1928年、日本占領下の京城(現ソウル)。
憲兵隊司令官の祖父の元へ両親と共にやって来た少年・長谷川辰雄と、その家の使用人の息子であるキム・ジュンシク。
全く境遇の異なる二人だが共に走ることが大好きで、かけっこを通じて友情を育み、良きライバルとして競っていた。
しかし屋敷内で行われたパーティーで、祖父(夏八木勲)が小包を装った爆弾によって暗殺されてしまう。
朝鮮人使用人が運んできた小包が爆発したことから、辰雄はジュンシクに対してさえ憎しみを抱き、二人の友情は断ち切れてしまう。
成長した辰雄(オダギリジョー)とジュンシク(チャン・ドンゴン)は、次期オリンピックのマラソン選手代表選考会で再び競うことになった。
しかし、日本人である辰雄を何としても代表にしたい協会の思惑によって不正行為が行われ、怒った朝鮮人民衆による暴動が起こる。
暴動に関係したとして捕らえられたジュンシクは、懲罰を兼ねて日本軍に強制徴用され、友人達と共にモンゴル国境に近いノモンハンへと送られてしまう。
ソ連軍の攻勢に押され気味の前線で仲間と共に闘っていたジュンシクの前に、新たな指揮官が着任することになった。
現われた若き将校は、冷酷な軍人となった辰雄だった。
戦場でも夢を捨てずに走り続けているジュンシクに激しい嫌悪感を抱く辰雄は、玉砕覚悟のソ連軍への突撃隊にジュンシクを任命する。
そして辰雄自身も陣頭指揮を執って死闘を繰り広げるも、あえなく敗北を喫した辰雄とジュンシクは捕虜となり、シベリア方面の捕虜収容所へと送り込まれる。
極寒の地での過酷な労働を課せられる収容所では、日本軍の部隊での立場や地位は通用しない。
それでも、帝国軍人としての誇りを失わずに振舞う辰雄だったが、ソ連軍の対ドイツ戦局が悪化し始めると、一つの決断を迫られた。
ソ連軍の兵士として戦うか、それとも死ぬか。
大日本帝国に全てを捧げてきた辰雄だったが、ジュンシクの説得にも押され、誇りを捨てて「生きること」を選んだ。
捕虜でありながらソ連軍兵士として送り込まれた戦場で辰雄が目にしたのは、敗色濃厚の戦況にも退却を許さず、ひたすら無謀な前進を強いるソ連軍将校の姿。
その姿にかつての自分を重ねた辰雄は、生きる意味を考え始める。
激戦の末に敗れた戦場で、再び生き残ったジュンシクに導かれ、ドイツ側へと“落ち延びていく”辰雄。
友情を捨て、国を捨て、全てを捨てても生きることを選んだのは何故なのか…?
辰雄は、いかなるときも変わらないジュンシクの姿に、生きることの意味を気づかされる。
もう一度二人で国に帰ろう!
