理化学研究所は23日、スーパーコンピューター「京(けい)」の後継機の名前が「富岳(ふがく)」に決まったと発表した。富岳は京の約100倍の性能で、2021年ごろの稼働を目指している。4月までに一般から応募があった中から選定した。

 富岳は昨年、CPU(中央演算処理装置)の開発に成功。3月には一部の部品の製造を始めた。使い勝手や省エネ性で世界最高性能を目指す。京が苦手だった大量のデータを読み込む能力は、創薬研究に必要なたんぱく質のシミュレーションや津波の予想などのために大幅に増強される。一方で、電力の消費は京の3倍ほどに抑える。

 富岳には計算速度ランキング1位の期待もかかる。理研の岡田昭彦さんは「完成すれば、現時点のランキングでは1位。だが2年以上、これを上回る新たなスパコンが出てこない保証はない」と話す。

 京は今年8月に停止。数カ月かけて撤去される。その後、電源などを増強する工事などを経て、富岳が組み立てられていく。(田中誠士)