小中高校生の英語力を高めるため、文部科学省は英語教員の育て方の改革に乗り出す。特に中学と高校の教員には英検準1級程度の力を持たせることをめざす。27日、大学の教職課程で身につけるべき能力やそのための授業内容などについての指針(コアカリキュラム)案を公表した。

 このコアカリキュラムは、英語で授業ができることを目標に、「聞く・読む・話す・書く」の4技能をバランス良く習得することを重視する。英語を使った討論や論述のほか、英語で生徒とやりとりする模擬授業などを経験させることを想定。指導力アップにもつながるという。

 英語の教職課程はこれまで統一的な指針がなく、大学によってまちまち。4技能のうち、取得単位が英米文学など「読む」に偏っている学生もいるという。2014年度の文科省の調査では、英検準1級程度以上の現職教員は、公立中で28・8%、公立高は55・4%。17年度に中学で50%、高校で75%にするという国の目標を大きく下回っているのが現状だ。

 ログイン前の続き文科省によると、中高生は「書く・話す」を苦手とする傾向がある。一部教員の英語力や指導力に課題があり、英語でやりとりするなどの経験が不足していることが原因とみられている。文科省は18年度にも教職課程全体を見直したい考えで、再認定の際にはコアカリキュラムに沿った課程編成をしているかが考慮される可能性がある。

 教科化に合わせて必修になる小学英語と、中高の教職課程の両方について作成し、17年度から各大学が参考にできるようにするという。

 現職教員の英語力向上のため、研修向けのモデルプログラムもあわせて作った。文科省の委託を受けて作成に携わった高山芳樹・東京学芸大教授(英語教育学)は、「4技能のバランスがとれた英語力をもつ教員を育てるための案ができた」と話した。