ドイツ軍の兵士となって、ノルマンディーの陣地に赴任した二人に再び友情が芽生えたとき、圧倒的な戦力で迫る連合国軍の猛攻が始まった…
ノルマンディー上陸作戦後、ドイツ軍捕虜の中に一人の東洋人が発見された。
誰一人として彼の話す言葉はわからない。
連合軍の尋問を受けた彼が語り始めたのは、朝鮮からソ連、ドイツ、三つの国境を越えてノルマンディまで5年間、12000キロに及ぶ信じられない物語だった。
アメリカの公文所館で発見された一枚の写真に写った、ドイツの軍服を着た東洋人兵士のエピソードにインスパイアされて紡がれた物語。
“走る”ことを通じて育まれた辰雄とジュンシクの友情が、民族間の対立の渦に巻き込まれ、戦争という異常な状況の中でかき消されていく。
友情も夢も失くしていった辰雄は、まるで自暴自棄になったように戦争へとのめり込む。
部下の将兵に退却を許さず、ただ無謀な前進のみを命じ、挙句退却しようとする味方の兵士を射殺する暴挙に出る冷酷な姿は、勇猛果敢な将校などではなく、ただ自己喪失感を周囲に押し付けるだけで、自殺行為に自分の部隊を巻き込んでいるだけのように見える。
一方のジュンシクは、圧倒的に勝ち目の無い前線にいながらも、時間の合い間を使って常に走り続けている。
それは、生きて帰って好きなマラソンで国の頂点を目指し、世界のトップを狙うという夢を捨てていない証し。
そんなジュンシクの姿に辰雄は、無意識のうちに自暴自棄となった自分の姿を比較し、自分に対する情けなさの裏返しとして、ジュンシクに対して憎悪の感情を燃え上がらせてしまう。
しかし、次々と過酷な状況に陥りながらも変わることのないジュンシクの姿は、辰雄の心を大きく揺さぶっていく。
そして、かつて二人が初めて出会ったときのように、辰雄は本来の姿を取り戻していく。
唐突にも見えるオープニングシーンが、ラストシーンに結びついたとき、そこに込められた“思い”と二人が歩んできた道のりに胸が熱くなる。
アジアからフランスのノルマンディーまでの12,000kmを、日本、ソ連、ドイツの3ヶ国の軍服に身を包みながら生き抜いてきた数奇な運命。
そんな人物がいたということに、まず驚愕した。
製作費25億円をかけ、アジアからヨーロッパまで240日間に及ぶ長期ロケによって練り上げられた壮大なスケール感に、臨場感あふれる圧巻の戦場シーン。
朝鮮戦争に翻弄される悲劇の兄弟愛を描いた「ブラザーフッド」で感動を与えたカン・ジェギュ監督が、再び壮大なスケールで描く戦争スペクタクル・ヒューマンドラマ。
「マイウェイ 12,000キロの真実」
2011年/韓国 監督:カン・ジェギュ
出演:オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、キム・イングォン、夏八木勲
憲兵隊司令官の祖父の元へ両親と共にやって来た少年・長谷川辰雄と、その家の使用人の息子であるキム・ジュンシク。
全く境遇の異なる二人だが共に走ることが大好きで、かけっこを通じて友情を育み、良きライバルとして競っていた。
しかし屋敷内で行われたパーティーで、祖父(夏八木勲)が小包を装った爆弾によって暗殺されてしまう。
朝鮮人使用人が運んできた小包が爆発したことから、辰雄はジュンシクに対してさえ憎しみを抱き、二人の友情は断ち切れてしまう。
成長した辰雄(オダギリジョー)とジュンシク(チャン・ドンゴン)は、次期オリンピックのマラソン選手代表選考会で再び競うことになった。
しかし、日本人である辰雄を何としても代表にしたい協会の思惑によって不正行為が行われ、怒った朝鮮人民衆による暴動が起こる。
暴動に関係したとして捕らえられたジュンシクは、懲罰を兼ねて日本軍に強制徴用され、友人達と共にモンゴル国境に近いノモンハンへと送られてしまう。
ソ連軍の攻勢に押され気味の前線で仲間と共に闘っていたジュンシクの前に、新たな指揮官が着任することになった。
現われた若き将校は、冷酷な軍人となった辰雄だった。
戦場でも夢を捨てずに走り続けているジュンシクに激しい嫌悪感を抱く辰雄は、玉砕覚悟のソ連軍への突撃隊にジュンシクを任命する。
そして辰雄自身も陣頭指揮を執って死闘を繰り広げるも、あえなく敗北を喫した辰雄とジュンシクは捕虜となり、シベリア方面の捕虜収容所へと送り込まれる。
極寒の地での過酷な労働を課せられる収容所では、日本軍の部隊での立場や地位は通用しない。
それでも、帝国軍人としての誇りを失わずに振舞う辰雄だったが、ソ連軍の対ドイツ戦局が悪化し始めると、一つの決断を迫られた。
ソ連軍の兵士として戦うか、それとも死ぬか。
大日本帝国に全てを捧げてきた辰雄だったが、ジュンシクの説得にも押され、誇りを捨てて「生きること」を選んだ。
捕虜でありながらソ連軍兵士として送り込まれた戦場で辰雄が目にしたのは、敗色濃厚の戦況にも退却を許さず、ひたすら無謀な前進を強いるソ連軍将校の姿。
その姿にかつての自分を重ねた辰雄は、生きる意味を考え始める。
激戦の末に敗れた戦場で、再び生き残ったジュンシクに導かれ、ドイツ側へと“落ち延びていく”辰雄。
友情を捨て、国を捨て、全てを捨てても生きることを選んだのは何故なのか…?
