び名に、大笑いしました。

とこのことを夫に話すと、「それってGN君に対して失礼だと思う」と不機嫌に言いました。

彼の指摘は、もしGN君がブルース リーと呼ばれることを認められるのならそれはOK,でも彼はそう呼ばれる意味もわからず、そう呼ばれることが好きとも嫌いとも言えない障害児だとしたら、それは言葉でのいじめだと。
「laughing with him(彼と一緒に笑う)とlaughing at him(彼のことを笑う)は違うよ」とチクリ。

私もボランティアの子も決してGN君を笑いものにしたつもりはないのに。

アメリカでは人種、民族、宗教、性別、、、などによる差別、偏見用語にとても敏感です。

Political Correctness(政治的に正しい)という差別や偏見用語を警告するための表現があるほどです。

黒人同士が「このぉ!ニグロめ!!」とふざけて言い合うことはOKでも、それを私が言ったら本気でケンカしかけているのと同じことになりかねない

お互いのルールをわかりあうのって、難しい、、、、、


空気の読めない人

2007-07-03 | Weblog
最近空気の読めない人が増えているそうです。

空気を読むのは日本文化だと思っていましたが、相手に合わせるとか人の気持ちを考える事情が変わってきたのでしょうか?

”言ってはいけないこと”とオーバーラップしますが、その場の空気を読むっていうのは意識を自分から相手に向けないといけないので、コミュニケーション障害のある自閉症にとっては大変難しいことです。

私がアメリカへ来て間もない頃、コンサートの打ち上げパーティーでのこと。
暑かったので「I am hot」と言ったらみんなが私に注目して騒ぎ始めました。

友達のひとりに「ダメだよ。こんなときに、こんなところで、そんなこと言っちゃ」と冷やかされても全然わかりませんでした。

Hotには”暑い”以外にたくさん意味がありますが、このときのHotはセクシャルアピール的な意味に聞こえてしまったわけです。

それ以来、しばらくHotという言葉を使うのが恥ずかしくて妙に構えてしまったのを覚えています。
今暑いけど、暑いって言っていいの?いけないの?
考えたあげく「暑いね。外は30度越えてるらしいよ」とか必ずなんで暑いかを丁寧に説明していました。

異文化の中で生活している私のハンデもさることながら、異星?で生活しているトニーに場の空気を読めと言うのは酷なことです。

空気が読めないのではなく、空気の読み方が違うのだということを理解していただければ彼らの人生もEasyになるのだと思うのですが。




言っていいことといけないこと

2007-07-02 | Weblog
自閉症にとっての難題のひとつです。

犬の散歩で通りかかったお宅でトニーは言ってはいけないことを言ってくれました。

そのお宅は外観が暗くて家の前にガラクタが積んであり、草はぼうぼう、木がうっそうとしてジャングルのよう、、、

少し開いていた玄関を見て立ち止まったトニーは「Excuse me? What happened your home?」とその家に向かって言っちゃいました。
家の中から頑固一徹風のおじさんがこちらを見た瞬間、私は愛想笑いをしてトニーを促し、逃げるようにしてその場を去りました。

言ってはいけないこと事件は今まで何回起こしたことか、、、

尼さんを見て「見て!ペンギン!!」
すごく大きくて声の低い女性セラピストに「おじさん?おばさん?どっち?」
スーパーのパン売り場で何か臭いを察知し「臭い!何の臭い?パンの臭い?それともこのおばさん?!」と私たち以外にその場に居たたったひとりの買い物客を指さし。

先日は来月出産を控えた友達のお母さんにいきなり「Are you pregnant?(妊娠してるの?)」と言い、その横で私は「そこまでにしてよ~~それ以上何も言うなよ~~」とひきつっておりました。

帰宅して夫に「いきなり何言うかとハラハラしたよ。本当に失礼なんだからぁ」と愚痴グチ言ったら、「確かにそれはすごく失礼だよね。もしその人が妊娠していなかったら」と笑っていました。

そう、ここがポイントです。
もし妊娠していない人に同じことを言っちゃった場合、なんで失礼なのか?
これがトニーには理解できないんです。

”言ってはいけないこと”まだまだこの先延々と続きそうです。