面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」

2011年11月30日 | 映画
世界中を舞台に、スリルと興奮の大冒険を記事にする少年記者・タンタンは、ある日、とあるマーケットでガラスケースに陳列された帆船の模型に目を奪われて購入する。
タンタンが模型を手にした途端、「持っていると、とんでもない目に遭う」と、見知らぬ男から警告を投げかけられる。
彼の行動を訝しがっていると、今度は眼鏡の奥に鋭い眼光を持った男から「倍の値段で売って欲しい」と持ちかけられる。
タンタンは、模型の魅力は金に換えられるものではないと申し出を断り、自宅へと持ち帰ったのだが、そこから正体不明の男たちに追いかけられることになる。

見事な作りのその模型は、17世紀に大海から忽然と消えたといわれる伝説の帆船「ユニコーン号」だった。
ますます魅了されたタンタンは、模型のマストに暗号が記された羊皮紙の巻物を見つける。
暗号は、「ユニコーン号」の財宝のありかを示していた。
模型はこの世に3つ存在し、それぞれに暗号を記した羊皮紙の巻物が収められている。
そして巻物を3枚そろえると暗号が完成し、財宝のありかが明らかになるのだった。

財宝を狙って暗躍する謎の組織に追われながら、タンタンの財宝探しの冒険が始まる…!


世界中で愛されているベルギーの人気コミック「タンタンの冒険」を、娯楽活劇の巨匠・スティーヴン・スピルバーグがフルデジタル3Dパフォーマンス・キャプチャーという最新の映像技術を駆使して、実写と見紛うばかりのリアリティ溢れるCGアニメで映像化。
「エンタテインメント」と「アート」、「実写」と「アニメ」、「デジタル」と「ヒューマンな温かさ」、それら全ての境界を超越した奇跡の映像は、スピルバーグ自身による驚くべきカメラワークで撮影されたという。


原作の漫画に登場するタンタンのキャラクターはよく知っていたが、その漫画がこんな冒険モノだったのは知らなかった。
「レイダース 失われた聖櫃(アーク)」で大ヒットを飛ばしたスピルバーグは、一部で「『タンタンの冒険』をモチーフにしているのでは?」と指摘されたことから原作を手に取り、たちまちタンタンの世界の虜になったという。
必ずや自らの手で映画化すると心に決めた彼が、原作者の急逝による中断にも挫けることなくプロジェクトを推進し、満を持して公開にこぎつけた本作は、正に“インディ・ジョーンズ”のアニメ版。
原作コミックのテイストをしっかり守り、タンタンの旺盛な好奇心と行動力を活き活きと描き出している手腕はさすが。

とにもかくにも迫力満点のアクション・シーンは絶品。
実写ではとても実現できない動きとスピードとカメラワークに、スクリーンから目を離すことができず、瞬きさえ忘れてドライアイになることは必定!
本当はインディ・ジョーンズにこんなアクションをさせたかったことだろうが、そんなことをしたらハリソン・フォードの身が持たない。
映像を作りながら、スピルバーグはさぞ楽しかったことだろう。


世界最高水準のVFXで描かれる、冒険活劇の覇道を行く娯楽大作!


タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
2011年12月1日公開/アメリカ  監督:スティーヴン・スピルバーグ
声の出演:ジェイミー・ベル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグ、サイモン・ペッグ、ニック・フロスト

だんしはしんだ

2011年11月25日 | 落語
三枝号泣「格好よくて、ずっと憧れていた」(サンケイスポーツ) - goo ニュース


ゆうべから朝にかけて、ニュース番組や情報番組は談志死去のニュースでもちきりだった。
その中でいろいろ知らなかった話も出たのは当たり前ではあるが、改めて故人について実は「本当の凄さ」をほとんど知らないのだろうなとも。

「笑点」の大喜利で月番(司会)を最初に務めたことは知ってはいても、テレビで見た記憶は全く無い。
また、彼の高座をテレビで見た記憶があるのは、「花王名人劇場」からでしかないし、彼の人生からすれば“後半”部分しか知らない。
残念なことではあるが、自分の年齢を鑑みれば如何ともし難いことであり、それを悔しがっても「死んだ子の歳を数える」ようなもので、せんないこと。
それでも、テレビの生放送で彼の言動を見たし、1回だけではあるが見応えのある「芝浜」も見れたのだから、幸運と言える。

