穏やかに…シニアブログ

日常・民話など

民話・キツネの火

2019-05-12 17:32:37 | 昔っこ・民話

昔、十和田の和井内さんが家を建てるときのことだと。春早々に建て始めるどって

正月のうちから たくさんの大工たちが 木取りにかかった。
十和田湖のそばに小屋を立てて、そこに泊り込んで仕事をするわけだ。
 
その年はたいした雪が多くて月に2回大湯から食べ物を 運び上げるのも
容易でねがったど。
2月の頃のことだども、大工仲間が二人で大湯までくだってゆくと、次の日には
野菜や魚を山のように背負って十和田に向かったと。
 
前の晩に雪が降ったもんだから、道はすっかり埋まってしまっていたものな。
それで、ゆっくりゆっくり雪こいで行った。したば、さあ これから登りだというところで
急に暗くなってきて、雪まで降ってきた。その上道の脇の高いところさ 黒い影が
 
ひょいひょい飛ぶのがみえたんだと。二人は顔を見合わせると「あれだば狐でねが」
って言い合った。
「んだ!ここで狐にだまされれば、崖から落とされてしまうんでねべが。それだばごめんだ」
それで二人は荷物を下ろすと、中から身欠きにしんを一束出し、それを放り投げてさけんだ。
 
「狐だち 魚は何ぼでもけるがら(あげるから) 小屋まで連れていってけれ~」
したば、くるくる走り回っていた黒い影が いつの間にか消えて、道の両側に
ぽっかり青い灯が二つ灯ったど。
 
そし て二人の前を シャンシャンと歩きはじめだでねが。二人は驚いたども、
まずその火のあとをついて歩いていったものな。
ところが、しばらく行ったところでその火が ピタッと消えて真っ暗になってしまった。
 
二人はまた 顔を見合わせると 身欠きニシンを1束取り出した。そして、「小屋までたのむぞ~」って放り投げた。
すると 青い火がピカっとついてシャンシャンと進む。しばらく行くとまた火が消えて ニシンを投げる。
 
こんなことを 何度か繰り返すうちに 発荷峠も越えて 危ない下り道も青い火たちは上手に先導してくれたんだと。
それで、ようやっと小屋に着いたときには、二人ともたいした喜んで、荷物の中の
身欠きニシンをたくさん取り出すと、あたりにどんとまいてやった。
 
したば、狐たちも喜んだのなんのって・・・青い火をつけたまま、小屋の屋根の上の
湖の岸の あっちゃ こっちゃまで、そこら中をはねまわったんだと。
そのきれいだこと きれいだこと。たいしたもんだったそうだ。
して、次の朝おきてみたら 雪の上一面に狐の足跡がいっぱい残っていたんだと。
                                 どっとはらい(おしまい)
 
鹿角地方に伝わる民話