「身に覚えのない請求があり困っている」。福岡市の男性(64)から、インターネット通販大手「アマゾン」名義で不正請求があったとの情報が特命取材班に寄せられた。調べてみると、2月から4月にかけて同様の被害が相次いでいることが分かった。政府は2020年東京五輪・パラリンピックに向け、キャッシュレス決済の普及を推進するが、私たちのカード情報は大丈夫なのか。

 男性が被害に気付いたのは4月中旬ごろ。クレジットカードの支払い明細に身に覚えのない請求があり、請求先はいずれも「Amazon.co.jp」だった。内訳は3月19日5880円が2回▽同23日6125円▽4月5日2450円が4回−の計7件2万7685円だった。

 アマゾン側に問い合わせたところ、第三者による不正利用であることを認め、カード会社に連絡するよう勧められた。結果として請求は取り消されたが、男性は「こちらから問い合わせなければ払わされていた。不正利用は自己責任なのか」と不信を募らせる。

 「身に覚えのない請求がAmazonから来て不正使用された形跡があると言われた」「5880円で同一の不正利用っぽいから気を付けて」。今年2月以降、ツイッター上には同様の被害を訴える書き込みが少なくとも十数件見つかった。うち1人の30代女性はネット通販のみにカードを使用していたといい、「どこから情報が漏れたのか不安だ」と話す。

 今のところ、カード情報が漏れた原因は不明だ。取材に対し、アマゾン広報本部は「個別の案件についてはお答えできない。厳選な調査を行った上、必要な対応を講じている」と繰り返した。

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 ネットやスマートフォンの普及により、手軽に利用できるネット通販が広がる半面、カードの不正利用も急増している。

 日本クレジット協会によると、2017年の不正利用被害額は約236億円。過去5年間で3・5倍に膨れ上がり、うち番号盗用による被害額は前年の2倍の約176億円に上る。昨年末には、スマートフォンの決済サービス「ペイペイ」でクレジットカードの不正利用が相次いで発覚した。

 ネットのセキュリティー問題に詳しい神戸大の森井昌克教授(情報通信工学)は「ネット通販会社やカード会社も対策を取っているが、リスクはゼロにはならない」と指摘。その上で「自分の意思で購入していないことを示せば、カード会社が弁済してくれる。信頼の置けるところでしかカードを使わないのはもちろん、最大の防御策は常に支払い明細を確かめることです」と話している。