ニュース記事によると、桂三枝が昨年、襲名について病床の談志に相談したところ猛反対されたという。
そして会見数日前に談志から、
「人生成り行き。三枝より文枝の方がよくなったのか。じゃあ仕方ない。勝手にしろ。三枝のばかやろうへ」
と“辛口”激励ファクスが届いたことを明かしたとのこと。
談志としては、せっかく「三枝」という名前を大きくしたのにもったいない…といったところだろう。
創作落語の第一人者として数々の自作の噺を残し、さまざまな賞を受賞してきた三枝という名前は、それ自体で落語界の歴史に名を刻んだ大きな名跡になっている。
しかし、その三枝から文枝に襲名するとなると、文枝という名の歴史の1ページに収まってしまうことになる。
三枝が築いてきた数多の功績も、「6代目文枝は、前名の三枝時代に…」というフレーズと共に記されることになってしまう。
「三枝」という名で落語の歴史に1ページが作れるというのに、何を古臭い落語界の因習の中に閉じこもってしまうんだい!
創作落語というジャンルを切り開いてきた開拓者たる「三枝」を捨てるたぁ、これまでのてめぇのやってきたこたぁ、一体なんだったんだ!?
「辛口の激励」というよりは、三枝という名前が文枝よりも小さくなってしまうことへの口惜しさを読み取ったのは、うがちすぎだろうか。

ところで、今回のテレビにおける追悼の中で、「だんしがしんだ」というフレーズを生前談志がよく口にしていて、自分が死んだときのスポーツ紙の見出しはこれだな、などと言っていたということを初めて知った。
それを踏まえてのことであろう、各スポーツ紙が見出しに「だんしがしんだ」を使ったという。
シャレの利いたイイ話だ。

それでふと思い出したのが、昔、小朝が使っていたマクラ。
大名人・三遊亭円生が死んだときのこと。
落語界の重鎮が亡くなったということで、明日の朝刊は大々的に出るなぁと噺家達は言い合っていたとか。
ところがちょうど同じときに、上野動物園で「ランラン」だか「カンカン」だか、パンダが死んだ。
翌日の朝刊のトップ記事は、「国民的アイドル・パンダ死す」。
その横に小さく、「円生さんも」。

幸いなことに(?)、談志の死亡を凌ぐ死亡記事は他に無かった。
しっかりスポーツ紙のトップ記事に「談志が死んだ」と掲載させた5代目立川談志。
死してなお、ダンディズムの真骨頂を見せつけ、カッコ良く散っていったその姿は、男としてかくありたしという見本だ。

また改めて冥福を祈るばかり…

合掌

だんしがしんだ

2011年11月23日 | 落語
立川談志さん死去=毒舌と自分流、古典にこだわり(時事通信) - goo ニュース


流行ったわけではないが、「ダンスが済んだ」の回文のもじりでよく口にしたもの(え?自分だけ??)
とうとうこの回文もシャレにならなくなってしまった。
しかし、今年の3月まで「蜘蛛駕籠」を高座にかけていたとは驚いた。
とはいえ、どれほどしゃべれたのだろう。

最近(といっても去年のことか)高座に上った様子をテレビでみたが、さすがに声が出ずに聞きづらかった。
つっかえてスッと言葉が出なくなった晩年の松鶴といい、噺家にとって声が出ない、言葉が出ないというのは、忸怩たる思いがあったに違いない。

談志をナマで見たのは、学生時代に京都で見た「談志・八方二人会」の1回しかない。
しかしそのときの「芝浜」は素晴らしかった。
酒を飲んで眠っている亭主を起こすときのおかみさんの演出は、後になって「うぅぅぅむ…」と唸ったもの。
本人はどうだったのかは知る由も無いが、「芝浜」という噺の味わい深さを改めて認識させられた高座だった。

