奈良)新県営プール 7月オープン 寺川さんら泳ぎ初め
2014年6月14日03時00分
大和郡山市と川西町にまたがる地域に建設していた「まほろば健康パーク」(旧浄化センター公園)が完成した。7月1日にオープンする。全国規模の競技会が開ける屋外の50メートルプールを備え、今月29日には五輪メダリスト寺川綾さんらが「泳ぎ初め」をする。
パークの核になる新県営プール「スイムピア奈良」には50メートルプールをはじめ、25メートルの屋内プール、歩行用プール、フィットネススタジオ、サイクリングステーションなどがある。2時間までの利用料金は一般700円、65歳以上420円など。会員制の水泳教室、ヨガや太極拳のプログラムもある。
このほか、もともとあったファミリープールも全面的に改装。オープンは7月19日で、“流れるプール”が新たにできた。1日の利用料金は子ども420円、大人850円。今季の営業は8月31日まで。
水泳競技の拠点と、高齢者も障害者も体力づくりやリハビリがしやすい施設を目指し、2012年7月に着工。民間の資金や経営ノウハウを生かして整備・運営する「PFI手法」を県内で初めて取り入れた。
泳ぎ初めは29日午前10時半から。アテネ、北京五輪の銅メダリスト中村礼子さん(200メートル背泳ぎ)、ロンドン五輪銅メダリストの寺川綾さん(100メートル背泳ぎほか)と上田春佳さん(400メートルメドレーリレー)が登場。井村シンクロクラブのジュニアチームも演技を披露する。誰でも無料で観覧できる。
近鉄橿原線「ファミリー公園前」駅すぐ。問い合わせはスイムピア奈良(0743・57・2782)、ファミリープール(0743・59・0036)へ。(栗田優美)
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【鳴澤大】浜松のシンボル「ニホンウナギ」に黄信号がともっている。2月初めに環境省が「絶滅危惧種」に指定。「うなぎのぼり」の由来となった遡上(そじょう)が減り、養殖向けで採る稚魚(シラスウナギ)もここ3年は極端な不漁だ。寝耳に水の一報に、かば焼き店主らもびっくり。国内有数のウナギの街で関係者から話を聞いてみた。
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「指定後に駆け込み需要もあったが、今後の『うなぎ離れ』が心配」と話すのは、JR浜松駅前の「うなぎ藤田」の料理人。「うなぎパイ」で知られる春華堂(同市)の広報は「うちはエキスの利用のみ。何とも言えない」と戸惑う。
生産者も気が気でない。養殖ウナギ歴45年、浜名湖養魚漁業協同組合長の内山光治さん(68)は「打撃がある。これで稚魚を取る規制が出てくるのか」。
ニホンウナギは海で生まれ、川に上り、海に戻って卵を産むとされるが、生態には不明な点も多い。内山さんは「卵を産む親(成魚)の乱獲防止を陳情していく」とする。
市ではウナギを学校給食にも活用している。絶滅危惧種の指定に市教委は「今すぐどうこうはしないが、高騰で手に入りにくい状況」。昨年のゆるキャラグランプリで7位に入賞した市の「出世大名 家康くん」のちょんまげも浜名湖ウナギだ。担当者は「浜松といえばウナギ。頑張るのじゃ」という。
市内に多く住む外国人の視点ではどうか。
日系ブラジル人女性(42)は「高いのによく食べるねと話題にはするけど、あまり関心ない」。中国人女性(44)は「危惧種とまで認識するなら食べるのをやめた方がいい。でも生計をたてている人のことを思うと……」と話す。
■川や海岸の変化背景
ニホンウナギは、絶滅の恐れのある野生生物状況をまとめたレッドリストで、「絶滅危惧1B類」に指定された。危惧の度合いでは3分類の中間だ。これまでにも滋賀の「鮒(ふな)ずし」に使うニゴロブナなど、食文化に関係が深い魚の指定はあった。
では、減少の背景は何か。最近の研究から少しずつだが分かり始めている。
稚魚の連続不漁を受け、農林水産省所管の水産総合研究センターも昨夏、資源保護などを目的に「ウナギ統合プロジェクトチーム」を組織。調査を始めた。
ここ数年で明らかになったのは産卵場や生態の一部だ。同チームの岸田達さんによると、親はグアム島の西側で卵を産み、赤ちゃんウナギが黒潮に乗って北上。中国や台湾、日本に着いて稚魚となり、河川を上るという。
だが、高度成長期に河川や海岸のコンクリート化が進み、隠れ家やエサがなくなり、生き残る数が減った。遡上できた成魚も、天然ウナギとして捕獲され、再び海に戻って親となる数も減ったという。
■資源管理対策も始まる
生態の解明が進む一方で、対策も始まっている。同チームは人工的な稚魚の量産技術を研究。現在、卵から稚魚までの飼育で年間数百匹規模にこぎ着けた。同じ産地の愛知や宮崎、鹿児島県では、親ウナギの捕獲規制などに乗り出し始めたという。
養殖ウナギの生産者でつくる日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会(静岡市)参事の若林稔さん(52)は「他の魚も使えるすし屋と違い、ウナギ生産者やかば焼き屋は絶滅したら仕事がなくなる。一日でも早く研究スピードをあげてほしい。我々も資源管理に努めたい」。
環境省の担当者は「ニホンウナギに出たのは科学者からの黄信号。すぐに絶滅するわけではない。持続的な利用の配慮を各自が考えるきっかけとして」と呼びかけている。
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ニホンウナギは絶滅危惧種? 規制ならさらに品薄・高騰
【神田明美、貞国聖子】かば焼きなどで日本人になじみの深いニホンウナギについて、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種としてレッドリストに載せるかどうかの検討を始めた。数カ月後に結論が出される見通しだ。絶滅危惧種になると、国際取引が規制される可能性が高まる。国内に出回るウナギの大半はこの種類で、親ウナギや、養殖に使う稚魚の多くをニホンウナギの輸入で賄っており、さらなる品薄や価格の高騰が避けられなくなる。
IUCNは、世界の自然保護団体や政府機関などが加盟する国際機関。5日まで英国で専門家らによる作業部会を開き、ニホンウナギを含む19種のウナギの資源状況を評価。その結果をもとに詳しく検証したうえで結論を出す。
ニホンウナギは乱獲などで漁獲量が激減し、今年2月に環境省が絶滅危惧種に指定した。IUCNも同様の方向で検討するのではないかとの見方が、水産行政の関係者らには強い。
水産庁によると、ニホンウナギの国内漁獲量は半世紀で約9割減り、11年は229トン。稚魚のシラスウナギも1960年代に100~200トン前後あったが、10年は6トンだった。11年は、国内に出回ったうちの6割が中国などからの輸入で、国産も養殖に使う稚魚の4割が輸入だった。
日本鰻(うなぎ)輸入組合の森山喬司理事長(71)は「今のままでは将来的に輸入が規制されると覚悟している。天然の親ウナギを取らないなど資源回復を急がなければならない」と話す。
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