面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」

2017年12月26日 | 映画
フォースに目覚めたレイが、レイア・オーガナの導きで、チューバッカと共にミレニアム・ファルコンで“最後のジェダイ”たるルーク・スカイウォーカーを訪ねる。一方、ファースト・オーダーに拠点を知られたレジスタンス軍は、敵艦隊の追撃にさらされながら、仲間を求めて全速力で辺境の星を目指していた。
劣勢にあるレジスタンスを救うことができるのは、ジェダイ・マスターであるルークしかいないとの思いを抱くレイは、自覚したフォースに対してルークに指導を懇願するも相手にされない。しかし同行したチューバッカや、かつてルークの相棒だったR2-D2との再会を通じてルークの心も開かれ、レイにフォースについて説きはじめる。

なぜルークは、辺境の惑星に引きこもっているのか。彼が指導していたカイロ・レンが、なぜダークサイドに堕ちたのか。エピソード7で残されていた謎が解き明かされ、かつての師弟が再び相まみえた時、カイロ・レンはフォースの力を極大化しようとしていた…


ハン・ソロ亡き後、レイア“姫”もキャリー・フィッシャーが亡くなって今回が遺作となり、過去の「スター・ウォーズ」シリーズとの繋がりを残す人物は、いよいよルーク・スカイウォーカーのみ。フォースに目覚めたレイと、本来ならジェダイ・マスターを目指すべきフォースの“使い手”ながらダークサイドに堕ちたカイロ・レン二人の存在がより際立ち、脈々と続いてきたこの壮大なサーガも、“世代交代”が鮮明になってきた。もういつまでもハン・ソロ、レイア・オーガナ、ルーク・スカイウォーカーでもない。

カイロ・レンは、もしかするとシス級のフォースを持っているのではないか!?そしてその自覚を持ったとき、彼の行動はとてつもないものになっていくのであるが、彼の“若さ”がそれにどう影響していくのだろうか。
一方のレイも、彼女のフォースが今後どのように開花していき、どれだけの力を持って行くことになるのだろう!?そしてそのことが、カイロ・レンとの対峙において、どのような展開を見せることにつながっていくのか。
フォースを覚醒させた二人の今後がどのような道をたどっていくのか。次作となるエピソード9でどのように物語が進んでいくのか、今から楽しみだ♪
いやしかし!
過去の経験に照らして、期待し過ぎてはいかんので、ほどほどにしておくこととする。


過去のエピソードの振り返りと踏襲に過ぎず、単なる“同窓会映画”に堕したとさえ思えたエピソード7から大きく脱却することに成功した快作!というのはあくまで私見につき、念のため。


スター・ウォーズ/最後のジェダイ
2017年/アメリカ  監督:ライアン・ジョンソン
出演:デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザック、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、ピーター・メイヒュー、ドーナル・グリーソン、アンディ・サーキス、グウェンドリン・クリスティ、ルピタ・ニョンゴ、ベニチオ・デル・トロ、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン

「火花」

2017年12月13日 | 映画
今、日本中で「漫才師」は何組いるのだろう。
その中で、「漫才師」としての収入だけで生活できているグループは、果たして何%くらいの比率になるのだろうか。
圧倒的多数が「漫才師」だけではやっていけず、アルバイトで食いつないでいることは間違いない。それでも、「漫才師」として売れることを目指して芸能界に飛び込むグループは、途絶えることがない。


もちろん、中には人気を博して「漫才師」としてやっていけるグループもある。しかしやはりその数は、全体から見ればホンの一握りに過ぎない。殊にメディアによる“笑いの浪費”が常態化した昨今、チャンスを掴んで輝くことができても瞬く間に消耗し、忘れ去られて消えていくグループは引きも切らない。“売れた”と思ってもそれは一瞬の出来事に過ぎず、継続的に「漫才師」として売れて生き残るグループは、演芸の世界全体から見れば本当に少数だ。

しかし中には、「売れること」「人気者になること」が目的ではなく、オモロイことを探し続けて「漫才師」になる人間もいる。純粋に“笑い”が好きなケースもあれば、ひたすらオモロイことを追い求めるケースもある。
その姿は一見「笑いの求道者」のように見えるが、単に現実逃避に走る社会不適合者に過ぎない場合もある。その境目は極めて曖昧だが、本物の「笑いの求道者」は、ただひたすら“笑い”を欲しているものではある。


“笑い”の世界に居続けることは、いつまでも青春時代が続く甘美な錯覚に浸り続けることと同義でもある。“笑い”というものは、実はとてつもない麻薬なのかもしれない。
スターとして輝き続けられる人間はもちろん、大輪の花火として華やかに輝くことができる人間も極めて稀。小さく火花を散らし続けることしかできない「漫才師」の方がはるかに多い。
“芸人”板尾創路だからこそ撮れた、辛すぎず甘すぎない、冷静かつ温かい目線が胸に染みる。

メディアでいつも目にするような、華やかな「漫才師」ばかりなワケがない。演芸界の実態、「漫才師」の実情を目の当たりにする、“終わることの無い青春”を描く、痛く切ない物語。


火花
2017年/日本  監督:板尾創路
出演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃、川谷修士、三浦誠己、加藤諒、高橋努、日野陽仁、山崎樹範