辰雄は、いかなるときも変わらないジュンシクの姿に、生きることの意味を気づかされる。
もう一度二人で国に帰ろう!
ドイツ軍の兵士となって、ノルマンディーの陣地に赴任した二人に再び友情が芽生えたとき、圧倒的な戦力で迫る連合国軍の猛攻が始まった…
ノルマンディー上陸作戦後、ドイツ軍捕虜の中に一人の東洋人が発見された。
誰一人として彼の話す言葉はわからない。
連合軍の尋問を受けた彼が語り始めたのは、朝鮮からソ連、ドイツ、三つの国境を越えてノルマンディまで5年間、12000キロに及ぶ信じられない物語だった。
アメリカの公文所館で発見された一枚の写真に写った、ドイツの軍服を着た東洋人兵士のエピソードにインスパイアされて紡がれた物語。
“走る”ことを通じて育まれた辰雄とジュンシクの友情が、民族間の対立の渦に巻き込まれ、戦争という異常な状況の中でかき消されていく。
友情も夢も失くしていった辰雄は、まるで自暴自棄になったように戦争へとのめり込む。
部下の将兵に退却を許さず、ただ無謀な前進のみを命じ、挙句退却しようとする味方の兵士を射殺する暴挙に出る冷酷な姿は、勇猛果敢な将校などではなく、ただ自己喪失感を周囲に押し付けるだけで、自殺行為に自分の部隊を巻き込んでいるだけのように見える。
一方のジュンシクは、圧倒的に勝ち目の無い前線にいながらも、時間の合い間を使って常に走り続けている。
それは、生きて帰って好きなマラソンで国の頂点を目指し、世界のトップを狙うという夢を捨てていない証し。
そんなジュンシクの姿に辰雄は、無意識のうちに自暴自棄となった自分の姿を比較し、自分に対する情けなさの裏返しとして、ジュンシクに対して憎悪の感情を燃え上がらせてしまう。
しかし、次々と過酷な状況に陥りながらも変わることのないジュンシクの姿は、辰雄の心を大きく揺さぶっていく。
そして、かつて二人が初めて出会ったときのように、辰雄は本来の姿を取り戻していく。
唐突にも見えるオープニングシーンが、ラストシーンに結びついたとき、そこに込められた“思い”と二人が歩んできた道のりに胸が熱くなる。
アジアからフランスのノルマンディーまでの12,000kmを、日本、ソ連、ドイツの3ヶ国の軍服に身を包みながら生き抜いてきた数奇な運命。
そんな人物がいたということに、まず驚愕した。
製作費25億円をかけ、アジアからヨーロッパまで240日間に及ぶ長期ロケによって練り上げられた壮大なスケール感に、臨場感あふれる圧巻の戦場シーン。
朝鮮戦争に翻弄される悲劇の兄弟愛を描いた「ブラザーフッド」で感動を与えたカン・ジェギュ監督が、再び壮大なスケールで描く戦争スペクタクル・ヒューマンドラマ。
「マイウェイ 12,000キロの真実」
2011年/韓国 監督:カン・ジェギュ
出演:オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、キム・イングォン、夏八木勲