クルーンサヨナラ押し出しに暴言退場(スポーツニッポン) - goo ニュース
日曜の夜は、プロデュースしている紫亭京太郎のCMを優先したため、少々タイムラグができてしまったが、日曜の読売戦の最終回は見応えのある勝負だった。
赤星が先制点を叩き出した直後の6回表。
先発の杉山は相変わらずのヘタレっぷりで逆転を許してしまい、完全に読売に流れはいってしまっていた。
二死無走者から四球連発でピンチを招き、ラミチャンペッに逆転タイムリーを打たれたのだが、よくホームランにならなかったものだ。
初回からそんなに良くはなさそうだったが、それなりに抑えてきたというのに、突然制球を乱す完全な一人相撲。
毎度毎度毎度毎度繰り返される突然の乱調だが、いったい何度同じピッチングを繰り返せばわかるのだろう?
直らない癖ならば、もう限界だ。
即刻背番号18を返上して、1億8千番にでもしてバッティングピッチャーとしてがんばってもらいたい。
あ、コントロールがままならないので、この仕事もムリか。
ともかく、このエースナンバーを背負ったヘタレ魔人は7回にも失点。
先頭打者のゴンザレスに二塁打をかまされ、読売で数少ない小技師のキムタクに送られて一死三塁という大ピンチ。
原監督が勝負に出て、好投・内海に替えて代打に谷を送った。
こういう場面で谷というのは実に怖い。
しかも、好投を続けてきた今シーズンのエース格・内海に代わっての代打である。
百戦錬磨の打撃の職人の集中力は研ぎ澄まされていたはず。
そんな谷をヘタレ魔人が抑えられるはずもなく、きっちりタイムリーを浴びて点差を広げられた。
しかし、これで完全に読売に試合の流れは移ったな…と思いきや、続く売出し中・坂本のショートライナーに一塁ランナーの谷が飛び出してゲッツーとなり、チェンジ。
こんなことやってるから読売は勝てんねやろなぁと思ったシーンだったが、そんな杉山並みにグダグダな読売を助けてしまったのが、直後の7回裏のタイガース。
替わったアゴ倉から先頭の矢野が四球を選び、ムードが高まったのも束の間、続く関本がフルカウントから空振り三振を喫すると、あろうことか矢野が二塁めがけて走っていて盗塁失敗。
三振ゲッツーという最悪の結果で、再び試合の流れを読売に渡してしまう。
ところが、この両方の攻撃がグダグダな中、8回表に登板した能見が、またもや試合の流れを読売に渡しきらない見事な投球を見せた。
二軍で鍛えてきた…というよりは、二軍の星野ピッチングコーチの影響をモロに受けたようなピッチングフォームで、2番亀井からの好打順にも関わらずピシャリ三者凡退に抑えこんだのである。
テイクバックの際の左ヒジの使い方は、かつての“星野王子様”そっくり。
しかしこのフォームがしっくりきているのか、先日はリリーフで三者三振に切ってとり、この日もしっかり三者凡退と好調だ。
ジェフが戻ってくるまでの間、江草と共に左腕中継ぎ二枚看板として踏ん張っていれば、ヘタレ魔人とローテーション交代は間違いないのではないだろうか。
本当に今の読売は、試合の流れを自分のところへ持ってこれないが、これは選手達のプレーのせいだけではない気がしたのは、この裏のタイガースの攻撃を迎えたところだ。
2点差で迎えた8回裏に、左の藤田に替えて登板してきたのは、同じく左の山口。
バッターは赤星であり、次に平野と左が三人続くのだから、さっき好調の代打・葛城を抑えた藤田を替える意味は何だったのだろうか?
