繰り返す回転性めまい……メニエール病ってどんな病気?
2014年06月02日 12:31 All About
写真![]() 音は赤い矢印となって伝わります |
■メニエール病は、内耳(耳の一部)が原因で起こる病気です
何のきっかけも無いのに突然起こるぐるぐる回る激しいめまい(回転性めまい)が特徴です。大体30分~数時間続きます。吐き気や冷や汗、顔が青くなったりするほどひどいことが多いです。そして、めまいと同時に耳鳴りが起こったり、耳が聞こえずらくなったりします。耳がふさがった感じになることもあります。ただしこういった症状は、めまいが良くなると軽快します。
メニエール病では、こういった症状が1回だけではなく、繰り返し起こります。30歳台後半~40歳台前半の女性に多く(ただし最近は男性も増えてきたようです)、大体10万人に15~40人くらいの患者さんがいると言われています。あまり太っていなくて、几帳面なヒトに多いとも。ストレスがたまっていたり、睡眠不足が続いた過労状態でなりやすいことが知られています。
ちなみにめまいは大雑把に分けてしまうと、以下のふたつに分類できます。
・脳が原因でおこるもの(中枢性めまい)
・耳が原因でおこるもの(内耳性めまい)
メニエール病は、まだ「めまい」といえば「脳」が原因といわれていた19世紀の時代のこと、フランスのメニエールというお医者さんが、「内耳」が原因で起きるめまいもあるということを初めて提唱したのにちなんでつけられた病気です。そういうわけで、「耳が原因でおこるめまいといえばメニエール病」と誤解されがちですが、耳が原因でおこるめまいは全てメニエール病というわけではありません。めまい患者さんのうち、メニエール病と診断されるのは全体の5~10%くらいです。
■耳には二つの役割があります
ところで、「耳が原因でめまいがおこる」といわれても「どうして?」と思われる方もかなりいらっしゃるのではないかと思いますが、実は耳には二つの大きな役割があるのです。
ひとつはもちろん、音を聞く役割です。そして、もう一つが身体のバランスをとる役割なのです。
耳は大きく分けて外から順に「外耳」と「中耳」と「内耳」という3つの部分にわかれます。外耳は鼓膜より外の部分です。耳の外から入った音は鼓膜という膜を振動させます。そして、中耳という部分にある小さい骨(図のオレンジの部分)を通って、内耳(図で頭が3つあるカタツムリみたいに見える青い部分)にたどりつきます。内耳のカタツムリのなかには、リンパ液という液体が流れていて、音はこのリンパ液を振動させます。その信号が脳に伝えられると、私達は「音がする」と感じるのです。
内耳(図の青い部分)は身体のバランスを取る役割もしています。たとえば、走った時を考えてみましょう。走ると耳の中のリンパ液の流れが変わります。すると、どの方向にどれくらいの速度で動いているのかという信号になって、脳に伝えられます。身体の傾きを感知する場所も内耳にあり、身体が傾くと脳に伝えられます。人間の身体の仕組みってホントによくできていますよね。
■メニエール病の原因は、内耳の水ぶくれ!?
メニエール病の原因は今のところはっきりわかっていません。ただ、内耳の中の内リンパ液といわれるリンパ液が増えすぎるからといわれています。イメージとしては、「内耳の水ぶくれ」ですね。
内耳が水ぶくれになって働かなくなれば、身体のバランスをうまくとれなくなる=めまいがおこりますし、ひどければ吐き気も起こります。そして、内耳は音も処理しているので、音も聞こえずらくなりますし、耳が詰まる感じもしますよね。
■メニエール病の治療は投薬が中心
水ぶくれを軽くするために利尿剤、また、内耳の神経を改善する目的でビタミン剤や末梢の血流を改善するお薬などを使います。
薬による治療でめまいが上手く止められず、生活に支障をきたすような場合や、聴力がだんだん悪化してくるようであれば手術を行うこともあります。
もちろん悪性の病気ではないので、生命に危険はないのですが、めまいと難聴を繰り返していると、身体のバランスがうまくとれなくなったり、難聴が戻らなくなったりしますので、早期発見・治療が重要です。
そして、過労やストレス、睡眠不足が原因になることも多いので、できるだけ身体をいたわってあげることも大事です。また、一説に水の取りすぎ、塩分の摂りすぎも原因になるといわれているので、このあたりも控えめにしたほうが良さそうです。
全ての病気について当てはまるとは思いますが、身体にあまりにストレスを与えると、そのヒトの弱い部分がでてきてしまうように思います。難しいかもしれませんが、上手にストレス発散して疲労をためないように、自分でうまくコントロールしましょう。