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7月3日の東京新聞「筆洗い」より
おととい百六歳で大往生した英国人ニコラス・ウィントンさんを、英紙ガーディアンはかつて、「新聞のページをめくらなかったことで有名な人」と評していた▼第二次大戦の前夜、ナチスの迫害にさらされるユダヤ人らの窮状を伝える新聞を読み、多くの人は舌打ちをしつつも、ほかのニュースを求めページをめくった。しかし、ロンドンの証券取引所に勤めていた二十九歳の青年はページをめくらずに、行動を起こしたのだ…と▼彼はチェコスロバキアでユダヤ人難民らの窮状を自分の目で見ると、子どもたちを英国に逃がす活動にとりかかった。里親探しと資金集めに奔走して次々と列車を仕立てて、六百人を超える少年少女を英国で受け入れた▼本当はもう一本、二百五十人の子どもを乗せる列車を仕立てたのだが、出発を目前に大戦が勃発し、その子たちの消息は途絶えたという。強制収容所の闇に消えていったのだ▼彼は戦後、そういう活動に尽力したことを家族にも話さなかったという。戦後四十年余もたってから当時の記録に日の目が当たり、偉業が広く知られることとなった▼英雄視されたウィントンさんだったが、いつも「大したことなどしていない」「私自身が危険に身をさらしたわけでもない」と控えめに語っていたそうだ。その脳裏には、救うことのできなかった子どもたちの顔があったのかもしれぬ。
ニコラス・ウィントンさんの行ったことは、ワールドカップで優勝する事(それはそれで素晴らしいことですが)、それよりも価値のある事だったと、個人的には思います。
命を守るのに、理由なんていらない。
奢らず、いばらず、目立たなくとも、パワーの人とは、命にエネルギーを与え命を輝かせる、そういう人。
※ニコラス・ウィントンさん:633p