愛ーエステ

長年のエステティシャンとしての経験を生かし正しいスキンケアをお伝えします。

母の病気1

2019年05月14日 | 美容

私の母は大正生まれで「もったいない」が口癖である。

 

 

 

何でもかんでも、もったいないを連発する。

 

 

 

 

物を大切にするのは立派な心がけだが、時と場合によっては、あんまりだと思うことも多い。

 

 

 

 

まだ私が学生の頃、近所に二人の男の子を持った、お医者さんの奥さんがいた。

 

 

 

 

留学経験もある人で色白で美しく「ちょっとそこまで」という買い物が、いつもベンツだったのが近所の評判になっていた。

 

 

 

たまたま、うちの母が彼女に編み物を教えていたので、知り合ったのだが、奥さんは「お嬢さんがいらしていいわねぇ」と、いつも言っていた。

 

 

 

 

彼女は結婚した時から将来は女の子を産んで、いっぱい服を買って着せ替え人形みたいにしたかったのだ。

 

 

 

しかし生まれたのは男の子で、心底、がっかりしたのだそうだ。

 

 

 

母が私と歩いていると、いつも彼女は、羨ましそうにしていた覚えがある。

 

 

 

 

ある時、私は彼女から誕生日プレゼントをもらった。

 

 

 

「一度でいいから自分に女の子がいるつもりで、着る物を選んでみたかったの。寝間着なんですけれど、気にいっていただけると嬉しいわ」

 

 

私は家に帰って箱を開けてみた。

 

 

 

 

まっさきに飛び込んで来たのは、豪華な真っ白いレースだった。

 

 

 

そこには大きなピンク色のリボンがついている。

 

 

 

「げげっ」

 

 

 

 

嫌な予感がして箱から中身を出してみると頭がくらくらした。

 

 

 

なんとそれは、薄いクリーム色の透け透けのネグリジェだったのである。

 

 

 

フランス製で生地も仕立てもよく、間違い無く高価なものだったが、明らかに、私の趣味とは、ほど遠いものだった。

 

 

 

 

今でもそうだが、私は豪華なレースとかリボンのついた服は大の苦手だし、第一、全く似合わない。

 

 

オカマに見えてしますのだ。

 

 

 

当時はジーンズばかりはいていたこともあり、そういうヒラヒラした女っぽいものに、より嫌悪感を持っていたのである。

 

 

それを見た母は「あら!!」と言ったきり、しばし絶句していた。

 

 

つづく

 

 

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