これで落語界を背負って立つ星がまた一つ落ちてしまった。
次は米朝か!?…と、また改めて思ってしまう。

もう閻魔さんとのやりとりは終わっているだろうか。
地獄へ落ちるところを論破して天国への階段を登っているかもしれない。


合掌

「チェルノブイリ・ハート」

2011年11月16日 | 映画
1986年4月26日、旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故により、放射性物質がウクライナ、ベラルーシ、ロシアを汚染した。
現在もなお、原発から半径30キロ以内の居住が禁止され、北東350キロ以内に“ホット・ゾーン”と呼ばれる局所的な高濃度汚染地域が約100ヶ所も点在し、そこでの農業や畜産業は全面的に禁止されている。
事故から20年、原発事故後はじめて故郷に帰った青年は、廃墟となったアパートへ向かう。

爆心から3キロの強制退去地域は、1986年のあの日に時間が止まったまま。
色あせた1986年のカレンダーを見ながら、
「近親者の10人がガンで死んだ。放射能とは無関係と言われることを、俺が信じると思う?俺もそうやって死ぬんだ。とんだ犬死だろ」
とつぶやいた彼も、1年後に亡くなってしまった。


「チェルノブイリ・ハート」と聞いて、てっきりチェルノブイリ原発事故で被災した地域の人々の“心のうち”といった意味だろうと漠然と解釈した。
しかし本作の内容を知って、それが生まれつき心臓に重度の疾患を持って生まれてきた子供を意味するということに愕然となった。
「穴の開いた心臓」という意味に、自分の心にも穴が開くような衝撃を受けた。
ベラルーシでは現在でも、新生児の85%が何らかの障害を持っているという。
にわかには信じられない数字だ。

ベラルーシ共和国には、局所的な高濃度汚染地域“ホット・ゾーン”が約100ヶ所も点在している。
その“ホット・ゾーン”に住み続ける住民、放射線治療の現場、小児病棟、乳児院の実態を映し出すスクリーン。
中でも、重度の障害を持った子供達の映像は痛々しさを通り越して、背筋が凍る思いがする。
体が反り返って不自然な姿勢のままだったり、巨大な腫瘍を“背負”っていたり、頭蓋骨に治まらずに飛び出した脳が大きなコブになっていたり…。
幼い子供達のあまりに悲しすぎる姿は正視に耐えない。
カメラがとらえた戦慄の映像を見て、それでも原発を推進したいと思うのは、よほどの博打好きか、精神的に極限まで振り切っているマゾヒストだ。


ドキュメンタリー作家のマリアン・デレオ監督がメガホンを取った本作は、2003年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門でオスカーを獲得しているのも納得。
今なお続く原発事故による被爆被害の真実に迫る渾身のドキュメンタリー。


チェルノブイリ・ハート
2003年/アメリカ  監督:マリアン・デレオ

「インモータルズ -神々の戦い-」

2011年11月15日 | 映画
人間が誕生する遥か昔、“光”と“闇”の神々の間に戦争が起きた。
戦いは、“光”の神であるゼウス(ルーク・エヴァンス)率いるオリンポスの神々が勝利して天空へと上り、敗れた“闇”の神はタイタン族としてタルタロス山の地底深くに封印されたのだった。

時は流れ、地上は人間が支配する世界となる。
オリンポスの神々は、地上を人間たちに委ね、人類に力を貸してはならないという掟に従って天空から見守り続けていた。
ある時、イラクリオン国王のハイペリオン(ミッキー・ローク)が、闇の力を手に入れて世界を支配するべく動き出す。
そしてタイタン族の封印を解くために、“光”の神によって作られた“神の武器”である「エピロスの弓」を捜し求めて強力な軍隊を組織し、ギリシャの村を襲撃した。
「エピロスの弓」がハイペリオンの手に渡ればタイタン族が復活し、人類は破滅してしまう。
ハイペリオンの野望を阻止するために、ゼウスが人類の救世主として選んだ人間は、恐れを知らない真の勇者の資質を持つ青年・テセウス(ヘンリー・カヴィル)だった。
彼こそ、幼い頃から来るべき日に備えてゼウスが目にかけ、謎の老人(ジョン・ハート)に姿を変えて指導し、鍛え上げてきた人間だったのだ。
いよいよ、人類と神々の命運をかけた戦いの火蓋は、切って落とされた…