この8回裏を無失点で切り抜ければ、最終回は2点差でクルーンを投入でき、読売の勝利への確率は限りなく100%に近くなるというもの。
読売からすれば、この回は何が何でも0点に抑えなければならないはずだ。
山口は、確かに開幕以来自責点0の抜群の安定感をみせているが、まだまだ経験値は藤田に比べるべくもない。
ましてや、7回裏に登板してきた藤田は、決して悪くなかった。
こういう大事な試合での好調なベテランほど、いやな存在はない。
まあ結果論ではあるが、替わった山口から先頭の赤星の打球は強いサードゴロ。
この打球を弾いた小笠原が焦って一塁へ悪送球してしまったスキに、赤星は一気に三塁を陥れ、無死三塁という絶好のチャンスを作り出した。
ここで岡田監督の勝負勘と親心が働いたのだろう。
平野に替えて代打に今岡を送った。
これも驚いた。
ここ最近の今岡のテイタラクぶりを見ていると、左打者とはいえ平野の方がよっぽど期待できるというのがファンの総意に近いのではないだろうか。
しかしここで今岡は、見事なライト前タイムリーヒットを放った。
甘く入った外角のストレートを逆らわずにライト前へキレイに弾き返すナイスバッティング!
いつもあの打撃ができていれば、去年のリベンジが遂げられるというのに…
これをキッカケにすることができるのか、次の今岡が楽しみである。
さあ、こうなると甲子園のボルテージはいやがうえにも盛り上がる!
その波に飲まれたかのように、続く新井にフォアボールを与えた山口。
金本の方が同じ左なので組し易いと考えたのなら大したもんだが、うまうまと術中にハマッたように金本はサードゴロに討ち取られた。
それでもまだワンアウト1、3塁と、同点の絶好のチャンス!
さあ、ここで一打かませば浮上できるはずやで、フォード!
…という祈りにも似た希望もむなしく、なんと最悪のセカンドゴロゲッツーで万事休す。
これでこの試合は終わったと、正直思った。
そして迎えた9回表。
登板した久保田がまたしても「久保田劇場」を披露し、二死満塁と攻めたてられる。
この回の失点は重すぎる。
2点差でクルーンを迎えてはならない。
バッターボックスには読売期待の星・坂本。
まさに試合の流れは読売にいっていた。
そして坂本のうまいバッティングで運ばれた打球がセカンド後方、センターの斜め前にポトリと落ちるタイムリー!…と思ったその瞬間、なんと赤星がスライディングキャッチしているではないか!
これも驚いた。
テレビの解説によると、久保田の投球の直前、どうやら赤星が若干守備位置を前にしていたという。
なんという見事なプレー!
これでまたタイガースに試合の流れがやってきた。
そしていよいよ最終回の攻撃。
読売はなんとか必勝パターンにつなぐことができ、守護神・クルーンのお出ましとなった。
星を落とした初戦では、確かクルーンの前に三者三振を喫していたはず。
あまり期待はできない…といいつつも、1点差なのだから何とか同点に!と祈るような気持ちでテレビ画面に釘付けとなった。
先頭打者は鳥谷。
クルーンは初球からバンバン150km/h超えのストレートを押し込んでくる。
「こらアカンがな…今日も速いな、クルーンは」とあきらめかけたその時、開幕から打撃好調の鳥谷が、実にキレイな打球をレフト前へと運んだ!
力負けして引っ張れなかった打球ではない。
バットにボールを乗せ、レフトへしっかりとさばいた見事なバッティングだ。
これはクルーンを苛立たせるのに十分だったに違いない。
自慢の剛速球をものの見事に弾き返されては、クルーンの短気で感情を抑えられない悪癖が出てくるのではないかと、大いに期待できる。
そして続く矢野は、定石通りの送りバントの構え。
初球、クルーンの投球は矢野の顔面付近に飛んでいった!
