楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

いい論文をかこう(5)introのレビューその1

2007-12-03 16:08:31 | 科学
さて、
introの続きだが、もう一度、読者の立場について。

私が院生の頃は、もちろん今のようなネット社会ではない。
関連する研究の最新情報はどこでどうやって仕入れるか?
指導教員が優れていれば、そこから伝わってくる情報は天下一品。
もちろん優れた先輩が発するセミナーなどの情報も重要。
そんな環境で、おんぶにだっこでいれば安心かもしれない。
しかし、それではいつまでたっても自立できないね。
自分で情報収集能力と判断力を身につけることはどうしても必要。

私の場合は幸か不幸か、そうではなかった。
そこでどうしたか?
毎週、図書館へ通った。
最新雑誌にざっと眼を通すのである。
もちろん、まずタイトル。
表紙もしくは裏表紙をながめる。
「うっ」と眼に留まる!(だから(3)でタイトルを強調したのです)
開く。
著者を見る。
「お!これはあのスクールだぞ!を?これは誰だ?知らんぞ」
abstractをざっと見る。
「う、おもしろそう」とか「なんだかピンぼけだな、いまの興味に」
と仕分ける。
そして、その後にバラバラと全体を眺めて、図を見る。
「お!このダイアグラムもしくは図。おもしろそう」
となれば初めて、コピーへ。
当時はコピーが高い。

そうやって情報収集をした。
そして自分の研究に関連するところをさらに突っ込み研究の全容をつかむ。
だって、査読の項目に、
これまでの関連する研究をきちんと網羅把握しているか?
ってところがあり、それが出来なければXである。

そして、そのうちそのような論文の情報は、もはや今のサイエンスの現状からは1年以上遅れていることに気がつき始める。
だって当たり前。
投稿日や受理日を見たら1年以上前はざらなのである。
そして、学会発表が情報収集にとって重要である、と実感できるようになる。

日本の学会、外国の学会、シンポジウムなど数多あるが、そこに現在進行形があるのである。

というわけで、テーマを巡る現状は正確に把握しなければならない。
科学の背景はテーマを磨き上げる事が最も大事な部分である。
そのためにはあなたは「CIAのその道のagent」になったつもりで情報収集に勤めることが大事である。

そこで研究の歴史の羅列とレビューの決定的違いは何か?

雨が降って急に寒くなったぞ!
風邪引くな
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いい論文をかこう(4)起承転結の起

2007-12-03 02:21:41 | 科学
今日の東京は久々のポカポカ。
日曜であるはずなのに午後からまた学会の会議。気がつくと紅葉まっさかり。
昨年はキャンパスを堪能する時間があったのになと思いつつ、「写真撮りたいな~、あ!間に合わない!」
でも、一枚だけぱちり。でもやっぱり駄目だな、いい写真を撮ろうと思ったら落ち着かなくちゃ!


さてさて、その4。
論文のタイトルがとりあえず落ち着いたら、
(とりあえずですよ、すっきりしなくとも。なぜなら書き始める前の認識レベルに制約されているので。でもタイトルで悩まなくては実はすぐかけなくなります)
全体の構成を考える。ここで構想力がものをいう。

普通論文は長くても短くても「起承転結」の4部構成。
変種で5-7-5の俳句のようなリズムの3部構成というのもありだが、そういうのはreview論文のようなものに適すると思っているので初心者には向かないかも。
ということで4部構成を見てみよう。

(そういえば昔、短歌で恋の思いをやりとりするすばらしい文化が日本にはあったね。こころのやりとりのリズムは5-7-5-7-7と5部構成?やっぱり文学は科学より複雑だ! いかん!また逸れた)

起は、introduction
承は、settingなりmethod
転は、記載なりデータ
結は、議論・考察である。

この中でどこが最も難しいと思う?
議論考察と思う人が多いかもしれない。
でも、そうではないのです。実際はintroductionなのです。
ここでは、これまでの研究を簡潔にレビューし、この論文の目的を述べるところ。
Introがかけたら論文は90%以上できたと思ってよいのです。
なぜなら、そこで論文の焦点が整理されるからです。
手足を動かして一生懸命データを集めた人は、方法やデータ記載はもう出来ているはずですね。
それだけでも3/4だから75%ですね。でもIntroが本当にかけた時には実は頭の中では議論や考察は構想されている、という関係になっているはずなので90%以上というわけです。

従っていい論文を書けるかどうかの第3の関門というか最大のハイライトは「Introはどうやって書くか」ですね。
その時のポイントは
もちろん「研究のレビューとは何か?」
研究の目的における多くの人の関心と自分の独創との関係をどう描くか?
に集中ですね。
さて、それをどうやってやるか、考えてみましょう。
つづく






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