奈良)県内で感染確認から1週間 「流行ない」県が会見
2020年2月5日 10時00分
奈良県内で初めて新型コロナウイルスの患者が見つかって1週間となった4日。県は県庁で記者会見を開き、これまでの経過を説明した。感染した県内在住のバス運転手の男性(60代)は回復に向かっており、新たな濃厚接触者もいないことなどから、「県内の流行はないと考えている」と見解を示した。
県によると、男性は現在も指定医療機関に入院中だが、容体は安定。男性の濃厚接触者22人のうち、県内に住む17人も新たな発症はないという。残り5人の濃厚接触者は県外におり、それぞれの経過観察は各自治体が行うとして、県は容体を公表していない。
県内の濃厚接触者のうち希望者について、県保健研究センター(桜井市)で感染の有無を検査し、結果が出た分はすべて陰性だった。中国・武漢市への渡航歴があり、せきなどの症状があった数人も調べ、同様にすべて陰性だという。
県が1月29日に県庁や保健所に開設した電話窓口には、2月3日までに計954件の相談があった。感染の不安を訴える声や予防方法の質問のほか、感染した男性の状況についてなどの情報公開を求める声も多かったという。
鶴田真也・医療政策局長は「情報を出さなさ過ぎると疑心暗鬼になるが、出し過ぎると患者が特定される。県民の健康も患者の人権も守れるようバランスの取れた対応をする」と話した。
県は公共施設を中心に、注意喚起のチラシを張り出し、消毒薬を設置。県ホームページなどで予防策の情報発信をしている。医療関係者や宿泊事業者、各教育委員会などにも通知を出した。各商工会議所には経営に関する相談窓口も設置している。(加治隼人)
新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、売り上げが落ち込む県内事業者への対策として、奈良県は7日から、中小企業、小規模事業者向けの金融支援を始める。観光業などで業績不振が想定されることから、既存の県の制度融資を活用し、サポートする。
県地域産業課によると、県制度融資は、県が定めた利率や限度額と県信用保証協会の保証のもと、民間金融機関が融資する制度。県が利子などの一部を負担する分、低額となる。対象要件の「社会的要因」に今回、新型肺炎による影響が加えられた。
融資の要件は、新型肺炎の影響で最近1カ月間の売上高などが前年比5%以上減少していることに加え、今後3カ月間の売上高などが前年比5%以上減少すると見込まれること。
5千万円を上限に、設備資金、運転資金として最大7年間融資する。5年以内なら利率は1・775%、5年超なら1・975%。保証料率は0・45~1・56%となっている。