月と惑星の共演 夜明け前の空を眺めよう
2020年02月18日15:17
まずは、あす19日(水)の未明から明け方に細い月と火星が接近します。まだ朝日が昇る夜明け前、南東の空の低い所を眺めてみてください。月齢25のやや細い月に火星が接近している様子が見られることでしょう。月の出の時刻は東京では3時19分。日の出の時刻は6時24分と、空が明るくなるまでのわずかな時間ですが、ぜひ澄んだ空に輝く月と火星を見つけてみてください。
2020年02月18日15:17
拡大するチャレナジーの出力10キロワットの「垂直軸型マグナス式風車」=同社提供
沖縄県石垣市でちょっと変わった風車が回っている。風車なのにプロペラがないのだ。「台風銀座」と呼ばれる沖縄で実験を重ね、台風の風を風力発電に利用して今年から実用化される。開発を手がけた会社の社長は、元大企業のエンジニア。高収入の立場を捨て、ベンチャー企業を自ら立ち上げてまで風車の開発にのめり込んだのは、9年前の「あの日」の映像が忘れられないからだ。
石垣市で回っている風車は高さ約20メートル。プロペラ代わりの円筒(長さ約10メートル、直径約1メートル)を電気で回転させ、風を受けると風車全体が回り、より大きな電力を生み出す。
回転する円筒が風に押される「マグナス力」と呼ばれる力を利用することから、「垂直軸型マグナス式」と名付けた。
開発したベンチャー企業は、東京にある「チャレナジー」。清水敦史さん(40)が社長をつとめる。
拡大するチャレナジー社長の清水敦史さん=2019年12月14日、沖縄県石垣市、竹野内崇宏撮影
清水さんは「人生をかけてもいいと思える」と語るほどのめり込み、大企業の職を捨てました。そして、貯金は底をつき、身につける物も一変しました。
清水さんは「潜在能力が高い日本で風力発電が普及しないのは、変わりやすい風向きにプロペラの向きを調整するのが難しいため。プロペラ風車は台風で壊れやすい。プロペラこそが風力発電の弱点でした」と話す。
プロペラは効率よく風を受ける半面、強風時は速く回りすぎる「暴走」が起きる恐れがあり、故障を防ぐため通常は風速25メートル程度で運転を止める。2019年の台風15号で千葉県、18年の20号では兵庫県でプロペラ風車の損壊や倒壊が起きた。
垂直軸型マグナス式風車は、風が強すぎれば円筒の回転を止めることで風車全体も止まり、暴走を防げる。風速40メートルまで発電でき風速70メートルでも倒壊しない設計だ。さらに、風向きに左右されず、どの方向からの風でも回る。
拡大する垂直軸型マグナス式風車のイメージ
石垣市の風車は10キロワット機。1年間の稼働で一般家庭4~5軒の年間使用量を作れる。今年、1基2千万円台で販売を始める予定だ。
非常用電源や補助電源として想定する通信会社などから問い合わせがきている。
今年はフィリピン北部のバタン島でも10キロワット機の実証試験を始める。国家電力公社の協力を受け、日本より強い台風に襲われ、離島の多いフィリピンでの普及もさぐる。
清水さんは東京大学大学院を出て、センサー製造大手の「キーエンス」(大阪市)の技術者として活躍していた。平均年収の高さが、たびたび取りざたされる大企業だ。でも、辞めた。
きっかけは3・11、東京電力福島第一原発の事故。当時、キーエンス社員だった清水さんは、事故の映像に釘付けになった。
拡大する爆発のあとがわかる東京電力福島第一原発の建屋=2012年3月3日、朝日新聞社ヘリから
「また原発事故が起きれば日本がなくなる」と思い、次世代が安心して使えるエネルギーをエンジニアとして開発すると決めた。
休みを使って風力発電の特許約5千件を読みあさり、垂直軸型マグナス式を思いついた。震災から3カ月後には特許を申請し、模型に扇風機の風を当てて理論通り回るか、自宅で実験を繰り返した。
特許が認められた13年にキーエンスを退社。14年に再生可能エネルギーへの挑戦の意味を込めたチャレナジーを立ち上げた。国際特許の費用など数百万円は全て自腹で、貯金は底をついた。
「会社員時代はブランドものばかり買っていましたが、今はユニクロばかり。人生をかけてもいいと思えるものに出会えました」
拡大するチャレナジー社長の清水敦史さん=2019年12月14日、沖縄県石垣市、竹野内崇宏撮影
ビジネスコンテストで名を上げ、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成も得て技術を磨いた。
実際の台風に通用するか調べるため、台風が多い沖縄で16年に実証実験を始めた。
最初に高さ7メートルの1キロワット機を試した南城市では発電機が水浸しになるなどのアクシデントもあったが、17年10月の台風時に瞬間風速33メートルでも発電しつつ故障しないことを証明した。
拡大するチャレナジーの出力10キロワットの「垂直軸型マグナス式風車」=同社提供
昨年9月から3カ月間の台風が多いシーズンは、社長の清水さんが一人きりで、東京の本社を離れて石垣島に泊まり込み、台風に耐え抜けるかを調査。風車によじ登って微調整し、4坪ほどの小屋にこもって監視を続け、実用化への手応えをつかんだ。
清水さんは、気候変動で台風や豪雨のリスクが増す状況を踏まえ、「垂直軸型マグナスは災害に強い再生エネルギーとして期待できる」と話している
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