大阪メトロ 25年度中に全133駅に可動式ホーム柵設置へ
毎日新聞2019年4月19日 20時46分(最終更新 4月19日 20時47分)
大阪メトロは19日、大阪・関西万博が開催される2025年度中に全133駅への可動式ホーム柵の設置を完了させる方針を明らかにした。現在の設置数は全駅の4割にとどまっているが、約560億円をかけて全駅整備を急ぐ。
大阪・関西万博の開催が昨年11月に決まったことを受け、昨夏発表した中期経営計画を改定し、早期の全駅設置方針を盛り込んだ。併せて乗降時の段差や隙間(すきま)を解消する駅のバリアフリー化も進める。
万博に向けて、最先端技術の導入も図る。阿波座駅と、万博会場の夢洲(ゆめしま)駅(仮称)を結ぶ中央線では、24年度に自動運転の実証実験を行う。同年度までに顔認証の技術を取り入れた次世代改札機も全駅で整備する計画だ。乗客は顔写真を事前に登録しておけば、切符やカードを使わずに改札を“顔パス”で通過できる。
「社会インフラや先端技術発展の引き金になる万博を契機に、大阪メトロも進化したい」。同社の河井英明社長は19日の大阪市内での記者会見でこう強調した。
大阪メトロはこの日、複数のホテルや、娯楽施設などを開業する計画も発表。非鉄道事業を拡大し、25年度の売上高を18年度の見通し(1866億円)に比べて約3割増の2500億円に引き上げる考えを示した。カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致実現などを前提に夢洲で構想する高層タワービルや商業施設整備なども実現すれば、売上高はさらに400億円規模で上積みできるとしている。
大阪メトロ 2024年に全駅で顔認証入場導入
大阪メトロは19日、2025年大阪・関西万博を見据え、令和(れいわ)6(2024)年度に全駅で顔認証によるチケットレス入場システムを導入すると発表した。
顔写真を登録すれば、ICカードや磁気券を使わずに改札機を通過できる。国内で顔認証での入場方式を採用している鉄道事業者はないという。また、大阪万博に合わせ、大阪湾の人工島、夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)に開設する新駅「夢洲駅」(仮称)までの一部区間で自動運転を実施すると発表。万博を軸に同社の発展を目指す。
昨年11月の万博開催決定を受けて改定した中期経営計画に盛り込んだ。チケットレス入場は今年度中に顔認証による実証実験を行い、6年度には全駅で新システムを導入する。利用には事前の顔写真の登録が必要で、ICカードや磁気券での入場も引き続きできるようにする。他社の路線に乗り入れるケースへの対応は「検討中」(広報課)としている。
自動運転については、6年度に中央線阿波座駅と夢洲駅間で実証実験を行う。車両には乗務員がいるが運転は行わない。自動運転対応の新型車両を順次導入し、対象路線も拡大する。
中計ではこのほか、7年度末までに560億円を投じて、既存の133駅すべてにホーム柵を設置し安全性を高める。
河井英明社長は「万博開催は、(昨年4月の)民営化の成功を目指す大阪メトロの戦略にも合致している」と述べ、万博を軸に発展を目指す考えを強調した。
大阪メトロは昨年12月、大阪府・市による統合型リゾート施設(IR)の誘致成功を前提に、夢洲駅と一体化したタワービルの建設計画も発表し、一帯の活性化を図る。