テレビに向かって思わず「危ない!」と叫んだが、見事な反射神経で避けた矢野がグラウンドの倒れこんでいる間に、投球はキャッチャーミットに収まらずにファールグラウンドに転がる暴投となった。
矢野は死ぬ思いだったろうが、チーム的には労せずして無死二塁という同点の大チャンスがやってきた。
岡田監督が「危険球ちゃうんか!?」(多分そう言っていたはず)と抗議に出てきたが、バッターボックスで普通に構えている打者の首から上に向かって投球された場合は危険球と言えるが、バントの構えの打者を仰け反らせるための内角高めの投球は、ピッチング技術としてはセオリーでもあり、ここは一発退場の対象にはならないだろうと思った。
(主審の話によれば、もう一球きたら危険球退場だったもよう)
試合が再開され、矢野は再び送りバントの構え。
選手生命の危機を間一髪で逃れたと言ってもいいだろうシーンの後、また送りバントをするのは本当に勇気がいると思うが、臆することなく矢野は腰を落としてクルーンに対峙した。
リズムが崩れだしたクルーンはストライクを取ることができず、結局矢野を歩かせてしまったが、これで完全にクルーンは我を失っているように見えた。
こうなれば試合の流れはタイガースのものとなる!
続く関本が一発で送りバントを決め、一死2、3塁と一打逆転のお膳立てを作った。
次打席で矢野を見ていた関本も、送りバントは相当怖かったのではないかと思うが、キッチリと決めるところは見事だった。
制球がままならなくなっているクルーンだけに、フォークボールを地面に叩きつけての暴投も想定され、こりゃ確実に同点か!?と期待が高まったところで、久保田に替わって代打で登場は桧山!
しっかりバットを短めに持っているのが見えたので、これならクルーンの剛速球にもついていけそうだ!と大いに期待したが、結果はボテっとファーストゴロ。
三塁ランナーが突っ込むもアウトとなり、二死1、3塁となってしまった。
やっぱり、あの剛速球にベテランの代打は辛いか…と少しヘコんだが、次に回るのが赤星だっただけに、またまた期待は高まった。
いや、ホンマに面白い試合だ♪
表の回にファインプレーでチームを救った選手会長は、ツーストライクと追い込まれながらも、最後はうまく打球を叩きつけた。
高く跳ね上がった打球をショートの坂本が必死でつかんで一塁へ投げるも、俊足赤星の足が速くセーフ!
(テレビで見ている限りでは同時とちゃうかな?と思ったが、同時ならセーフだから問題ない♪)
思わずテレビに向かって「やったー!」と叫んでしまった。
(多分、日本各地で「やったー!」が響いていたはず!?)
こうなれば押せ押せだ。
そしてマウンド上のクルーンは冷静にいられないはず。
続く藤本が珍しく(?)ボール球を見極めて新井に回したとき、これはかなりの確率で試合が決まる!と感じた。
ここからの、クルーンに対峙する新井は素晴らしかった。
ボール球をしっかり見極め、際どい球にはファールでくらいついていったのだが、途中で投げられたフォークをファールにしたときは本当に感動した。
160km/hに近い速球の合い間に投げ込まれるフォーク。
フツウ、そのスピード差についていけず、またヘタな投手のストレート並みの速さがあるため、バットに当てることは困難だ。
そんななかでの新井。
見送ればボールだったと思うが、振りにいってしまったからには何が何でもバットに当ててファールにしなければならない。
そして新井は、見事にバットに当ててファールにしたのである。
こうなれば、読売バッテリーもストレートで押しに押すしかない。
フォークは更に、暴投の可能性もある。
なおもファールで必死にくらいついていた新井が、最後の最後で外角の剛速球をビシッと見送った。
自信ありげなその態度に一瞬遅れて主審が叫んだ。
「ボール!」
脱兎の如くマウンドを駆け下りて来たクルーンを尻目に殺して、タイガースナインの歓喜の輪が一塁ベースを取り囲んでできあがったのだった。
本当に久しぶりに、プロとプロの息詰まる対決をたっぷりと堪能した。
この試合の入場料は安いわ!
しかし家で見ているテレビ画面は、球場では見られない“特等席”。
新井対クルーンの一騎打ちを、手に汗握って見つめるには、最も適した“席”だったとも言える。
いやぁ、この試合が甲子園でよかった。
これが東京ドームだったら、最後に訪れたプロ野球の醍醐味を、テレビで見ることはできなかっただろうから。
(そんなことやってるからファン離れが進み、ますます読売戦の視聴率が下がるのだ)