“闇”の封印を解いて、世界征服に利用しようとするハイペリオン演じるミッキー・ロークの悪辣ぶりが見事。
鍛え上げられた肉体を金色に輝くコスチュームで包む、美男美女揃いのオリンポスの神々と対比を描く醜悪さ。
“猫パンチ”で一世を風靡した(?)かつての優男の面影は微塵も無いが、その存在感は登場人物の中で群を抜いている。

それにしても、戦いに明け暮れる神々というのはいかがなものか。
「神話」というものが民族の精神性を表すものであるならば、欧米人とはなんと戦闘的であることかと思ってしまうのは、うがちすぎだろうか。
神々には争いにいそしむことなく、モンスターエンジンが描くように、「ヒマをもてあまして」遊んでもらいたいものだ。

そんな神々に見込まれ連れて行かれるテセウスには、本当に災難なことと同情を禁じえない。
人間世界の正義を守るために戦うならまだしも、神々の手伝いをさせられては、たまったものではないと考えるのは、自分の生来の貧乏性のせいだろうか。


「300(スリーハンドレッド)」の製作者と「ザ・セル」のターセム・シン監督がタッグを組んで、ギリシャ神話の神々の戦いを、まばゆい映像美で描いた神話スペクタクル巨編。


インモータルズ -神々の戦い-
2011年/アメリカ  監督:ターセム・シン
出演:ヘンリー・カヴィル、フリーダ・ピント、ミッキー・ローク、ルーク・エヴァンズ、ケラン・ラッツ

「サヴァイヴィング ライフ ―夢は第二の人生―」

2011年11月10日 | 映画
エフジェン(ヴァーツラフ・ヘルシュス)は、ごくごくフツウの中年男。
家では口うるさい妻ミラダ(ズサナ・クロネロヴァー)の愚痴を聞かされてウンザリし、眠ることが毎日の楽しみに。
ある日彼は、夢の中でエフジェニエ(クラーラ・イソヴァー)という若く美しい女性と出会う。
誘われるままに部屋を訪れて抱き合っていたところ、彼女の息子ペトルに見つかってしまう。
気まずい気分で目覚めたエフジェンは、夢の内容が大いに気にかかり、精神分析医のホルボヴァー医師(ダニエラ・バケロヴァー)を訪ねた。
カウンセリングによって、エフジェンの幼い頃の経験が関係しているようであることが分かってくる。
夢の操作法に関する本を見つけたエフジェンは、自分の意志で夢の世界に入っていく方法を試そうと、元写真家の老人のスタジオを借りることにした。
そして、ミラダには会社に行くと伝えながら、スタジオで眠りにつくことで、夢の中へと出かけていく日々が始まる…


シュールレアリストとして知られ、クリエイターの世界で多大な影響力を持つアートアニメーションの巨匠、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の5年ぶりの長編作品。
夢で見た美女を追い、次第に夢の中へとのめりこんで行く冴えない中年野郎の姿を描く…と書くと何やら冴えない映画のように聞こえるが、さにあらず。
カットアウトアニメと実写を織り交ぜて描かれるシュールな映像は、小さい頃に見た影絵のアニメや紙芝居が思い出されて、得も言われぬ懐かしさが込み上げた。

見様によってはグロテスクながら、それでいて妙なおかしみのある奇想天外なイメージが展開し、何が現実で何が夢なのか、いや全てが夢の中での出来事なのか、観ているこちらの意識が混沌としてくる。
夢か現か、現か夢か。
それはまるで、焚火の炎の明りに浮かび上がる能役者を観ているうちに幽玄の世界へと引き込まれていく薪能にも似て……ちと違うか、いや全然違う(苦笑)


シュールな中にどことなく漂う残酷性が醸し出す雰囲気が独特の、オトナのための童話。


サヴァイヴィング ライフ ―夢は第二の人生―
2010年/チェコ  監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:ヴァーツラフ・ヘルシュス、クラーラ・イソヴァー、ズザナ・クロネロヴァー、エミーリア・ドシェコヴァー、ダニエラ・バケロヴァー

