地下駐車場の警備員として働く、背が低く、醜く太った中年男マーティン(ローレンス・R・ハーヴェイ)。
勤務中の警備室で、「ムカデ人間」のDVDをパソコンで観ては、異様に興奮して妄想にふける毎日を送っている。
彼は、「ムカデ人間」を何度も何度も繰り返し観ているだけでは飽き足らず、映画の場面写真やメディアの記事を切り抜いてファイルにしたスクラップ・ブックを作っていて、暇さえあればそれをながめて悦に入っていた。
そんな毎日を送るうちにマーティンは、心に湧き上がってくる邪悪な欲望を我慢することができなくなってくる。
その欲望とは、自分自身の手で人間を繋ぎ、「ムカデ人間」を作ること。
そして異常な欲望は暴発し、12人を数珠つなぎにした、映画をしのぐ「ムカデ人間」を作りあげていく…
2012年に自分が観た作品のランキングにおいて、外国映画・日本映画を合わせた中で最下位の作品。
前作の「ムカデ人間」も、その内容があまりにショッキングなために世界各国で上映禁止になっていたが、本作は更にそれを凌ぐ“R指定ぶり”を誇る。
特に、「ムカデ人間」を作っていくクライマックスシーンは凄惨を極める。
主人公のマーティンは、一介の駐車場警備員に過ぎず、医学的な知識やスキルは無い。
にもかかわらず、彼は人間の肛門と口とを繋いで消化器官を一体化させた「ムカデ人間」を作ろうとする。
映画「ムカデ人間」においては、曲がりなりにも医学的知識と技術を持つマッド・サイエンティストが外科的に施術して人間を繋いだ。
医学的なバックボーンが何もないマーティンが、「ムカデ人間」を作るならばどうするのか?
手っ取り早く人間を繋ぐために彼が選んだ手段は、デカいホッチキスで留めてしまうことだったのだ。
書いてるだけでも痛みを感じて耐えられないシーンが、スクリーンに展開するのだから、まともに目を開けていられない。
また、人間を繋ぎ終えたマーティンは、消化器官が一本化されたことを実見するために、被害者達に下剤を注射していく。
その結果は、想像通りのおぞましいもので、書くに堪えないため省略するが、血まみれ汚物まみれの画面は正視に堪えない。
モノクロ画面で色彩が無いため、まだ耐えることができるのだが、これがカラーだったらとても見ていられない。
また主人公のマーティンの設定が凄まじい。
幼児期に父親から性的な虐待を受け、精神的な発達障害と喘息の持病を抱えているという点は同情に値するものの、背は低くでっぷりと肥え太った体型に、禿げあがった額とメガネの奥で異様な光を湛えた瞳をギョロギョロさせる不気味な顔つきで、差別的だとの誹りを受けたとしても、醜悪としか言いようのない“見た目”。
一目見ただけでトラウマになりそうなほど醜く、その存在感は、ただ単に作品の主役という位置付けに収まりきらない異彩を放っている。
こんな凄まじいキャラクターを演じるローレンス・R・ハーヴェイは、これが長編映画初出演とのことであるが、イギリスでは子供達に大人気だというから驚いた。
よくこんな役を引き受けたものだと思うが、しかし本作の成功は、ひとえにキャラクターにハマり過ぎるくらいハマっている彼の存在感無くしてありえない。
レナード・ニモイのミスター・スポック以上のハマり役だ。
己の欲求のままに人間を繋ぐマーティン。
観る側に確固たる正義感が必要で、マーティン同様に異常な嗜好を持つ人間が観たら危険だ。
観る人間が観たら、正にマーティンと同じ思考回路が働きだすのではないかと心配になる。
冷静に考えれば起こり得ない設定であり、「ムカデ人間2」と同じ状況を作り出すのは不可能だと安心できるのだが、「R18」だけではない指定が必要ではなかろうか!?
などと暗澹たる気持ちになっていると、同じ列の一番端の席にいた、一人で観に来ている様子の女性がクスクス笑う声に「はっ」と我に返った。
そう!この映画はスクリーンに繰り広げられる陰惨な情景を「んなアホな!」とツッコンで笑い飛ばすのが正しい鑑賞法だ。
目くじら立てて何をやってるのだろう?とハタと気づき、己の“青さ”に恥じ入った。
まだまだ映画鑑賞の修行が足りない!
