東大寺 二月堂修二会(お水取り)驚愕大松明 2016.3.2編
2016年3月7日03時00分
すすが立ちこめるお堂にゆらめく灯明の炎。高く低く響く声明(しょうみょう)。カロロロン、と鈴の音。大板にひざを打ち付ける「五体投地」の音、震動。東大寺二月堂の修二会では、11人のこもりの僧が日夜祈りを続けている。5日夜には「実忠(じっちゅう)忌」の法要、過去帳奉読などがあり、多くの人が格子の向こうを見つめた。
僧侶の祈りは「内陣」と呼ばれる二月堂中心部で営まれる。参拝者はお堂の東西南北にある「局(つぼね)」という部屋などで聴聞する。つぶさには見られないが、朗々と、時に引きずるように、時に力強く響く声明を聴き、張り詰めた行法に触れられる。
5日の聞きどころは、過去帳。聖武天皇と光明皇后、東大寺建立や修理に尽くした人々、歴代の別当、伝説の「青衣(しょうえ)の女人」……。九州の末寺から参籠(さんろう)している尾上徳峰さんが、文字を時折指でたどりつつ、抑揚を効かせて読み上げた。752年に修二会を始めたという実忠の忌日の法要もあった。
奈良署によると、5日のお松明(たいまつ)参拝者は約1万人。二月堂下が混み合ったため、入場が規制された。大仏殿の北東側に第2拝観所がある。
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局での聴聞は12日を除き誰でもできるが、撮影や携帯電話の使用は厳禁。汚れてもよい服装で、マスクや布の靴袋があるとよい。
なるほど、Nシステム設置が理解できた(@_@)
異例の証拠提出、Nシステムとは 栃木・小1殺害公判
2016年3月7日07時34分
通行した車両のナンバーを自動的に読み取る「Nシステム」。どこにあるのか市民に知らされていないこのシステムの記録が、栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件の裁判員裁判で、検察側の証拠として提出された。警察と検察は「異例だが、今回は有罪の立証に必要と判断した」という。
宇都宮地裁で1日にあった勝又拓哉被告(33)=殺人罪で起訴=の第2回公判。検察側の証人として出廷した栃木県警の警察官が、Nシステムについて説明した。「特定の車のナンバーで照会すると、設置場所を通過した日時や進行方向がわかる」。被告の車を照会したところ、女児が行方不明になった翌日の2005年12月2日、午前2時ごろと同6時ごろに宇都宮市内の3地点を計5回、通行していたことが分かったという。
検察側は2日午前4時ごろに被告が茨城県常陸大宮市で女児を殺害、遺棄したと主張。通行記録は、被告が栃木県鹿沼市の自宅と遺棄現場を往復したことを示す客観的証拠だと位置づけている。ただ、弁護側が「被告がどこに行って帰って来たかはわかるのか」と警察官に尋ねると、「わからない」。行き先を特定する証拠は裁判に出ていない。
被告自身は3日の被告人質問で、事件のあった日時の行動を問われて「覚えていない」と回答。通行記録があることについては「週1回くらいは夜中にドライブしていた」と語った。
NシステムのNはナンバーに由来する。警察庁によると1986年から整備を始め、昨年5月時点で全国の設置数は1690。設置場所は明らかにしておらず、同庁は容疑者の取り調べで示すことや裁判の証拠として使うことを認めていないという。「設置場所がわかれば犯罪者がそこを走るのを避けるなど、支障が出る」ためだという。
プライバシーの問題に詳しい武藤糾明弁護士(福岡県弁護士会)は「犯罪捜査に有益なのは間違いないが、得られた情報の活用のあり方を厳格に決めなければ、乱用のおそれは消えない。他方で、市民の間には安全・安心を最優先する傾向が強まり、監視されることへの抵抗は小さくなってきている。欧米では公権力による市民の情報収集に厳格なルールがあり、日本でもルールを考える時期に来ている」と話す。