これまでのままで

2011年11月09日 | 野球
阪神・有田ヘッド誕生の“裏事情”…球団社長の深謀遠慮とは(夕刊フジ) - goo ニュース


近鉄での現役時代を知っている自分としては、有田修三がもう60歳であることにまず驚いた。
1975年、翌76年とダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)を受賞するほど、捕手としても高い評価を受けていたことは記録にも見えるが、“最後の300勝投手”鈴木啓示が登板するときは、必ず有田がマスクをかぶっていた印象がある。
自分の記憶としては、前日ハム監督の梨田が頭角を現す前のレギュラー捕手で、強肩と強気のリードが特徴の捕手だった。

そんな有田が城島再生のために起用されたというのは納得。
強気のリードと強肩という特徴は、そのまま城島にも当てはまることで、二人は似た者同士ではないだろうか。
城島のことも有田なら、良い点も悪い点もよく理解でき、城島も納得しやすいアドバイスができそうだ。

朝日放送の解説者として馴染みがあるが、非常に分かりやすい解説と厳しい口調は頼もしかった。
和田監督より年長のヘッドコーチとして、星野監督の参謀だった故・島野コーチのような役割を期待したい。

「1911」

2011年11月07日 | 映画
清朝末期の中国。
日清戦争を機に国内で西欧列強や日本の勢力が強まると、衰退の一途を辿る国を憂いて民衆が立ち上がり、各地に革命組織が結成された。
孫文(ウィンストン・チャオ)は「中国同盟会」を指揮し、幾度となく清王朝に対して反旗を翻すが成功を収めることができず、逆に王朝から国を危うくする犯罪者としての扱いを受けて指名手配されてしまう。
彼は最も信頼する同志・黄興(ジャッキー・チェン)に、祖国での革命活動の指揮を託して国外へ逃亡し、列強各国からの支援を取り付けようと奔走した。

孫文の意思を引き継いだ黄興は、海外から帰国した「中国同盟会」メンバーたちと共に、広州の総督府(官庁)に攻め込み、トップである総督を捕らえようとするが、事前に情報をキャッチした清朝軍に警戒され、激しい市街戦となってしまう。
この戦闘で多くの同志を失い、総督の身柄を拘束することもできなかった黄興は、自らを責め、失意に打ちひしがれて苦しんだ。
そんな彼を、負傷者の看護や雑役を担っていた女性革命家・徐宗漢(リー・ビンビン)は献身的に支える。
その後、全国に次々と巻き起こった若者を中心とする民衆蜂起にも勇気づけられ、黄興は再び立ち上がることを決意。
そして1911年10月10日、湖北省部昌区での武装蜂起により、時代は大きく動き始めた。
革命を目指す仲間たちの元へと駆けつけた黄興は、戦闘の最前線に立って陣頭指揮をとる。
ついに、「辛亥革命」の火蓋が切って落とされた…


ホノルル留学中に近代思想を学んだ孫文は、衰退する祖国の現状を憂い、革命を志すが、武装蜂起に失敗して日本に亡命。
そこで義に厚く実直な黄興や張振武(ジェイシー・チェン)と出会い、同志の絆を結ぶ。
1908年に溥儀が宣統帝として即位すると、1911年に張振武らの指導によって武昌で武装蜂起が発生。
やがて各地に革命の炎が飛び火し、中国全土を揺るがして「辛亥革命」へと発展してゆく。
一方、滅び行く清朝内部でも、軍閥を率いて権力の座を狙う軍人の袁世凱(スン・チュン)や、隆裕皇太后(ジョアン・チェン)は、それぞれの思惑を胸に動き出していた。

本作で知ることとなった「辛亥革命」の全体像はこんなところだが、学生時代に歴史の授業で“サラッ”と習うだけだった自分にとって、その全貌を初めて知ることができた。
中学や高校における“勉強”から見た「辛亥革命」は、「孫文が中心となった革命」という認識くらいでしかない。
自分は大学入試において日本史を選択したこともあって尚更「辛亥革命」の知識が無いとは思うが、中国史についてある程度掘り下げて学習した経験が無ければ、本作における登場人物のほとんどを知らないというのが一般的だろう。
何千年もの間、王朝政府による支配が続いてきた中国において、人民によって国が作られるという歴史的大転換を成し遂げた孫文の偉大さはワールド・ワイドに知られるところではある。
とはいえ、そんな一大事業をたった一人の人間が遂行できるわけもなく、数え切れないほど多くの人々の力が結集した結果であり、多大な犠牲の上に成り立つもの。
しかしながら、革命の中枢にいた人物でさえも、大きな歴史のうねりの中では名前を知られることもない。
孫文の盟友として有名ではあるが、一般的には知られているとは言い難い(自分も知らなかった…)人物である黄興を演じたジャッキー・チェンは、そんな歴史に埋もれた多くの名も無き人々の偉業を讃え、今日の自分たちがあることを感謝し、本作を自身の出演作100本目に選んだのではないだろうか。


