TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

メリー・ポピンズ

2005年12月27日 | 哲学的考察
 先日、久しぶりに家でビデオを観ました。ディズニー映画の傑作「メリー・ポピンズ」です。英語教師の母が大好きな映画で、孫のためにと貸してくれました。

 この映画の舞台は20世紀初頭のイギリス。仕事一筋で厳格なお父さんと、女性解放運動に没頭して家事もほったらかしのお母さんの家。育った子供たちは悪戯ばかり。そんな家に乳母として雇われたのが魔法使いのメリー・ポピンズ。子供たちはすぐに彼女が大好きになり、不思議で楽しい出来事を経験する…というお話です。前編ミュージカル仕立てで、数々の名曲が魅力。うちの子もビデオを観ながら歌ったり踊ったりしています(笑)

 私も小さい頃は大好きな映画だったのですが、改めて鑑賞してその素晴らしさに驚嘆しました!この映画、とても深いメッセージが込められているんです。
 先ず、重要なのがお父さんのバンクス氏。この人は銀行マンで子供たちの話には耳も貸さない働き蜂です。メリー・ポピンズの提案で子供たちを自分の職場に連れて行くのですが、彼らがトラブルを起こして銀行を首になってしまいます。バンクス氏は絶望して行方をくらましますが、その時、初めてこの人は気づくんですね。人生には仕事なんかよりもっと大切なものがあることに。ディズニーらしいメッセージです。実はこの映画の主役はバンクス氏だったんではないかと思いました。
 さらに面白いのは、この映画、痛烈な資本主義批判になっているんです。銀行に来た子供たちに、オーナーが預金をしろと迫るシーンがあります。お金を預ければ利子がつき、どんどんお金が増えるというんですね。でも、子供はそのお金で鳩の餌を買ってやるんだと猛反発するんです。たった2ペンスだけど、自分はこれで鳩を幸せにしてやれるんだと。
 お金は大事。だけどもっと大事なのはそのお金をどう使うか、ということ。利益ばかり追求して、なにかを見失いつつある現代への警告とも言えますね。

 最近はディズニー映画なんて見ませんが、子供向けの映画だからこそこういうメッセージを大切にしてほしいと思います。

 宮崎吾朗、「ゲド戦記」はしっかりつくってくれよ!

 

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