(くらしの扉)家族の安否を確認 地震に備える:2
2015年3月9日05時00分
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家族の安否を確認
大地震の後、揺れがおさまり、安全なところに避難すると、気になるのが家族の安否です。電話が集中すると通話が規制されることも。どうやって連絡をとればいいでしょうか。
■LINEや親類など頼って
2013年4月13日の早朝、大阪府箕面市の吉田敬子さん(38)はスマートフォンの緊急地震速報の音で目が覚めた。テレビをつけると、故郷の兵庫県淡路島を震度6弱の地震が襲っていた。
洲本市に住む姉に無料通信アプリのLINE(ライン)で「大丈夫?」とメッセージを送った。すぐに読んだことを示す「既読」がついた。しばらくしてから「大丈夫。でも家がめちゃめちゃ」とメッセージが届いた。「被災後はバタバタして返事が遅くなることもある。とりあえず既読がついて安心した」と言う。
LINEが誕生したのは東日本大震災後だ。同社は「既読機能は災害時の安否確認に使うことも意識している」と言う。
災害の発生直後、被災地には電話が殺到し、電話会社は規制をかける。それと比べて、LINEは回線に負担の少ないパケット通信を使うので、つながる可能性が高い。複数の人が会話できるグループ機能も便利だ。吉田さんは姉妹4人でグループを作っている。「緊急連絡に使えるので、両親にLINEをするよう勧めている」と話す。
災害時の安否確認法には、ほかにも固定電話の番号を登録して音声を録音する災害用伝言ダイヤル171や、携帯電話などで文字を書き込む災害用伝言板などがある。東日本大震災後の2012年には、携帯電話から携帯電話に音声を送る「音声お届けサービス」も生まれた。携帯各社で利用でき、パケット通信で声を送る。これらの安否確認法は毎月1日、15日に無料で体験できる。
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遠方の親類などに伝言を託す「三角連絡法」もある。被災地への電話はつながりにくいが、被災地からかける場合はつながりやすい。ただし携帯電話は発信も規制されるので、固定電話や公衆電話からかける。
高齢者や小さな子どもがいる場合は日頃の準備が大切だ。まずは曜日や時間帯別の行動パターンを確認する。緊急時に面倒を見てもらえるよう、近所の人や地域の見回り担当者と相談をしておく。学校や幼稚園の災害時の対応を確認しておく。
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災害時は情報が混乱する。停電していても、携帯電話にワンセグ機能がついていればテレビをみることができる。手回し充電タイプや乾電池式のラジオがあるとより便利だ。ラジオをインターネットを通じて聞けるアプリ「ラジコ」もある。簡易型ブログのツイッターは速報性や拡散性が高く、情報収集に有効だ。ただしデマも流れるので、行政機関や報道機関など、情報を信頼できるアカウントをフォローするといい。
もっとも、大きな揺れを感じたら、まずは避難に集中すること。家族の安否確認や情報収集は大事だが、自分の安全を確保してからでも遅くない。
(田中祐也)
<アプリでは> ヤフーのアプリ「防災速報」は、現在地や自宅、勤務先などで役立つ避難情報や津波予報などをスマートフォンに伝えてくれる。交流サイトのフェイスブックは自然災害が発生した地域に住む利用者に安否確認のメッセージを送る。「無事」を押すと「友達」として登録されている利用者へ通知する。
<ツイッターでは> 災害時に役立つツイッターのアカウントをいくつか紹介。災害情報を発信する公的機関には内閣府防災担当(@CAO_BOUSAI)や総務省消防庁(@FDMA_JAPAN)がある。地元自治体のアカウントもフォローするといい。報道機関にはNHK(@nhk_news)、朝日新聞(@asahi)などがある。
<速報の確認先は> マーケティングリサーチ会社マクロミルの調査によると、地震や災害の発生時に最初に情報を求めるメディアはテレビが63.1%で最多。それにネットニュース(22%)、ラジオ(6.1%)、ソーシャルメディア(2.3%)と続く。「家の中だとテレビ、外出先だとネットで情報を収集しようとする人が多いのでは」と同社。