ところで、清朝末期から中華民国の初期にかけて政局を動かした軍人政治家・袁世凱についても、本作でその“人となり”がよく分かった。
王朝の軍幹部でありながら革命派に通じ、皇太后に皇帝の退位を説いて清朝を滅亡へと導き、共和制の樹立を成功させたことと引き換えに、孫文からの禅譲を受けて新国家の大総統を獲得した袁世凱。
権力を手に入れる手段として革命を利用しようと考えた彼が、孫文の部下を宴席に迎えて孫文の魅力を尋ねる。
「孫文には私心が無い」と答えたことに対して大笑いしながら、
「私欲の無い人間など居るか!」
と言い放つが、この言葉は至言。
共産主義が次々と崩壊した理由も、中国国内で発生した数々の“拝金主義”的な事件の原因も、正にここにある。
袁世凱の私心に満ちた姿を描くことで、ジャッキーは清廉潔白で真っ直ぐな孫文に思いを馳せつつ、昨今の中国人に対して憂いを抱いているように感じたのは自分だけだろうか。


「今、私が皆さんに見てもらいたいもの、話したいことを映画の中で全て表現しています。歴史巨編スペクタクル『1911』を、皆さん応援してください。」
サインと共にプレスシートに記された言葉の通り、ジャッキーが万感の思いを込めて製作した熱い大作!


1911
2011年/中国  総監督:ジャッキー・チェン 監督:チャン・リー
出演:ジャッキー・チェン、ジャン・ウー、ウィンストン・チャオ、スン・チュン、ジェイシー・チェン

「パラノーマル・アクティビティ3」

2011年11月05日 | 映画
カルフォルニア州サンタローザ。
1988年9月10日から2週間に及びホームビデオに記録された、ケイティ、クリスティ姉妹とその家族が体験した超常現象。
留守の間に何物かに荒らされた家の中。
原因不明の“音”。
誰にも見えない“お友達”と話をするクリスティ。
暗がりの中、鏡の前で「ブラディ・マリー」と3回唱えると魔物が現われる“怖い遊び”。
次第に超常現象がエスカレートしていく様が、ビデオに収められている。
そしていよいよ、「パラノーマル・アクティビティ」の驚愕の真相が…

第1作、第2作の主人公であるケイティとクリスティの姉妹が、幼年期に体験した超常現象が眼前に繰り広げられ、なぜ姉妹が身も凍る恐怖に襲われることになったのか、その真相が明らかにされる。
段々と“遊園地のお化け屋敷”度が上ってきた本シリーズ、第3弾となる本作はやはりMAXで、ビックリ度の針は振り切っている。
薄暗い通路をそ~っと歩いていくと突然物陰から「ぅわっ!」とお化けが飛び出してくるあの感覚を、劇場のイスに座ったまま体感できる。
3D映像でなくても、音に合わせてイスが振動するといった小細工無しでも、存分にハラハラ・ドキドキが楽しめ、お腹いっぱいスリルが味わえるアトラクション・ホラー♪

日本人が気をつけるべきなのは、ふざけて「こっくりさん」をやるもんではないということ……


パラノーマル・アクティビティ3
2011年/アメリカ  監督:ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン
出演:ケイティ・フェザーストン、スプレイグ・グレイデン

こんな奴らを採用するな!

2011年11月05日 | ニュースから
先輩女子が唖然とする、「モンスター後輩」のひと言って?(escala cafe) - goo ニュース

このご時世、こんな新人どもを採用しなくても、もっと優秀な人間はたくさんいる。
採用した人事担当者にも責任の一端はある。
が、そんな人材しか応募してこないとしたら、それでも採用せざるをえないなら、むむむ…