日曜安全保障 北朝鮮のミサイルが革新的進化!?
日本を取り巻く安全保障問題を、わかりやすく深堀りしていく、「日曜安全保障」。
19日のテーマは、「進化する北朝鮮のミサイル」。
竹内友佳キャスター「19日は、『進化する北朝鮮のミサイル』がテーマということで、5月に北朝鮮が発射したミサイルに、どんな進化があったんでしょうか?」
能勢伸之解説委員「これは、4日に発射されたとみられる画像なんですが、KN-23とも呼ばれるようになりましたが、『イスカンデルもどき』という言葉を聞いた人も多いと思います。これがですね、元々はロシアのイスカンデル、つまり、この移動式発射装置とミサイルを合わせた兵器システム全体のことをイスカンデルと呼ぶんですね」
竹内友佳キャスター「イスカンデル“もどき”ということは、ロシア製ではないということなんですか?」
能勢伸之解説委員「北朝鮮が、どこから、どうやって入手したのかわからないんですが、北朝鮮流のアレンジがあるというふうにみられている訳なんですね。2018年2月のパレードの映像なんですけど、シャシーとかタイヤを見ると、普通のトラックのようなんです。つまり、舗装された道路仕様ですね。ところが、5月4日のものとみられるものは、タイヤがコンバットタイヤに変わっている。つまり、不整地でも走れるということですね」、「そして、10日に発表された画像なんですが、ロシア製のものですと、ドアは観音開き、横開きになるんですが、下に向かって開いている。これは、噴射熱を巻き込まないようにしているともみえるんですね」、「また、戦車のようなキャタピラ、走行ベルトを履いていて、川ですとか農地ですとか、道なき道を進むことができるというわけなんですね。しかもこのタイプは、ロシアも作っていないわけなんです」
竹内友佳キャスター「ということは、北朝鮮が独自に作っている可能性もあるんですね?」
能勢伸之解説委員「その可能性が高いですね。しかも今回、ウルトラCのような飛び方をしてるんですね」
竹内友佳キャスター「ウルトラCといいますと、どんな飛び方ですか?」
能勢伸之解説委員「そもそも弾道ミサイルというのは、30年前に作られたINF条約(中距離核戦力全廃条約)などで、『飛翔(ひしょう)経路のほとんどが弾道軌道、つまり放物線を描いて飛ぶというふうに規定されているんですね。ところが、4日に飛んだ衛星画像を見てみると、ぐにゃぐにゃと煙が伸びている。それから、まっすぐに伸びている訳なんですね。ということは、もしも向きを変えながら、しかも、途中からまっすぐ低く飛んでいたとなると、レーダーには見つかりにくかったかもしれません。速くてですね。そして韓国が当初、ミサイルと呼んでいたのに、途中から『飛翔体』というふうに呼び方を変えた原因も、この特殊な飛び方にあったのかもしれないですね」
竹内友佳キャスター「それほど特殊な飛び方なんですね」
能勢伸之解説委員「4日の飛び方が放物線でなかったとすると、国連安保理で、北朝鮮の発射が禁止されている弾道ミサイルと断定するのは難しかったかもしれません。しかし、400km以上飛んだ9日の発射で、ようやく日米は、弾道ミサイルと断定したわけなんです」
竹内友佳キャスター「兵器の定義自体そのものが、今の実態に合わなくなってきているということですから、国際社会は、根本からの見直しが必要になってきそうですね」