愛ーエステ

長年のエステティシャンとしての経験を生かし正しいスキンケアをお伝えします。

食の好み2

2019年05月04日 | 美容

彼女の家に行き、晩御飯に大嫌いな「ブリのあら煮」を出され、無理やり流し込んだ・・・これは彼にとっては拷問に等しいものだった。

 

 

 

彼女のためにと3杯の丼飯を喉の奥へ押し込んだのだが、家に帰った途端に熱を出し、三日間、寝込んだと言っていた。

 

 

 

 

「もう、絶対、ブリのあら煮はいや!!」

 

 

彼は心底、ブリのあら煮を憎んでいるようだった。

 

 

 

 

 

私はご飯とブリのあら煮があれば、それで十分である。

 

 

 

骨からいい味が出て、あんなにおいしいものはないし、あらの微妙に湾曲した部分にへばりついている魚肉を、お箸でこちょこちょかきだすのも楽しい。

 

 

 

 

 

魚は骨があるから面倒くさいという人がいるが、骨があるからこそ、食べていて楽しいのだ。

 

 

骨がが全部、取り除いてある、お上品な魚の切り身を食べていても面白くも何ともない。

 

 

 

おいしくて、骨から身をはがす遊びのある、ブリのあら煮などは最高の食べ物なのだ。

 

 

私がそう力説しても彼は納得なぞしない。

 

 

 

「信じられない」と言って私に軽蔑のまなざしを向ける。

 

 

 

そして「日本にハンバーグや、スパゲッティや、ピザが入ってきて本当に良かった。昔ながらの日本の料理だけだったら、おれはもう、生きていないと思う」と真顔になったのだった。

 

 

 

 

そうは言っても昭和40年代のはじめに生まれた彼は、いわゆる典型的な日本人の味を毎日、食べた世代であるはずだ。

 

 

 

 

パンよりもご飯、肉より魚、ケチャップよりも、しょうゆ味。それなのに何故、今になって自分の年齢よりもはるかに幼い、お子様向き味覚になってしまったのか?理解できない。

 

 

 

確かに子供のころは、特別、煮物やイワシの丸干しがおいしいとは思わず、それよりも卵焼きや洋食に心を奪われる時期もあった。

 

 

 

中学生の時にクラスで一番、最初にピザを食べた女の子がいて彼女は得意気に「ピザって手で食べるのよ。チーズがこーんなに伸びるんだから」と自慢した。

 

 

 

私達はその話を舌なめずりして聞き、自分も食べた時は「こんなにおいしいものがあったのか」とうっとりした。

 

 

つづく

 

 

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