兵庫県多可郡中町(現・多可町中区)にあった鍛冶屋駅は、加古川線の野村駅(現在の西脇市駅)と鍛冶屋駅とを結んでいた全線単線非電化のローカル線だった鍛冶屋線(13.2km)の終着駅でした。
もともとは播州鉄道の一般駅として1923(大正12)年5月6日に開業し、その後、播丹鉄道を経て国鉄鍛冶屋線の駅となりましたが、1990(平成2)年4月1日に鍛冶屋線が廃止されたことに伴い廃駅となりました。
廃止時は単式ホーム1面1線のみを有する有人駅でした。
開業時に建てられた木造駅舎が最後まで健在でした。
鍛冶屋駅が属していた鍛冶屋線は、1923(大正10)年5月6日に播州鉄道が全通させました。 播州鉄道はこの地方の特産品である酒造米の山田錦の輸送を主たる目的に、加古川を起点にして高砂・谷川・三木・北条・鍛冶屋と5方向へ路線を開業させましたが、やがて経営不振に陥り、1923年12月21日に播丹鉄道へ譲渡します。
しかし、その播丹鉄道も太平洋戦争中の1943(昭和18)年6月1日に戦時体制の国に買収されて、国鉄鍛冶屋線となりました。
この鍛冶屋線も昭和40年頃からモータリゼーションの普及とと地場産業の変化に伴い、旅客・貨物輸送量共に年々減少していき、1984(昭和59)年の営業係数(100円の収入を得るのに必要な費用)は1026にまでなっていました。
こうしたことから、1980(昭和55)年12月に施行された国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)により、鍛冶屋線は1987(昭和62)年2月3日に第3次特定地方交通線として廃止承認されます。 地元では鍛冶屋線特定地方交通線対策協議会を開いて、第3セクター鉄道への転換やバス転換などいろいろ協議した結果、1988(昭和63)年12月に全線を廃止してバス転換することに決定しました。
そして鍛冶屋線は、1987(昭和62)年4月1日の国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継された後、1990(平成2)年4月1日に廃止され、それに伴い鍛冶屋駅も廃駅となりました。
現在、鍛冶屋駅の跡地には当時の木造駅舎が整備・保存されて鉄道資料館の鍛冶屋線記念館として使用されており、キハ30形気動車1両も保存されています。
<鍛冶屋駅の年表>
・1923(大正12)年5月6日:播州鉄道の一般駅である終着駅として開業
・1923(大正12)年12月21日:播州鉄道が播丹鉄道に譲渡され、同鉄道の駅となる
・1943(昭和18)年6月1日:播丹鉄道が国有化されて国鉄鍛冶屋線となり、同線の駅となる
・1974(昭和49)年10月1日:貨物取扱い廃止
・1984(昭和59)年2月1日:荷物取扱い廃止
・1990(平成2)年4月1日:鍛冶屋線の廃止に伴って廃駅となる
(駅 名 標)
(駅 構 内)
(鍛冶屋駅駅舎)
撮影年月日:1989(平成元)年4月9日