あまりのモラル・ハザードぶりに己のモラルの正しさを再確認できる、悪夢のような画面が展開する超絶グロテスク・ナンセンス映画。
“ゲテモノ趣味”が大丈夫な方にしかお勧めできない怪作。
「ムカデ人間2」
2011年/オランダ=イギリス 監督:トム・シックス
出演:アシュリン・イェニー、ローレンス・R・ハーヴェイ、マディ・ブラック、ドミニク・ボレリ
勤務中の警備室で、「ムカデ人間」のDVDをパソコンで観ては、異様に興奮して妄想にふける毎日を送っている。
彼は、「ムカデ人間」を何度も何度も繰り返し観ているだけでは飽き足らず、映画の場面写真やメディアの記事を切り抜いてファイルにしたスクラップ・ブックを作っていて、暇さえあればそれをながめて悦に入っていた。
そんな毎日を送るうちにマーティンは、心に湧き上がってくる邪悪な欲望を我慢することができなくなってくる。
その欲望とは、自分自身の手で人間を繋ぎ、「ムカデ人間」を作ること。
そして異常な欲望は暴発し、12人を数珠つなぎにした、映画をしのぐ「ムカデ人間」を作りあげていく…
2012年に自分が観た作品のランキングにおいて、外国映画・日本映画を合わせた中で最下位の作品。
前作の「ムカデ人間」も、その内容があまりにショッキングなために世界各国で上映禁止になっていたが、本作は更にそれを凌ぐ“R指定ぶり”を誇る。
特に、「ムカデ人間」を作っていくクライマックスシーンは凄惨を極める。
主人公のマーティンは、一介の駐車場警備員に過ぎず、医学的な知識やスキルは無い。
にもかかわらず、彼は人間の肛門と口とを繋いで消化器官を一体化させた「ムカデ人間」を作ろうとする。
映画「ムカデ人間」においては、曲がりなりにも医学的知識と技術を持つマッド・サイエンティストが外科的に施術して人間を繋いだ。
医学的なバックボーンが何もないマーティンが、「ムカデ人間」を作るならばどうするのか?
手っ取り早く人間を繋ぐために彼が選んだ手段は、デカいホッチキスで留めてしまうことだったのだ。
書いてるだけでも痛みを感じて耐えられないシーンが、スクリーンに展開するのだから、まともに目を開けていられない。
また、人間を繋ぎ終えたマーティンは、消化器官が一本化されたことを実見するために、被害者達に下剤を注射していく。
その結果は、想像通りのおぞましいもので、書くに堪えないため省略するが、血まみれ汚物まみれの画面は正視に堪えない。
モノクロ画面で色彩が無いため、まだ耐えることができるのだが、これがカラーだったらとても見ていられない。
また主人公のマーティンの設定が凄まじい。
幼児期に父親から性的な虐待を受け、精神的な発達障害と喘息の持病を抱えているという点は同情に値するものの、背は低くでっぷりと肥え太った体型に、禿げあがった額とメガネの奥で異様な光を湛えた瞳をギョロギョロさせる不気味な顔つきで、差別的だとの誹りを受けたとしても、醜悪としか言いようのない“見た目”。
一目見ただけでトラウマになりそうなほど醜く、その存在感は、ただ単に作品の主役という位置付けに収まりきらない異彩を放っている。
こんな凄まじいキャラクターを演じるローレンス・R・ハーヴェイは、これが長編映画初出演とのことであるが、イギリスでは子供達に大人気だというから驚いた。
よくこんな役を引き受けたものだと思うが、しかし本作の成功は、ひとえにキャラクターにハマり過ぎるくらいハマっている彼の存在感無くしてありえない。
レナード・ニモイのミスター・スポック以上のハマり役だ。
己の欲求のままに人間を繋ぐマーティン。
観る側に確固たる正義感が必要で、マーティン同様に異常な嗜好を持つ人間が観たら危険だ。
観る人間が観たら、正にマーティンと同じ思考回路が働きだすのではないかと心配になる。
冷静に考えれば起こり得ない設定であり、「ムカデ人間2」と同じ状況を作り出すのは不可能だと安心できるのだが、「R18」だけではない指定が必要ではなかろうか!?
などと暗澹たる気持ちになっていると、同じ列の一番端の席にいた、一人で観に来ている様子の女性がクスクス笑う声に「はっ」と我に返った。
そう!この映画はスクリーンに繰り広げられる陰惨な情景を「んなアホな!」とツッコンで笑い飛ばすのが正しい鑑賞法だ。
目くじら立てて何をやってるのだろう?とハタと気づき、己の“青さ”に恥じ入った。
まだまだ映画鑑賞の修行が足りない!
あまりのモラル・ハザードぶりに己のモラルの正しさを再確認できる、悪夢のような画面が展開する超絶グロテスク・ナンセンス映画。
“ゲテモノ趣味”が大丈夫な方にしかお勧めできない怪作。
「ムカデ人間2」
2011年/オランダ=イギリス 監督:トム・シックス
出演:アシュリン・イェニー、ローレンス・R・ハーヴェイ、マディ・ブラック、ドミニク・ボレリ
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